メラトニンと睡眠の関係とは?セロトニンや快眠を得る効果的な方法も解説

目次
「最近どうも寝つきが悪い」「眠りが浅くて快眠できない」
そんな悩みをお持ちではないでしょうか。
それはもしかしたら、メラトニンの不足が原因かも知れません。
メラトニンと睡眠は深い関係にあり、セロトニンという別の因子も関わっています。
この記事では、メラトニンが睡眠にもたらす影響やセロトニンについて詳しく解説。
さらに、メラトニンが減少する原因と増やすために効果的な生活習慣を紹介します。
この記事を最後まで読むことで以下がわかります。
- メラトニンとは何か
- メラトニンの効果や役割
- メラトニンとセロトニンの関係
- メラトニンが減少する原因と増やす方法
眠りの質を改善して快眠を得るために、ぜひ参考にしてください。
メラトニンとは

メラトニンとは、脳の真ん中にある松果体という器官から分泌され、睡眠や覚醒のリズムを整えるホルモンです。
メラトニンは光の刺激が弱くなると分泌を増やして眠気をもたらし、光を浴びることで分泌量を減らして覚醒させます。
このようにメラトニンが体内リズムを調整するのは人間に限ったことではありません。
たとえば季節に応じて移動する渡り鳥や冬眠する動物なども、メラトニンの作用によるものです。
メラトニンは、睡眠を促進する働きを持つことから「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
参考:
メラトニン(めらとにん)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
メラトニンの効果や役割

メラトニンの効果や役割は主に以下の通りです。
- メラトニンの効果・役割①:睡眠と覚醒のバランスを整える
- メラトニンの効果・役割②:概日リズムを調整する
- メラトニンの効果・役割③:免疫力を強化する
- メラトニンの効果・役割④:自律神経を調節する
では、1つひとつ確認していきましょう。
メラトニンの効果・役割①:睡眠と覚醒のバランスを整える
メラトニンには睡眠と覚醒のバランスを整える効果と役割があります。
私たちが起床して朝日を浴びると光の刺激によってメラトニンの分泌を抑制して覚醒させ、約15時間後(就寝1~2時間前)になると分泌を増やして眠気を増大させているのです。
メラトニンの増減によって、睡眠と覚醒の体内リズムが整えられているといえます。
参考:
メラトニンとは?睡眠との関係性やメラトニンを減らさないためのポイント|サントリーウエルネス
メラトニンの効果・役割②:概日リズムを調整する
メラトニンには、概日リズムを調整する役割もあります。
概日リズムとは24時間周期のサイクルを持つ生理現象で、睡眠や覚醒、ホルモン分泌、体温管理など、生命維持に欠かせないものです。
メラトニンは、光の刺激によってホルモンの分泌を調整することで、概日リズムを整える働きを持ちます。
メラトニンの効果・役割③:免疫力を強化する
メラトニンには、免疫システムを助けて感染症などに抵抗力を持たせる効果もあります。
なぜなら、メラトニンには優れた抗酸化特性があるからです。
抗酸化特性によってストレスや加齢などによる免疫力の低下を防ぎ、感染症や動脈硬化、がんなどに抵抗力を持たせます。
メラトニンの効果・役割④:自律神経を調節する
メラトニンには、自律神経の調節を行う役割もあります。
自律神経には活動時や緊張時に働く交感神経と、睡眠時やリラックス状態のときに働く副交感神経があり、メラトニンは副交感神経を優位にする作用を持っています。鬱病で不安感や緊張状態が続くのは、メラトニンの分泌が低下するのも原因の1つなのです。
メラトニンが分泌されることで副交感神経が優位になり、リラックス状態から睡眠に導かれます。
メラトニンと睡眠の関係とは

ここでは、メラトニンと睡眠の関係について解説します。
メラトニンは明るい環境にあると分泌が抑制され、暗くなると分泌が増える特徴を持つホルモンです。
朝起きて朝日を浴びることでメラトニンの分泌が抑制され、15時間後(就寝の1~2時間前)になると分泌が活発になって眠くなります。
睡眠に深い関係があるので「睡眠ホルモン」と呼ばれることもあります。
参考:
メラトニンとは?睡眠との関係性やメラトニンを減らさないためのポイント|サントリーウエルネス
メラトニンとセロトニンはどういう関係?

メラトニンと一緒によく語られるのがセロトニンです。
メラトニンとセロトニンはどういう関係にあるのでしょうか。
ここでは以下の2つについて解説します。
- セロトニンとは
- メラトニンとセロトニンの関係
では、順に見ていきましょう。
セロトニンとは
セロトニンは脳内の神経伝達物質の1つで、メラトニンの原料となっているホルモンです。
セロトニンは以下の役割を持ちます。
- 気持ちを安定させる
- 不安や緊張を引き起こすノルアドレナリンを抑制する
- 怒りや不安などのネガティブな感情を抑える
- メラトニンの原料になる
マイナスな感情を抑えて安定した気持ちに導くセロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれています。
参考:
幸せホルモン「セロトニン」とは?セロトニンの作用と増やす方法を解説|サントリーウエルネス
メラトニンとセロトニンの関係
メラトニンとセロトニンは、睡眠を介して非常に深い関係にあります。
前述したように、起床時に朝日を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されますが、同時にセロトニンが分泌されます。
セロトニンは光を浴びると増えるホルモンだからです。
起床時から日が沈むまでの間に作られたセロトニンを原料にして、夜になるとメラトニンが分泌されるのです。
十分なメラトニンを分泌して快眠を得るためには、昼間にたっぷりセロトニンを作ることが重要だといえます。
メラトニンが不足するとどうなる?

前章では、セロトニンがメラトニンの原料になるということをお話ししました。
では、メラトニンが不足するとどうなるのでしょうか?
メラトニンが不足すると以下のような状態になります。
- 寝つきが悪い
- 眠りが浅い+
- 朝起きてもすっきりしていない
- 集中力が低下する
- イライライする
- 身体がだるい
思いあたる方はメラトニンが不足している可能性があるため注意が必要です。
次章では、メラトニンが減少する原因について解説します。
参考:
メラトニンについて|California Nutrients, Inc.
メラトニンが減少する4つの原因

メラトニンが減少する原因は主に以下の4つです。
- 加齢
- 夜更かし
- ストレス
- 栄養の不足
順に解説していきましょう。
①加齢
メラトニンが最も分泌されるのは10歳で、その後は年齢と共に低下していきます。
10代後半には急激に分泌量が減り、40代になると20代の1/4程度、さらに50代、60代には不眠になっても不思議ではないほど低下する方も珍しくありません。
参考:
睡眠を見直して毎日の疲れをリセット|FANCL CORPORATION
②夜更かし
夜更かしや昼夜逆転の生活もメラトニンの分泌を阻害します。
なぜなら、メラトニンが分泌されるのは朝起きて明るい光を浴びてから約15時間後とされているからです。
たとえば起きるのが夕方であると、十分に光を浴びることができません。
光を浴びることで分泌したセロトニンが原料となって、夜にメラトニンが作られるので、夜更かしや昼夜逆転の生活だとメラトニンが不足してしまいます。
参考:
メラトニンとは?睡眠との関係性やメラトニンを減らさないためのポイント|サントリーウエルネス
③ストレス
ストレスもメラトニンを減少させる一因です。
その理由は、ストレスがホルモンバランスを崩し、セロトニンを分泌させる神経を弱らせるからです。
原料となるセロトニンの分泌が減ると、メラトニンも減少してしまいます。
④栄養の不足
意外と思われるかもしれませんが、栄養の不足もメラトニンの減少につながります。
メラトニンの原料となるセロトニンはトリプトファンと呼ばれるアミノ酸の一種から作られます。
トリプトファンは体内では生成できないため、栄養が不足するとメラトニンも減少するのです。
メラトニンを増やすのに効果的な6つの生活習慣

前章ではメラトニンが減少する原因を紹介しました。
では次に、メラトニンを増やすのに効果的な生活習慣を紹介します。
効果的な生活習慣は主に以下の6つです。
- 睡眠時間を十分確保する
- 朝の光を浴びる
- 夜は室内を暗めに調整
- 就寝前はスマホやパソコンを使わない
- 就寝の1~2時間前にゆっくり入浴
- 腸内環境を整える食生活と適度な運動
では、1つずつ確認していきましょう。
1.睡眠時間を十分確保する
メラトニンを増やすために何より大切な生活習慣は、十分な睡眠時間の確保です。
メラトニンは暗くなってから分泌されるホルモンなので、夜は遅くても12時までに部屋を暗くして眠り、7時間程度の睡眠時間が取れる生活リズムを目指しましょう。
2.朝の光を浴びる
朝の光を浴びることはメラトニンを増やすために効果的です。
光によってメラトニンが抑制されてセロトニンの分泌が開始され、副交感神経から交感神経に切り替わります。
メラトニンの原料となるセロトニンをしっかり分泌させると、夜はメラトニンを増やすことができるのです。
3.夜は室内を暗めに調整
夜は室内を暗めに調整してメラトニンの分泌を促し、リラックス状態へと導きましょう。
明るく照らされた室内では、メラトニンを十分に分泌できません。
メラトニンは暗い環境で分泌が増え、自律神経を交感神経から副交感神経へと切り替えるからです。
夜は室内の照明を暗めにして過ごすようにしましょう。
4.就寝前はスマホやパソコンを使わない
就寝前のスマホやパソコンは、メラトニンの分泌を抑制してしまいます。
スマホやパソコンから出る強い光はによってメラトニンが抑制され、交感神経から副交感神経に切り替わることができなくなるからです。
就寝の2時間前にはスマホやパソコンの操作をやめるようにしましょう。
5.就寝の1~2時間前にゆっくり入浴
就寝の1~2時間前にゆっくり入浴してリラックスするのは、メラトニンを増やすために効果的です。
メラトニンの分泌が増えるタイミングは就寝の1~2時間前といわれているので、その時間に合わせて入浴すると十分なリラックスが得られます。
入浴によって副交感神経が優位になる効果も期待でき、快眠が得られます。
参考:
メラトニンとは?睡眠との関係性やメラトニンを減らさないためのポイント|サントリーウエルネス
6.腸内環境を整える食生活と適度な運動
あまり知られていないことですが、腸内環境を整えて適度な運動をおこなうのも、メラトニンを増やすために効果的です。
なぜなら、腸内に善玉菌が多い状態だと、食事から摂取したトリプトファンがメラトニンに変換されやすいからです。
また、腸内環境を良くするためには適度な運動で血流を良くすることも必要です。
メラトニンを増やす5種の食材

食事によってメラトニンを増やすには、必須アミノ酸であるトリプトファンとビタミンB6の摂取が必要です。
なぜなら、メラトニンの原料であるセロトニンはトリプトファンを原料とし、さらにビタミンB6が作用することで作られるからです。
ここでは、メラトニンを増やすために効果的な食材を5種類紹介します。
1.乳製品
乳製品は豊富にトリプトファンを含んでいます。
特に脱脂粉乳やチーズのような加工品はメラトニンを増やすのに有効です。
2.大豆製品
大豆製品もトリプトファンを含む食材です。
豆腐やきな粉、納豆、味噌などから摂るのがおすすめですが、たとえばみそ汁に納豆を入れた納豆汁や、きな粉を牛乳に混ぜたきな粉牛乳のように食材をミックスすると、より効果的です。
3.バナナ
果物の中でトリプトファンを多く含むのは、バナナです。
バナナにはトリプトファンやビタミンB6に加えて、ビタミンやミネラルも豊富に含まれます。
調理不要で手軽に食べられる点からも、バナナはおすすめの食材です。
4.赤身の魚
マグロやカツオなどの赤みの魚は、トリプトファンを豊富に含む食品です。
より効果的な食べ方としては、刺身や寿司などの生食をおすすめします。
また、かつお節やまぐろの缶詰なども、手軽にトリプトファンを摂取できる食材です。
5.ナッツ類
ナッツ類もメラトニンを増やすのに効果的な食品です。
特にトリプトファンを多く含むのは、ピスタチオやアーモンド、クルミ、カシューナッツなど。
ナッツ類はカロリーが高いため食べ過ぎには注意が必要ですが、一日ひとつかみ(25g)程度を目安に食べると良いでしょう。
メラトニンを増やして快眠を目指そう

メラトニンは睡眠と深い関係にあります。
ストレスの多い現代社会では、メラトニンやセロトニンが不足して睡眠不足に陥りがちです。
- 十分な睡眠時間を確保
- 朝日を浴びる
- 夜は室内を暗めに
- 就寝前にスマホやパソコンを使わない
- 就寝の1~2時間前にゆっくり入浴
- メラトニンを増やす食事
- 腸内環境を整える
以上に注意してメラトニンを増やし、快眠を目指しましょう。
よくある質問
メラトニンを増やすには十分な睡眠時間を取り、起床時は朝日をしっかりと浴びましょう。
夜は室内を暗めにして、就寝前にはスマホやパソコンの使用をやめてゆっくりと入浴するのも効果的です。
さらにメラトニンを増やすのに有効なトリプトファンやビタミンB6を含む食品を摂取し、腸内環境を整える食事と適度な運動を心がけましょう。