間違ったいびき対策していませんか?誤解を解かないまま対策する注意点を専門医が解説!
目次
- 間違ったいびき対策をしていませんか?
- よく間違われているいびきの誤解
- 【いびきのよくある誤解1】いびきをかくのはよく眠っている証拠
- 【いびきのよくある誤解2】口を閉じて眠ればいびきをかかなくなる
- 【いびきのよくある誤解3】横向きのまま眠ればいびきをかかない
- 【いびきのよくある誤解4】いびきは喉から出るもの
- 【いびきのよくある誤解5】いびきは音が鳴るだけで身体に影響がない
- 【いびきのよくある誤解6】いびきをかいている人の鼻をつまめばいびきが止まる
- 【いびきのよくある誤解7】急にいびきが止まって静かになったのは改善したから
- 【いびきのよくある誤解8】いびき対策を始めたらすぐに改善する
- 【いびきのよくある誤解9】いびきの原因は太っているから
- 【いびきのよくある誤解10】いびきは男性だけがかくもの
- いびきの誤解を解かないまま対策するのは危険
- 正しいいびき対策
- 誤解を解いて正しいいびき対策をスタートしよう
- よくある質問
いびき対策を始めたけれど、まったく効果が出ないとお悩みの人も多いでしょう。なかにはさらにいびきが悪化している人もいるのではないでしょうか。
この記事では、あなたが誤解しているいびき対策について詳しく解説します。よく間違われているポイントを説明しているので、自分の認識に誤りがないかチェックしてみてください。
間違ったいびき対策をしていませんか?
いびきトラブルを解決するために、ネットで情報を調べて、いびき対策をスタートしたという方も多いでしょう。しかし、対策をしているものの、期待する効果を得られずにいる人も多いのではないでしょうか。
もしかするとそれは、調べた情報を誤って認識しているのが原因かもしれません。なかには誤解されがちないびきの情報も多数見つかることから、いびきのセルフケアを始める際には、事前に何が正しい情報なのかを把握することが重要です。
本記事ではいびきの専門医が、よくあるいびきの誤解そして正しい情報を詳しく解説しています。自分が調べた情報が本当に正しいのかわからないと不安をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
よく間違われているいびきの誤解
間違って認識されやすいいびきの誤解を解決するため、本項ではよくある誤解と、正しい情報について紹介します。「これってそうじゃないの?」と感じた項目を見つけたら、ぜひ誤解を解いてみてください。
【いびきのよくある誤解1】いびきをかくのはよく眠っている証拠
いびきに関してよく誤解されているのが「いびき=よく眠っている(熟睡している)」というイメージです。
昔から漫画やアニメなどで描写されているいびきに対し、ぐっすり眠っているからこそいびきをかいていると思っている人も多いでしょう。ですが実は、いびきをかきながら眠っている人はまったく熟睡できていないのが実情です。
日本胸部疾患学会雑誌に掲載されている「いびきについての疫学的検討」の調査によると、いびきをかいている人は睡眠中の血圧が高くなり睡眠の質が下がるほか、起床時に頭痛を感じやすくなるということがわかっています。
以上より、いびきはよく眠っている証拠ではなく、逆に睡眠トラブルが起きている証拠です。もしいびきをかいているという人は、睡眠トラブルが悪化する前に対策をスタートしてみてください。
参考:
・いびきについての疫学的検討|日本胸部疾患学会雑誌/31 巻 (1993) 6 号
【いびきのよくある誤解2】口を閉じて眠ればいびきをかかなくなる
口を開いたまま眠っているからいびきをかくのだと思い、口閉じテープなどを使って口をふさいで眠ろうと対策する人もいます。確かに、口呼吸が原因のいびきであれば、口閉じテープを使うことで、いびきを解消できることもあるでしょう。しかし、次の条件にあてはまる人は、口閉じの対策をしてもいびきをかくので注意が必要です。
- いびきの原因が鼻である
- 睡眠中にテープを剥がしてしまう
例えば、睡眠中に鼻から音が鳴る「鼻いびき」は、アレルギー性鼻炎や鼻骨の湾曲などが原因で起きてしまいます。鼻呼吸をすることで音が鳴るため、口を閉じても対策ができません。また口閉じテープを不快に感じ、眠っているときに剥がしてしまうような人も喉から鳴るいびきを対策できないでしょう。
喉から音が鳴るいびきだという人の場合は効果を期待できますが、すべてのいびきを解決できるわけではないことに注意してください。
口閉じテープについて、詳しくは下記記事をご覧ください。
【いびきのよくある誤解3】横向きのまま眠ればいびきをかかない
いびきは舌が喉の奥に落ちてしまう「舌根沈下」のせいで起こるため、横向きのまま眠ればいびきをかかなくなると思っている方もいるでしょう。確かに、横向きの姿勢を朝まで継続できれば舌根沈下が原因のいびきをかきにくくなります。しかし、横向きの姿勢を長時間維持することはほとんど不可能です。
「健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討」という資料によると、1日当たりの寝返りの回数は平均24回(標準偏差除く)であり、寝返りをまったく打たない人はいませんでした。
つまり、横向きの姿勢で眠っても、結局は仰向けの姿勢になってしまうのです。また無理に横向きの姿勢を固定しようとすると、血が身体の下に回ることにも注意しなければなりません。身体を痛めるほか、床ずれのような症状が起きるおそれがあるので、横向きになるだけではいびきを解決できないと覚えておきましょう。
参考:
健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討|理学療法学Supplement/Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
【いびきのよくある誤解4】いびきは喉から出るもの
いびきは喉の奥から鳴っているものだと思われがちですが、実は「鼻いびき」というものも存在します。
鼻いびきは花粉やハウスダストといったアレルギー、鼻中隔湾曲症などにより起こるいびきのことであり、鼻のなかから音が鳴るのが特徴です。喉から音が鳴る人もいれば、鼻から音が鳴る人もいるため、一概に同じ対策ですべてのいびきを解決できるわけではないと覚えておきましょう。
喉から鳴るいびきと鼻いびきの違いについては下記記事をご覧ください。
【いびきのよくある誤解5】いびきは音が鳴るだけで身体に影響がない
いびきはただ音が鳴るだけだと思っている人もいますが、実は次のような点で身体を蝕んでいるとご存じでしょうか。
- 睡眠の質の低下
- 免疫力の低下
- 歯周病リスクの増加
- 成長ホルモンの低下
- 高血圧といった生活習慣病リスクの増加
- 命の危険がある合併症リスクの増加(睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症した場合)
まず、いびきのせいで十分な呼吸ができず、血中酸素飽和濃度が下がってしまいます。その結果、酸素不足のせいで睡眠の質や健康に影響するさまざまな問題へと広がっていくのがいびきトラブルです。徐々に体に変化があらわれることから、いびきが原因だと気づきにくいことにも注意してください。
いびきが病気のサインになっている場合があります。詳しくは下記記事をご覧ください。
参考:
・睡眠時無呼吸症候群|e-ヘルスネット(厚生労働省)
【いびきのよくある誤解6】いびきをかいている人の鼻をつまめばいびきが止まる
いびきをかいている人の鼻をつまむというイタズラをしたことがある人はいないでしょうか。鼻をつまむという簡単な行為だけでいびきが止まるため、なかには家族や恋人などがいびきをかくたびに鼻をつまんでいる人もいるはずです。ですが、鼻をつまんでいびきを止めるのはやめたほうがいいとご存じでしょうか。
鼻をつまんで呼吸を止めてしまうのは、いびきをかいている人にストレスを与えるほか、睡眠の質を下げてしまう原因になる場合があります。さらにいびきが悪化することがあるため、鼻をつまんでいびきを止めるのはよいことではないと覚えておきましょう。
【いびきのよくある誤解7】急にいびきが止まって静かになったのは改善したから
いびきをかいている途中、急にいびきが止んで呼吸音が聞こえないくらい静かになるということがありますが、これはいびきが改善したからではなく睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気を発症しているのが原因です。
なかにはいびきが止んだから前よりもよくなっていると受け取る人もいますが、実はいびき以上に症状が深刻化しているサインとなります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症すると、合併症のリスクが高まりやすくなることに気を付けなければなりません。
いびきの途中で急に静かになった場合や、時間がたったのちに咳をするのを見かけた場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれないことを伝え、クリニックへ相談することを勧めてください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因については、下記記事をご覧ください。
参考:
・睡眠時無呼吸症候群|e-ヘルスネット(厚生労働省)
【いびきのよくある誤解8】いびき対策を始めたらすぐに改善する
いびき対策を始めたらすぐにいびきが止まると考えている人がいるのなら、イメージしているよりも改善には時間がかかると覚えておきましょう。
特にセルフケアをする際には、正しい原因を理解してストイックに対策を続けなければ、いびきを改善できません。なかには関係のない対策をスタートする人もいるので、正しい対策を実施したいのなら、いびき専門のクリニックに相談することをおすすめします。
なお、すぐに改善できるいびき対策を始めたい人は、いびきの根本治療を検討するのもひとつの手です。
【いびきのよくある誤解9】いびきの原因は太っているから
いびきをかくのは太っているのが原因だと考えられがちですが、実は肥満以外にも次のような原因があります。
- 生活習慣や自律神経の乱れ
- ホルモンバランスの乱れ
- 骨格的な問題
- アレルギーなどの病気
- アルコールやタバコの摂取
いびきの原因は人によってさまざまです。ダイエットをしてもいびきが改善しない人は、ほかの原因があるのかもしれません。
いびきの原因について、より詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
【いびきのよくある誤解10】いびきは男性だけがかくもの
いびきは男性がかくものだと思っている人もいますが、女性のなかにもいびきをかく人は大勢います。
男性の場合は生活習慣や体型などの影響を受けていびきをかく人が多い一方で、女性はホルモンバランスの乱れやストレスなどの影響を受けていびきをかきやすいのが特徴です。性別を問わずいびきをかく人がいるほか、だらしない生活とは関係なくいびきをかく人がいるので、誤解しないように気を付けましょう。
より詳しく男女のいびきについて知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
いびきの誤解を解かないまま対策するのは危険
いびきについてさまざまな誤解がありますが、なかには誤解されていることに気づかずに対策を始める人がいます。しかし、誤解を解かないまま対策するのは危険です。なぜ危険があるのか具体的な理由を見ていきましょう。
【いびきを誤解したままでいる危険性1】逆にいびきが悪化する場合がある
いびきのことを誤解した状態で対策を始めると、逆にいびきが悪化するおそれがあります。
例えば、何らかのセルフケアをした後に、いびきをかいている途中で静かになったという人もいますが、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気を発症しているのかもしれません。いびきの改善については自己判断できない部分が多いので、誤解したまま対策をすると悪化したことに気が付けない場合があります。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックについては、下記記事で詳しく解説しています。併せてチェックしてみてください。
【いびきを誤解したままでいる危険性2】対策してもいびきが改善しない場合がある
いびきについて誤解したまま対策を始めてしまうと、原因とは関係のない対策をし、いびきが改善せずに挫折するという人もいます。
いびきは身体の内側の問題であるため、知識のない人が原因を見つけ出して対策するのは簡単ではありません。いびきの専門医などに相談しなければ、対策できないケースがあることに気を付けてください。
【いびきを誤解したままでいる危険性3】睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症するおそれがある
いびきを「ぐっすり眠っている証拠」と誤解したまま放置すると、悪化して睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気を発症するおそれがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症すると、呼吸が一時的に止まる影響で、脳に十分な酸素を届けにくくなるのが特徴です。脳卒中や脳梗塞といった命にかかわる合併症を発症することもあるので、早めに誤解を解いておく必要があります。
正しいいびき対策
いびきの正しい対策を始めたいという方は、何とか自己解決しようと考えるのではなく、本項で紹介する2つの方法で対策を始めてみてください。
【正しいいびき対策1】チェックリストで原因を探して対策する
正しいいびきのセルフケアを始めたい人は、自分がなぜいびきをかいているのか原因を理解したうえで対策することが重要です。参考として以下にいびきのセルフチェックリストをまとめました。
- 眠りが浅いと感じている
- しっかり寝たはずなのに昼間眠くなる
- 注意力や集中力が続かない
- 朝起きたときに口が乾いている
- 寝ても疲れが取れない
- 鼻がつまりやすい
- 高血圧と診断されている
- 肥満を指摘されている
上記にひとつでも当てはまる人は、いびきをかいている可能性が高いです。チェックリストの内容を詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【正しいいびき対策2】いびき専門のクリニックに相談する
自身でいびきの対策ができない、原因がわからないという人は、いびき専門のクリニックに相談するのがおすすめです。いびき専門のクリニックでは、睡眠状況の検査を実施したうえで正しい対策を提案してもらえます。
効果を期待できる治療法なども提案してもらえるため、効率よくいびき治療を始めたいという方はクリニックを予約してみてはいかがでしょうか。また、何科に相談していいか迷っている方は、以下の記事をチェックしてみてください。
誤解を解いて正しいいびき対策をスタートしよう
いびきを誤解したままでいると、危険性に気が付けないほか、原因がわからないまま対策を始めてしまうかもしれません。
本記事で紹介した誤解の内容をチェックすれば、いびきの正しい知識が身につきます。原因を解決できる効果的な対策を始めたい方は、誤解を解いたうえでいびき対策をスタートしてみてください。
よくある質問
いびきをかいている人は、睡眠の質が低下しやすいほか、免疫力の低下、寝起きの頭痛など、身体にさまざまな問題が起きやすいと言われています。放置すると脳卒中といった合併症を引き起こす睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症するおそれがあるため、早めに改善することが大切です。