【悪影響!?】喘息といびきの関係性について
目次
喘息といびきについて、相互関係があるように思われることが多いですが、実際のところ本当に関係性があるのか正しく理解できている人は少ないのではないでしょうか。
喘息といびきは両方とも「気道」が関係していますが、喘息の場合は気道に炎症を与え、いびきの場合は気道の圧迫が原因になります。
どちらか一方を発症することによって、もう片方を発症する確率は果たして上がるのか、治療する場合はどちらを優先すれば良いのか、いびきと喘息の仕組みをお伝えした上で、詳しく解説していきます。
いびき、喘息に悩まれている方は参考にしてみてください。
喘息といびきに関係性はあるのか?
喘息といびきは関係があると言われることが多いですが、実際に根拠が伴った関係性を正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
喘息を発症することでいびきをかきやすくしてしまうのは正しいのですが、いびきをかく人が喘息を発症するというのは異なります。その違いは「気道」の状態にあります。
喘息は気道が炎症を起こすことで発症しますが、いびきは気道が何らかの原因によって圧迫することで発生します。気道圧迫の原因には気道の炎症も含まれるため、喘息がいびきを発生させる可能性があるということです。
また、睡眠時無呼吸症候群と喘息を同時に発症した場合、両方の症状が急激に悪化し、体へのダメージを倍増させてしまうリスクがあります。
喘息が発生する原因と仕組み
喘息は、気道が「炎症」を起こすことで狭くなり、ヒューヒューと音のなる症状が発生します。呼吸がしづらい原因は、炎症によって気道が圧迫されているからです。
いびきが発生する原因と仕組み
いびきは、何らかの原因によって気道が圧迫されることによって発生する音のことです。圧迫の原因は大半が肥満ですが、顎の小ささや口蓋垂(のどちんこ)の肥大が考えられます。
喘息といびきを発症させやすい性別や体型
喘息を発症させるのは女性に多い傾向があります。一方いびきは男性が多く、肥満の方が大半です。
傾向として喘息は女性、いびきは男性と考えられていますが、近年では睡眠時無呼吸症候群と喘息の共存が問題視されており、男女比はあまり関係がないとも言えます。
二つの症状が同時に発症することで、身体へのダメージは大きく上昇してしまうため、早期発見早期治療が重要になります。
なぜ喘息といびきが併発することが危険なのか
喘息といびきは気道が狭くなるという特徴が一致しますが、喘息の場合は炎症によって気道が狭くなり、いびきは肥満、骨格の影響によって気道が狭くなります。
単純に炎症を起こして気道が狭くなっている中、肥満によって脂肪がさらに気道を圧迫することで、大幅に気道を狭くしてしまう原因となるのです。
気道を狭くすることがなぜこれだけ危険視されるのかというと、酸素の供給量を低下させてしまうからです。
脳や身体へ酸素を運ぶ回数、運ぶ量が大幅に減少してしまうため、身体が低酸素状態に陥ってしまいます。この症状は身体がだるい、集中力が低下する、などただの睡眠不足や疲労と勘違いされやすく、身体が危険な状態にあることに気が付きにくいのが問題です。
喘息は睡眠時無呼吸症候群の発症率を2、3倍高める
喘息を発症すると、睡眠時無呼吸症候群の発症率を2倍〜3倍高めてしまうと言われています。
性別に関係なく、気道の炎症がいびきの原因となるため、喘息はいびきを発生させやすくしてしまいます。炎症が完治しない限りいびきは慢性的な状態として続き、慢性的ないびきが睡眠時無呼吸症候群を呼び寄せることになります。
このような負の連鎖を防ぐためにも、症状の理解と正しい手順での治療が必要です。
喘息と睡眠時無呼吸症候群の両方を発生した際の治療について
喘息といびきの関係性と危険性について説明してきましたが、次は簡単に治療についても説明していきます。
喘息と睡眠時無呼吸症候群の両方を同時に発症した場合、並行して治療を進めていくことは難しいです。そのため、まずはどちらかを完治させていくことになります。
どちらか一方を治療していくことで、相乗的にもう片方の症状もおさまっていく可能性は考えられますが、最初から両方を同時に完治させようと考える必要はありません。
また、治療方法に関してはいくつかの種類がありますが、病院によっては扱っていない治療法も稀に存在するため、受診する際は治療方法に関しても一度ホームページなどで確認してみてください。
基本的には喘息の治療を優先する
両方を発症した場合、喘息を優先的に治療します。睡眠時無呼吸症候群の重症度や気道の圧迫の原因によってはいびきの治療を優先する場合もありますが、基本的に優先されるのは喘息の治療です。
喘息は、気道が炎症を起こしているといった原因があり、喘息による炎症がいびきの原因になっている可能性や、肥満や扁桃の肥大が考えられるためです。仮に扁桃の肥大によっていびきを発生させていた場合、喘息によって扁桃周辺も炎症を起こしているため、炎症を取り除かなければ肥大した扁桃を切除することができません。
一方、先に炎症を治療することで、喘息の完治だけでなく炎症による気道の肥大を抑え、気道の圧迫を解消することにもつながります。
喘息と睡眠時無呼吸症候群を加速させる3つの症状
喘息は女性、いびきは男性が発症しやすい傾向にあることを説明しましたが、鼻炎、逆流性食道炎、肥満の3つは、喘息と睡眠時無呼吸症候群の発症率を大幅に向上させてしまいます。
また、すでに喘息や睡眠時無呼吸症候群を発症している方がこの3つの症状を併発した場合、重症度を高めてしまうため予防も必要です。
鼻炎
鼻炎は、喘息と非常に相性が悪いです。
喘息とは気道の炎症によって発生する症状のため、鼻炎の根本的な原因と類似しています。鼻炎はアレルギーによって鼻詰まり、くしゃみ、鼻水などの症状を招きます。
気道の炎症と鼻の炎症は鼻から喉のつながった気道での炎症となるため、同じアレルギー性の炎症である可能性が高く、喘息と鼻炎を併発するリスクは非常に高いです。
鼻炎と喘息が併発する確率は8割から9割と言われており、喘息は鼻炎の発症を誘導させ、鼻炎は喘息の発症を誘導させます。そのため、喘息の治療を行う際は鼻炎の治療も同時に進めていく必要があります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、喘息と睡眠時無呼吸症候群の両方の発症率を上昇させるので注意が必要です。
逆流した胃液が気管支や喉を直接刺激することによって炎症を招き、喘息を発症させます。
一方で、逆流性食道炎が原因となって喘息を発症しているケースも少なくありません。その場合、逆流性食道炎を治療することによって喘息の症状を改善することが可能です。
逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群については、いびきの症状だけでなく、睡眠障害にも関係があります。
逆流性食道炎による胸焼けが、中途覚醒や熟睡障害を引き起こすことで睡眠障害を招いてしまうのです。
逆流性食道炎が睡眠障害を招くのとは逆に、睡眠時無呼吸症候群が逆流性食道炎を発症するケースも考えられます。いびきの原因が肥満にある場合、脂肪が胃を圧迫することによって胃酸を逆流させやすくしてしまいます。根本の原因は肥満にありますが、睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎の併発リスクは非常に高いです。
肥満
喘息と深い関係性はありませんが、いびきや睡眠時無呼吸障害に関しては肥満が原因の大半を占めていると考えられています。
肥満による脂肪は体だけでなく、頬や首、顔にもついており、睡眠中に起こる筋肉の緩みも相まって、余分な頬や首周りの脂肪が気道を圧迫してしまう原因となります。
この脂肪による気道の圧迫がいびきの原因として最も多いため、CPAP療法や外科手術などの専門的な治療方法を検討するよりも、減量療法(ダイエット)を進めた方が効果的な場合が多いです。
病院によっては、肥満の改善よりも外科手術の方が素早い改善が見られるせいか、あまり減量療法を推奨していない場合もありますが、肥満を残したままいびきの治療を行なっても、根本的な原因の改善になっていないため、確実に再発することになります。
まとめ
喘息といびきの関係性について理解していただけたでしょうか。
それぞれの原因は「気道」にあるため、併発する可能性は低くありません。
これまで性別によって発症の確率が左右されるように考えられてきましたが、近年では主に骨格や体型による原因が占める危険性の方が高いことが判明しています。
喘息といびきの両方を発症した場合には、重症度に応じて異なりますが基本的には喘息の治療を優先し、気道の炎症を取り除いた上でいびきの原因となる気道の圧迫を改善するようにしましょう。
また、鼻炎、逆流性食道炎、肥満の3つの症状は、喘息といびきにとって非常に相性が悪く、同時に発症し重症度を高めてしまう傾向があるため、それらの予防にも気をつけるようにしてください。
喘息といびきの両方を発症している疑いがある場合は、この記事を参考に病院を受診することをお勧めします。
【よくある質問】
Q.喘息を持っている人はいびきをかきやすい?
A.必ずいびきを発症させることはありませんが、喘息による気道の炎症がいびきの原因となる気道の圧迫につながることは十分に考えられるため、喘息がいびきを発生させる可能性を高めることは事実です。
Q.いびきを治せば喘息も治る?
A.いびきと喘息を併発した場合、喘息を治療したことによっていびきの改善が見られることはありますが、いびきを治したことによって喘息が改善される可能性は低いです。基本的には喘息の治療を優先的に行いましょう。