熟睡できない・寝た気がしないと感じる原因と改善について
目次
「しっかり寝たはずなのに熟睡できない…」
「夜布団に入ってもなかなか寝付けない…」
このように、熟睡できない、寝た気がしないと感じている人は多いのではないでしょうか?十分に睡眠を取れないと日中の活動が思うようにできないばかりか、気分も憂うつになってきますよね。心身の健康を保つためにも、ぐっすり眠れる質の良い睡眠をとりたいものです。
しかし、現代の日本では満足な睡眠が取れず、健康を害する人が多くいます。どうして、このような事態が起こっているのでしょうか?
この記事では、熟睡できないと感じてしまう原因と、今日からできる改善策について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
熟睡するってどういう状態?
そもそも、「熟睡する」とはどのような状態なのでしょうか?
ぐっすり眠ってスッキリ目覚めること
「熟睡」に関する医学的な定義はありませんが、睡眠の専門家の間では、「ぐっすりと眠ってスッキリと目覚めること」とされています。
より具体的には、次の3つのポイントを重視する傾向にあります。
1.眠りに入るまでの時間が短いこと(入眠潜時が短い)
2.夜中に目が覚めないこと(中途・早期覚醒がない)
3.朝スッキリと目覚めること(熟睡感があり、体に違和感がない)
ゆえに、「夜になかなか寝付けない」「夜中に目が覚めてしまう」「朝起きたときに気持ちよく目覚める感覚がしない」など、いつまでも頭がスッキリしない状態が、「熟睡できていない」と表現できるでしょう。
また、上記とあわせて日中に眠気を感じるかというのも大切な基準です。昼食後の軽い眠気程度なら問題ありませんが、耐え難い眠気に襲われて日常生活に支障が出てしまうのであれば、同じく熟睡できていないといっても良いでしょう。
参考:
2023.04.03、寝た気がしないのはなぜ?熟睡できない原因と熟睡するための4つの習慣
日本睡眠科学研究所が考える「いい眠り」とは
熟睡できないと感じる原因
熟睡できないと感じる理由として、次の原因が考えられます。
ストレス
1つ目は、ストレスです。人間はストレスを感じると、自律神経のバランスに乱れが生じます。
自律神経とは、内臓の動きや血液の流れなど、生命を維持する機能を司る役割を持った神経です。呼吸をする、食べ物を消化する、汗をかく、睡眠をとるといったさまざまな体の働きを24時間365日コントロールしています。
しかし、自律神経はストレスに大変弱いため、バランスが崩れると就寝時間になってもなかなか寝付けず、熟睡できないと感じてしまうのです。
生活習慣の乱れ
次に、生活習慣の乱れです。この生活習慣には、食事にまつわる食習慣、運動に関する運動習慣、そして睡眠習慣が含まれます。
【食習慣の乱れ】
3つ目は、食習慣の乱れです。例えば、夜寝る前にカフェインやアルコールを摂取すると、睡眠が阻害されて熟睡しにくくなります。
また、朝ご飯を抜くと、脳が睡眠モードから覚醒モードに切り替わらず、目覚めの悪さにつながります。
【運動習慣の乱れ】
運動習慣の乱れも睡眠の質を下げる原因になります。
ある研究によると、運動習慣のない人はある人に比べて不眠になりやすいという結果が出ています。また、適度に運動する人は日中に体を動かすことで程よく疲れ、夜に眠りやすくなるともいわれているため、習慣的な運動をしない人は熟睡に影響が出る可能性がります。
【睡眠習慣の乱れ】
睡眠習慣の乱れは、熟睡の阻害につながります。
特に、平日に睡眠時間が十分に取れないと、その分を補おうと休日に寝だめをする人は多いでしょう。確かに、平日に忙しく働いた後の休日は、思う存分寝ていたいという気持ちはわかります。
しかし、こうした休日の寝だめの定着は、体内時計の乱れを引き起こし、月曜日になると気分が落ち込む「ブルーマンデー」の原因になります。また、短期間に睡眠時間が大幅に変動すると、体が時差ぼけのような状態になり、熟睡感の減少や目覚めの悪さにつながることもあります。
参考:
2023.04.03、寝た気がしないのはなぜ?熟睡できない原因と熟睡するための4つの習慣
2022.07.30、眠いのに寝れない原因は?不眠を防ぎぐっすり熟睡するための対策9つ
睡眠環境の問題
寝室の環境や寝具の状態などの睡眠環境も、熟睡に影響を与える要因です。
例えば、寝室が明るすぎたり、近所で騒音があったりすると、熟睡するのは難しくなります。同様に、温度や湿度が高すぎる、もしくは低すぎても快適な睡眠を遠ざけるため注意が必要です。
あわせて、寝具や枕、服装(パジャマなど)が体に合っていないことも原因になり得ます。
参考:
2023.04.03、寝た気がしないのはなぜ?熟睡できない原因と熟睡するための4つの習慣
眠くないのに寝床に入る
就寝時間なのになかなか寝付けないときは、眠くないのに寝床に入っている可能性があります。
熟睡した感じがしない人は、「絶対8時間は眠らなきゃ!」とか、「22時には絶対にベッドに入る!」と睡眠時間にこだわりすぎているケースが多く見受けられます。
確かに、ある程度の睡眠時間を確保することは大切ですが、眠くないのにベッドに入って長い時間を過ごしてしまうと逆に熟睡感が得られにくくなります。
こうした、眠気が遠ざかる時間帯を「フォビドンゾーン(侵入禁止域)」と呼び、入眠直前は逆に眠りにくいことがわかっています。詳しくは後述しますが、布団に入ってもなかなか眠れないときは、フォビドンゾーンの時間にベッドに入っている可能性があります。
参考:
2023.04.03、寝た気がしないのはなぜ?熟睡できない原因と熟睡するための4つの習慣
何らかの疾患によるもの
上記のようなストレス・習慣・環境などに問題がないにもかかわらず熟睡できない場合は、何らかの疾患によって満足な睡眠が取れていない可能性があります。考えられる疾患は、次の通りです。
【不眠症】
不眠症は、日中の眠気や集中力の低下、慢性疲労などを起こす疾患で、日本では約5人に1人が不眠症で悩んでいるといわれています。
不眠症にはいくつかのタイプがありますが、その中に睡眠時間は十分確保しているのに、眠りが浅く、熟睡した感じが得られない「熟眠障害」という症状があります。
一時的な疲労や風邪、環境の変化などによって不眠症状が出ることは、誰にでもあります。しかし、1ヶ月を超えても改善する兆しがなく、日常生活へ影響を及ぼしている場合には不眠症になっている可能性が高いといえるでしょう。
【睡眠時無呼吸症候群】
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、何らかの原因で睡眠中に気道が狭くなり、無呼吸状態になる病気です。
近年、睡眠時無呼吸症候群の患者は増加傾向にあり、2019年の報告では約940万人(未検査・未治療に人も含めるとさらに多くなる)が罹患していると推計されています。
この疾患の大きな特徴は、睡眠時は毎回大きないびきをかき、しばしば呼吸が止まってしまうことです。しかし、本人にはいびきをかいている自覚がないため、第三者から指摘されて初めて気づくケースがほとんどです。
家族やベッドパートナーなどにいびきを指摘されたことのある人は、すでに無呼吸を発症している可能性が非常に高いでしょう。
下記の記事でも睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説しています。
【むずむず脚症候群】
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)は、就寝中に足がむずむずするなどの不快感が現れ、睡眠が妨げられる疾患です。
この疾患は、夕方から夜間にかけて症状が現れるケースが多いため、なかなか寝付けなかったり、一旦眠っても脚の不快感で目が覚めたりすることが多くなります。
むずむず脚症候群の原因はまだ明らかになっていませんが、有力な説として脳内の神経伝達物質のひとつであるドーパミンの機能障害や鉄不足が関与していると考えられています。
【夜間頻尿】
夜間頻尿とは、排尿のために1回以上夜間に起きる症状のことです。特に、高齢者で多く発症し、70歳以上になると半数以上、80歳以上ではほとんどの人が夜間に2回以上排尿のために起きていることがわかっています。
夜間頻尿になると、就寝後に何度も尿意で目を覚まし、トイレに行かなければいけません。そのため、ぐっすり眠ることができず不眠状態に陥ります。加えて、夜間の転倒リスクや認知症発症リスクが高まるとされ、早急な治療が必要とされています。
【うつ病】
うつ病とは、気分が落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの症状が現れる気分障害のひとつです。精神的な症状の他にも、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることもあります。
うつ病を発症するきっかけは人によって異なり、どのような症状が見られるか、どのくらいの重症度かもさまざまです。そのため、原因を1つに特定するのは大変難しいのが現状です。
ひとつの目安として、気分の落ち込みが長期間続き、日常生活にも影響が出ているときはうつ病を疑ってみるのがいいでしょう。
参考:
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
うつ病とは
熟睡するために今日からできる改善策
ここからは、熟睡するために今日からできる改善策を紹介していきます。
適度な運動を取り入れる
適度な運動習慣を日常生活に取り入れましょう。
日中運動によって程よく疲労することで、夜間スムーズに眠りにつく効果が期待できます。会話を楽しむことができる程度のウォーキングやジョギングをするのがおすすめです。
また、寝る直前にストレッチやヨガをすることで、副交感神経が優位になり、より眠りやすくなります。
反対に、寝る直前に息が上がるような激しい運動をすると、交感神経が活発になってしまうため、控えたほうが良いでしょう。
朝食はしっかりと
熟睡するには、毎朝朝食をしっかりと摂ることが大変有効です。
朝食は、体を睡眠モードから覚醒モードに切り替える非常に大切なスイッチです。現代人は時間がないからと朝食をおざなりにしてしまいがちですが、朝にスムーズに覚醒することで日中のパフォーマンスが上がり、夜の熟睡にもつながります。
環境づくりも大切
ぐっすり眠るためには、睡眠の環境づくりも非常に大切です。
光・音・香り・温度・湿度などの寝室の環境を整えることで、快適な睡眠を手に入れることが可能です。同様に、寝具や寝るときに着るパジャマも自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
中でも強い光は脳を活性化させ、覚醒を促してしまいます。そのため、寝る前はなるべく強い光、特にスマホなどのブルーライトを見るのは避けましょう。外部の光が差し込んで眩しい場合は、遮光カーテンを利用するのがおすすめです。
眠れないときは一旦寝床から離れる
前述したように、睡眠時間にとらわれすぎるのも熟睡を遠ざけることにつながります。
人間は、何もしなくても夜になれば睡眠圧(眠りたいという欲求)が高まり、自然と眠くなってきます。ですが、最近の研究で就寝直前には眠りにくい時間帯の「フォビドンゾーン(侵入禁止域)」があり、この時間に寝床に入ってもなかなか眠れないことがわかってきました。
「就寝時間になっても寝付けない!」と感じる場合は、脳がフォビドンゾーンに突入し、眠気を感じにくくなっていると考えられます。したがって、寝床に入って10分以上経過しても眠れない場合は、無理に寝床にしがみつかず、一旦その場から離れるのが良いでしょう。
参考:
2023.04.03、寝た気がしないのはなぜ?熟睡できない原因と熟睡するための4つの習慣
2022.07.30、眠いのに寝れない原因は?不眠を防ぎぐっすり熟睡するための対策9つ
「眠れない」は体からのSOSサイン
先ほどご紹介した改善策を行っても熟睡できない場合は、前述した睡眠を阻害する何らかの疾患が影響していると考えられます。
多くの人にとって「眠れない」という状態は、「ちょっと寝不足なだけ」と捉えられがちですが、実際は体が発するSOSのサインです。見逃すともっと深刻な病気を引き起こすこともあるため、少しでも異変を感じたら速やかに医療機関を受診するようにしてください。
睡眠に関する相談は、内科・脳神経内科・精神科・心療内科などで対応可能です。また、最近では睡眠に関する診療を専門に行う睡眠外来の設置が全国で進んでいます。近所にクリニックがあるか探してみると良いでしょう。
参考:
日中の激しい眠気や居眠りの影には病が潜んでいる可能性も!?
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当院で行っている治療については、次の記事でも詳しく紹介しています。
まとめ
今回は、熟睡できないと感じる原因とその改善策についてお伝えしました。
睡眠は、ただ疲れた体と脳を休ませるためにあるわけではありません。私たちの体は、睡眠中に免疫機能を活性化したり、自律神経を整えたり、記憶を整理したりとさまざまな役割を行っています。
もし、睡眠が十分に取れずこれらの大切な働きが損なわれたら、健康を害するだけでなく、命に関わる重大な病気にかかる危険性もあります。
そのため、睡眠に異変を感じた際はなるべく早く生活習慣を見直し、満足な睡眠が取れるよう意識することが大切です。また、長期間睡眠が十分に取れていない場合は、何らかの疾患が影響している可能性があります。その際は迷わず、速やかに医療機関に相談しましょう。
【よくある質問】
Q.熟睡できないと感じる原因はなんですか?
A.ストレスによる自律神経の乱れや、生活習慣・運動習慣の乱れ、そして睡眠環境が整っていないケースが考えられます。また、場合によっては何らかの疾患が影響している可能性もあります。
Q.熟睡するためには何をしたら良いですか?
A.適度な運動を取り入れ、バランスの整った食事、特に朝食をしっかり摂ることが大切です。あわせて、寝室の環境をしっかりと整え、十分に眠くなってから寝床に入るのを意識しましょう。