【鼻づまり】睡眠時無呼吸症候群と鼻詰まりの関係性について
目次
「最近、鼻詰まりのせいでいびきをかくようになった…」
「鼻が詰まって熟睡できない!」
このように、鼻詰まりによるいびきの悩みをお持ちの人は多いのではないでしょうか?鼻詰まりは、いびきの原因になったり、時には睡眠時無呼吸症候群の引き金になったりすることもあるので、注意が必要です。
しかし、どうして鼻詰まりが睡眠時無呼吸症候群のきっかけとなるのでしょうか?この記事では、鼻詰まりがいびき・睡眠時無呼吸症候群の原因となる理由と、そのメカニズム、そして睡眠時無呼吸症候群を解消するための治療法もご紹介します。ぜひ、鼻詰まりによるいびきを改善する参考にしてください。
睡眠時無呼吸症候群って何?
はじめに、睡眠時無呼吸症候群の基本情報について解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、その名の通り睡眠中にしばしば呼吸が止まってしまう病気です。寝ている間は毎回大きないびきをかくのが特徴で、成人男性の約3〜7%、女性の約2〜5%にみられます。
この睡眠時無呼吸症候群は、さまざまな原因で空気の通り道である気道が狭くなることによって発症します。代表的な原因は、肥満です。肥満によって、首の周辺や舌の周りに脂肪が沈着し、気道を狭めて圧迫することでいびきをかきやすくなります。
また、日本人特有のあごの骨格もいびきをかく原因のひとつです。これは、欧米人に比べて日本人はあごが小さく、首が太くて短いため、気道を狭めやすいことが影響しています。他にも、飲酒や喫煙などの生活習慣もいびきをかきやすくなる要因になるため、どんな人にとってもいびきは要注意です。
参考:
いびき(睡眠時無呼吸)治療と鼻づまり
いびき、睡眠時無呼吸症候群は鼻詰まりを改善することも重要
I-05 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)
睡眠時無呼吸症候群と鼻詰まりの関係性
では、どうして鼻詰まりが睡眠時無呼吸症候群の原因になるのでしょうか?それは、口呼吸が増えていびきをかきやすくなるためです。
睡眠中に鼻が詰まると、鼻からの空気の出し入れがうまくできなくなり、代わりに口で呼吸をするようになります。そして、寝ている間の口呼吸は喉の筋肉を緩ませ、舌が喉の奥に落ち込んで気道の閉塞を助長させます。これが、鼻詰まりがいびきを発生させるメカニズムです。また、口腔内の水分が蒸発して乾燥するので、いびきの音が大きくなる要因にもなります。ですので、寝ている時は口呼吸ではなく、鼻呼吸を意識することが大切です。
では、鼻詰まりを起こしてしまう原因には、どのようなものがあるのでしょうか?それには、以下のような疾患が関係しています。
風邪・花粉症
まずは、風邪・花粉症による鼻詰まりです。風邪や花粉症になると、鼻が詰まって息がしづらくなった経験はありませんか?これにより、普段はいびきをかかないのに、この時だけはいびきをかくという人も多いでしょう。
風邪・花粉症によるいびきは、原因が一時的なものであるため、症状が治ればいびきも自然と改善する場合が多いです。健康に悪影響を及ぼすことも少ないので、そこまで心配する必要はありません。
参考:
いびきってどうやって治すの?原因別に対処法を徹底解説!
通年性アレルギー性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎は、ダニやホコリなどの原因によって、1年を通してくしゃみや鼻水、鼻詰まりがある鼻炎です。上記で紹介した花粉症は、スギやヒノキの花粉などが原因によって発症するもので、季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。 この通年性アレルギー性鼻炎は、季節に関係なく年中鼻炎症状が認められるのが特徴です。そのため、鼻呼吸が妨げられ、日常的な口呼吸を引き起こします。場合によっては、睡眠時無呼吸症候群のきっかけとなることもあるので、放置せずきちんと治療することが大切です。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の発症は、副鼻腔(頬、顔、目の周りの骨の空洞部分)が炎症を起こすことが原因です。炎症の発端はウイルスや細菌感染で、これによって副鼻腔内に膿が溜まります(急性副鼻腔炎)。そしてこれが慢性化すると、中に溜まった膿が排出できなくなって炎症が悪化し、さらに膿が溜まるという悪循環に陥ります。この状態が、慢性副鼻腔炎です。
慢性副鼻腔炎になると、以下のような症状を認めます。
- 鼻閉(鼻詰まり)
- 黄色く粘り気のある鼻水が出る
- 鼻水が喉の方へ落ちてゆく後鼻漏(こうびろう)
- 咳が出る
- 頭痛や頭重感
- 嗅覚障害
上記のように慢性副鼻腔炎は、鼻水や鼻詰まりなどが主な症状のため風邪だと誤認されやすく、治療が後回しにされがちです。そのため、気づかないうちに睡眠時に口呼吸になり、睡眠時無呼吸症候群に移行してしまうことがあります。
そして慢性副鼻腔炎の治療は、専門の医療機関で膿を除去したり、薬物療法で炎症を抑えたりするなどの方法があります。慢性副鼻腔炎が解消すれば、いびきや睡眠時無呼吸症候群も改善される場合が多いので、症状に心当たりがある場合は、速やかに耳鼻咽頭科を受診して治療を受けましょう。
参考:
ちくのう症(蓄膿症)と副鼻腔炎の違いって?
副鼻腔炎(蓄膿症)とは?症状と原因・検査・治療法を解説
鼻中隔湾曲症
鼻の中で、左右の鼻腔を隔てる壁のことを鼻中隔(びちゅうかく)と言いますが、この鼻中隔が生まれつき強く湾曲していて、睡眠中の鼻呼吸を著しく妨げる場合があります。これが、鼻中隔湾曲症です。ただし、鼻中隔の湾曲自体はそれほど珍しいことではありません。少々の湾曲であれば、ほとんどの人に見られます。
しかし、鼻中隔湾曲症の人は上記で紹介したようなアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がないにもかかわらず、強い鼻詰まりや鼻閉感があります。その他、主な症状は以下の通りです。
- 慢性的な口呼吸
- いびきをかく→熟睡できずに睡眠不足に陥る
- 頻繁に頭痛がある
- 嗅覚障害がある
- 狭くなった鼻腔内の粘膜が敏感になり、鼻血が出やすくなる
また、鼻中隔湾曲症の治療法は主に湾曲を解消する外科手術で薬物療法などはなく、併発している疾患の有無や程度によっても手術方法が異なります。このように、鼻中隔湾曲症の治療には手間がかかるため、中には治療を億劫に感じる人もいるでしょう。しかし、放置すると睡眠時無呼吸症候群の発症につながる恐れがあるため、なるべく早く専門医の診断を受けることが大切です。
鼻中隔湾曲症については下記記事でも詳しく解説してので、是非チェックしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群を治療しないとどうなるの?
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まり、いびきを発症する病気です。ですが、なぜいびきをかくことがそれほど問題なのでしょうか?それは、睡眠時無呼吸症候群はさまざまな合併症の引き金となり、時には突然死につながってしまうからです。
睡眠時無呼吸症候群は突然死のトリガーに
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も無呼吸状態になるため、その度に脳は足りない酸素を補おうと中途覚醒を繰り返します。すると、脳は興奮状態となり、体中に「緊急事態だ!」と命令を出します。これにより引き起こされるのが、高血圧です。
そしてこの高血圧は、さまざまな合併症のトリガーとなり、時には突然死につながりかねない疾患の発症リスクを高めます。代表的なものは以下の通りです。
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 心筋梗塞
- 脳卒中
また、慢性的な睡眠不足による居眠り運転や作業中の事故、そしてうつ病発症の原因にもなります。まさに、睡眠時無呼吸症候群は「死に至る病」といっても過言ではありません。「たかが、いびき」と甘く考えずに、専門医による治療を受けましょう。
以下の記事でも、睡眠時無呼吸症候群のより詳しい症状や、合併症の危険性について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「私、睡眠時無呼吸症候群かも…」と思ったら
ここまでの内容を読んで、「もしかして私、睡眠時無呼吸症候群かも…」と思った人は、速やかに専門の医療機関で治療を受けましょう。特に、鼻詰まりによるいびきに心当たりのある人は、耳鼻咽頭科を受診するのがおすすめです。鼻詰まりの原因や、無呼吸症状の程度に合わせて治療をすることができます。繰り返しになりますが、睡眠時無呼吸症候群は突然死のリスクがとても高い疾患です。ですので、放置は厳禁。なるべく早い受診を心がけましょう。
また、自分が睡眠時無呼吸症候群なのか、よくわからないと言う人もいるでしょう。そんな人は、以下の記事で睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックができるので、ぜひやってみてください。
睡眠時無呼吸症候群の検査と治療について
睡眠時無呼吸症候群と診断するには、次のような検査を行ったのち、気道の閉塞を改善する治療が行われます。
検査法
検査は、携帯型装置による簡易検査(アプノモニター)や睡眠ポリグラフ検査(PSG)によって、睡眠中の呼吸状態の評価を行います。
検査を行った結果、AHI(1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数)が5以上だと睡眠時無呼吸症候群と診断され、AHIが5~15で軽症、15~30で中等症、30以上で重症とされます。
治療法
一般的な睡眠時無呼吸症候群の治療法は、CPAP治療です。主な方法としては、鼻にマスクを装着し、そこから持続的に空気を送り込むことで狭くなっている気道を広げ、いびきの発生を防ぎます。数ある睡眠時無呼吸症候群治療の中で最も安全性が高く、頻繁に行われる治療法です。
多くの人は、この治療を終えると睡眠中のいびきや無呼吸症状が軽減し、ぐっすりと眠れるようになります。また、慢性的な睡眠不足も解消され、突然死につながる疾患の発症リスクを下げることも可能です。
ただし、鼻詰まりがかなり深刻な場合は、CPAPを行っても効果が得られないこともあります。また、高圧で空気が送り込まれることに苦痛を感じ、途中で治療を断念する人も少なくありません。
鼻詰まりによる睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まずは鼻詰まりを起こしている疾患の治療が行われます。上記でも説明しましたが、鼻詰まりの程度や疾患によって治療方法が異なるので、詳しくは専門医にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の根本治療をしたいなら
私たちいびきメディカルクリニックでは、いびきの根本治療としてパルスサーミア治療を行っています。
パルスサーミアは他の治療法とここが違う!
パルスサーミアとは、当院オリジナルのいびき治療で、特殊なレーザーを使用して口蓋垂(こうがいすい)や軟口蓋(なんこうがい)の粘膜の膨らみを除去し、いびきの原因である気道の閉塞を改善する治療法です。従来のレーザー治療では、レーザー照射部分に痛みや出血、腫れを伴うことがあり、患者様の苦痛がとても大きいのが難点でした。また、術後数週間は食べ物が飲み込みづらくなるなどのデメリットもありました。
しかし、パルスサーミアは「切らないいびき治療」なので、術後の出血・痛み・腫れはほぼありません。また、ダウンタイムも数日で済むようになり、治療後はスムーズに日常生活に戻ることができます。さらに、施術にかかる時間はわずか15分程度と短いので、日帰り治療が可能です。会社を何日も休む必要がないので、ストレスなく治療に臨むことができます。
まとめ
今回は、鼻詰まりと睡眠時無呼吸症候群の関係について解説しました。鼻詰まりによる日常的な口呼吸は、いびきだけでなく睡眠時無呼吸症候群につながることもあるため、とても危険です。
そして、鼻詰まりを引き起こす疾患には、風邪・花粉症や、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などがあります。症状が軽度であれば、治療も薬物療法などで済みますが、場合によっては大掛かりな手術が必要です。鼻詰まりによるいびきに心当たりのある人は、自分の鼻詰まりがどんな疾患によって引き起こされているのか、専門医による正しい診断を受けるようにしましょう。
【よくある質問】
Q.どうして鼻が詰まると睡眠時無呼吸症候群になるの?
A.睡眠中に鼻が詰まると、鼻からの空気の出し入れがうまくできなくなり、代わりに口で呼吸をするようになります。そして、寝ている間の口呼吸は喉の筋肉を緩ませ、舌が喉の奥に落ち込んで気道の閉塞を助長させます。これが、鼻詰まりが睡眠時無呼吸症候群を発症させるメカニズムです。
Q.鼻詰まりを治すにはどうしたら良い?
A. 鼻詰まりを引き起こす原因には、風邪や花粉症などの一時的な疾患によるものや、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などの慢性疾患によるものがあります。それぞれ、鼻詰まりの程度や症状によって治療法も異なるので、詳しくはお近くの耳鼻咽頭科に相談するようにしましょう。