昼寝の効果を専門医が解説!正しい睡眠時間・姿勢・効果的な眠り方も紹介
目次
昼寝をしたいけれど、どれくらい眠るのが良いのか気になっている方も多いでしょう。また夜も眠るため、どれくらい眠るべきか睡眠時間を気にしている方もいるはずです。
そこでこの記事では、昼寝の効果や正しい睡眠時間について紹介します。また寝るときの姿勢や効果的な眠り方、デメリットも解説しているので、正しく睡眠を取る参考にしてみてください。
昼寝の効果とは?
昼寝をすると、眠気が取れること以外にも、体を健康にする「良い効果」があると言われています。まずは、昼寝が生み出す効果について詳しく見ていきましょう。
疲労が回復する
昼寝をすると、全身がリラックスして疲労回復の効果を得られます。なぜなら人間の体は、睡眠中のほうが細胞修復の動きが活発になるからです。
例えば、睡眠中は細胞の修復や体内に入ったウイルスの排除などが活発におこなわれています。眠っていると病気がいつの間にか回復しているというように、短時間の昼寝であっても疲労回復の効果があるのです。
精神的なストレスを解消できる
昼寝には、日常的に感じているストレスの解消効果があると言われています。
仕事や生活、人間関係でイライラしていても、夜眠れば朝にはイライラが収まっていた経験がある人も多いでしょう。睡眠中には「コルチゾール」というストレス回復効果をもつ成分が分泌されやすくなるため、眠っている間にストレスが緩和されるのです。
同様に、昼寝でもコルチゾールが分泌されます。短時間の睡眠でも精神的なストレスを減らせるため、穏やかな気持ちで生活したい方は、昼寝の習慣を取り入れると良いかもしれません。
疲れて低下した集中力が回復する
昼寝をすると脳の疲労が取れていくため、同時に「集中力」が回復すると言われています。
まず人間の脳は、仕事や勉強で集中すると次第に疲れて、内容をうまく理解できなくなるのが特徴です。集中する時間が長ければ長いほど脳に疲労がたまるため、午後になるとミスが増えたという経験がある人も多いでしょう。
対して昼寝すれば、脳の疲労に合わせて集中力も回復します。午後もパフォーマンスを維持しつつ活動できるため、長く集中したい人は昼寝を取り入れてみるのが良いかもしれません。
記憶力が向上して学力がアップする
昼寝には、記憶力の向上に役立つ効果があるとご存じでしょうか。
人間の脳は眠っている間に記憶の整理をおこなうため、たとえ短い睡眠時間だったとしても、寝る前に取り入れた情報が整理されて理解度が高まるそうです。ドイツのデュッセルドルフ大学で実施された研究によると、たった6分のうたた寝であっても、記憶力の向上につながることがわかっています。
記憶力の向上には睡眠が欠かせないため、学生の勉強や資格勉強に取り組む人ほど、昼寝を取り入れたほうが良いかもしれません。
生活習慣病、アルツハイマーのリスクが低下する
昼寝には、記憶の整理や疲労回復の効果があるため、昼寝の習慣がない人と比べて、生活習慣病やアルツハイマー病発症のリスクが1/5になると言われています。
睡眠には乱れてしまった自律神経を整える効果もあるので、昼寝は若々しさを保つ重要な対策です。将来発症するかもしれない病気の対策として、今のうちに昼寝を習慣化してみるのはいかがでしょうか。
昼寝には夜の睡眠より3倍の効果がある
カリフォルニア大学の神経科学者「マシュー・ウォーカー」が実施した睡眠の研究によると、昼寝には夜の睡眠よりも3倍の効果があると言われています。なぜならノンレム睡眠には以下の4つのステージがあり、昼寝などの短時間睡眠では「記憶を整理しつつスッキリとした目覚めを得られる状態」をキープできるそうです。
- ステージ1:浅いノンレム睡眠
- ステージ2:やや浅いノンレム睡眠(記憶を整理する)
- ステージ3:やや深いノンレム睡眠
- ステージ4:深いノンレム睡眠(熟睡する)
ステージ2に到達する時間はおよそ20分であり、ちょうど昼寝の時間に合うと考えられています。また、30分以上眠るとステージ3以上の深い眠りに入るため、睡眠時間を30分以内に抑えることが良いそうです。
ただし、あくまで昼寝は、すっきりリフレッシュできる時間的効率が良いということです。
夜の深い眠りには、心身に大切な様々な効果効能がある為、昼寝の方が睡眠効果が高い訳ではありませんので、誤解しないでください。
参考:
パワーナップ(積極的仮眠)で人生のパフォーマンスが上がる|PHILIPS
ノンレム睡眠(のんれむすいみん)|e-ヘルスネット
効果のある昼寝の種類
体に良い効果をもたらす昼寝には、4種類の実施方法があります。睡眠時間や効果が異なるため、自分に合う昼寝の方法を試してみてください。
参考:
日経ビジネス|寝起きからシャキッと頭が冴える昼寝の長さは?
ホリデー・ナップ(30分~1時間半)
ホリデー・ナップとは、12:00~15:00の間で30分~1時間半眠る長時間の昼寝のことです。普段から睡眠不足の人に効果があると言われており、夜に眠れない問題を昼寝で補えます。主に疲労回復効果を期待できるそうです。
パワー・ナップ(15~20分)
パワー・ナップとは、社会心理学者「ジェームス・マース」が提唱した昼間の方法です。15~20分の仮眠で記憶の整理を終えてスッキリとした目覚めを得るために実施されています。世界的大手企業GoogleやApple、Microsoftなどもパワー・ナップの実施を推奨しているそうです。
ミニ・ナップ(10分)
ミニ・ナップは、パワー・ナップの時間を確保できない人向けに用いられている昼寝の方法です。昼食後の12:00~15:00に実施するのが良いとされており、集中力の回復効果を期待できます。
マイクロ・ナップ(1分)
マイクロ・ナップとは、わずか1分間だけ仮眠をとる昼寝の方法です。視界から取り入れる情報を一時的に減らすことによって、脳の疲労回復につながると言われています。目を1分間閉じるだけでも集中力が回復するため、仕事・勉強の合間に実施しやすいのが魅力です。
昼寝の効果的な取り方
昼寝をした際に、リラックス効果、スッキリとした目覚めを確保したい方は、環境を整えることが欠かせません。本項で紹介する方法を取り入れるだけで昼寝しやすくなるほか、目覚めもスッキリするので、取り入れられるものを導入してみてください。
昼寝する前にカフェインを摂取する
昼寝後にスッキリとした目覚めを確保したいのなら、昼寝の前にカフェインを摂取するのがおすすめです。例えば、次のような食べ物・飲み物からカフェインを摂取できます。
【食べ物】
- チョコレート
- ガム
【飲み物】
- コーヒー
- 緑茶
- エナジードリンク
カフェインには覚醒効果があり、昼寝前に飲めば徐々にカフェインが体に効いていきます。食後のコーヒーなどを飲んだ後に昼寝するのが良いかもしれません。
電気を消し、静かな場所で眠る
昼寝をする際に入眠しやすい環境を整えたいのなら、部屋の電気を消して静かな状態にして眠るのが良いと言われています。
ただ自宅であればすぐに環境を整えられますが、職場や学校だと環境を整えるのが難しい場合もあるでしょう。もし人が多い場所で入眠しやすい環境を整えたい場合には、アイマスクや耳栓を活用するのが便利です。また使われていない会議室(空き教室)などを使ってみるのが良いかもしれません。
起床したら日光を浴びる
昼寝から起床する際の寝覚めが良くない場合には、一度屋外に出て日光を浴びるのがおすすめです。
人間の体は明るい場所で目が覚めやすいようにできているため、日光を浴びることで素早く覚醒できます。昼寝後は短時間の日光浴をするといった習慣を作れば、午後に高いパフォーマンスを維持しやすくなるでしょう。
昼寝でおすすめの姿勢
昼寝をする際には、姿勢を考えることも重要だと言われています。参考として、昼寝する場所ごとにおすすめの姿勢をまとめました。
参考:
PRTIMES|15分のパワーナップ(昼寝)で集中力・仕事の効率アップ!使いやすいデザインにアップデートした『konemuri+』パワーナップピローが4月下旬から新発売
自宅では座った姿勢のまま昼寝する
自宅で昼寝をする際には、椅子やソファーに座った状態で昼寝するのが良いと言われています。中にはベッドで横になって昼寝をする人もいますが、昼寝がいつの間にか熟睡に変わるケースもあるため、横になるのはNGです。
自動車ではシートを倒して昼寝する
仕事の昼時間を自動車の中で過ごしているのなら、シートを倒して昼寝するのがおすすめです。自動車のシートの場合、リクライニング機能をすぐに変えられるため、水平の状態にして眠るのも問題ないと言われています。
会社・学校ではうつ伏せで昼寝する
会社や学校で昼寝を取り入れる際には、机にもたれかかり、うつ伏せの姿勢で眠るのがおすすめです。両手で視界を暗くできるため、明るさ関係なく眠ることができます。またうつ伏せの姿勢で眠るのが辛い場合には、小型の枕などを持ち歩いておくのがおすすめです。
昼寝のデメリット
体に良い影響をもたらす昼寝ですが、いくつかデメリットを感じてしまう場合がります。自分の生活に昼寝を取り入れる予定の方は、ぜひデメリットについても理解しておきましょう。
参考:
東洋経済ONLINE|「1時間超の昼寝は死亡リスク3割上昇」の衝撃事実
昼寝しすぎると夜の睡眠に影響する
短時間の昼寝は身体に良い影響をもたらしてくれますが、長時間の睡眠になると夜の睡眠を妨げる原因になるかもしれません。
例えば、普段7~8時間眠っている人が昼寝に数時間費やしてしまうと、夜に目が冴えてしまう場合があります。昼寝の種類の中には、夜の睡眠不足を補う「ホリデー・ナップ」もありますが、基本的には脳の整理や集中力の回復を目的とするのが一般的です。
夜の睡眠を妨げないためにも、昼寝時間は30分以内に抑えるのが良いでしょう。
昼寝から起きて、すぐに頭が働かない
中には昼寝をした後の寝起きが悪く、すぐに頭が働かないと悩んでしまうケースもあるようです。
もし昼寝後の寝起きの悪さを改善したいのなら、寝る前にカフェインを摂取するか、寝起きに立ち上がって日光浴することをおすすめします。また、寝起き後すぐに活動するスケジュールではなく、寝起きから活動までの時間を空けておくことも重要です。
短時間の昼寝はスッキリと目覚めやすいのが特徴ですが、その日の体調や体質によっては全員が全員、スッキリと目覚められるわけではありません。よって昼寝の時間を作る際には、寝起きの状態を考慮し、時間に余裕を設けておくことをおすすめします。
昼寝・夜の睡眠でいびきをかくなら、いびきメディカルクリニックへ
昼寝をするとき、また夜の睡眠の中でいびきをかいている人の場合、十分に酸素を確保できない影響で睡眠の効果が著しく落ちてしまいます。また、いびきが続いている人の場合には、生活習慣病や脳卒中のリスクを持つ睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しているかもしれません。
もし「昼寝中(夜の睡眠中)にいびきを指摘された」「眠っても疲れが取れない」とお悩みなら、いびき・睡眠時無呼吸症候群の治療実績をもつ「いびきメディカルクリニック」にご相談ください。昼寝に関するレクチャーはもちろん、いびき・睡眠時無呼吸症候群の治療方法を提案します。
よくある質問
昼寝の効果を得ながらスッキリとした目覚めを確保したい場合には、昼寝の時間を30分以内に抑えるのが良いと言われています。15~20分で実施するパワー・ナップ、10分程度で実施するミニ・ナップがおすすめです。