【意外な関係性】糖尿病と睡眠時無呼吸症候群の関係性について
目次
「最近疲れがなかなか取れない…」
「しっかり寝たはずなのに日中眠い…」
このような不眠症状に悩んでいる人はいませんか?もしかするとそれは、いびきによる睡眠時無呼吸症候群が引き起こしているものかもしれません。そして最近の研究では、睡眠時無呼吸症候群に罹患すると、糖尿病の発症リスクが高まることもわかっています。
しかし、なぜ睡眠時無呼吸症候群と糖尿病が密接な関係にあるのでしょうか?
そこでこの記事では、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係性について解説し、症状を防ぐための対策をご紹介します。いびきによる睡眠不足と糖尿病に悩む人は、ぜひご覧ください。
糖尿病ってどんな病気?
まずは、そもそも糖尿病とはどのような病気なのか、詳しく解説していきます。
糖尿病とは
糖尿病とは、糖を代謝する際に分泌されるインスリンの作用不足によって細胞に糖が取り込めなくなり、血液中の糖の割合が増えて高血糖になる疾患です。
糖尿病は、インスリンの作用が低下するプロセスによって、以下の2種類に分類されます。
・1型糖尿病:インスリンが分泌されなくなる(インスリン分泌障害)
・2型糖尿病:インスリン分泌は行われるが効きにくくなる(インスリン抵抗性亢進)
参考:
2022年4月14日、糖尿病とは
糖尿病とは?原因と症状(初期症状)
1型糖尿病
1型糖尿病とは、膵臓β細胞が何らかの原因で破壊されることによって、インスリンの分泌量が急激に低下することで発症します。
膵臓β細胞が破壊される原因はさまざまで、遺伝的な要因に加えて、ウイルス感染を発端とする自己免疫異常が引き金となると考えられています。ゆえに、発症するケースは非常にまれで、日本の全糖尿病患者の5%ほどしかいません。
発症するのは主に小児〜思春期で、徐々に膵臓のインスリン分泌能は低下し、最終的に全くインスリンが分泌されなくなります。よって、1型糖尿病患者の多くは日常的にインスリンの自己注射を携帯し、定期的な接種が必要になります。
また、この糖尿病の特徴として、体型に関係なく発症することがあります。わかりやすく言うと、1型糖尿病の人は痩せていても高血糖になる場合が多いです。
その理由は、1型を発症する原因は、もともとインスリンを出す能力が低いことにあるため、健康的な生活習慣を送っていても高血糖になるからです。そのため、下記で解説する生活習慣不良が原因で発症する2型とは違い、太っている・痩せているに関係なく発症します。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌障害とインスリンが十分に作用しない抵抗性が増大することによって、慢性の高血糖に陥ります。
2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で、10人に9人以上はこのタイプです。また、若い人でも発症する場合もありますが、多くは40歳を過ぎてから発症します。さらに、1型は先天的な要因が強いのに対し、2型は遺伝よりも後天的な生活習慣が大きく影響することがほとんどです。
「糖尿病」と聞くと、多くの人は甘いものの摂りすぎが原因だと思うかもしれませんが、発症の原因はさまざまです。肥満や過食の他に、脂質の摂り過ぎ、運動不足、ストレス、加齢などがあります。また、もともと軽度のインスリンの分泌障害があったのに加えて、過食や肥満などの要素が重なり、2型糖尿病を発症するケースもあります。
糖尿病の主な症状
1型、2型ともに、主な症状は以下の通りです。
・多尿
・口渇(喉が渇く)
・多飲(水をたくさん飲む)←高血糖による脱水症状による
そして上記に加えて、2型糖尿病では病状が進行するに従って次のような症状が見られるようになります。
・疲労感
・皮膚が乾燥して痒い
・手足の感覚が低下する、またはチクチク刺すような痛みがある
・感染症によくかかる
・目がかすむ
・切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
参考:
2022年4月14日、糖尿病とは
糖尿病とは?原因と症状(初期症状)
糖尿病と睡眠時無呼吸症候群の意外な関係性
糖尿病の基本的な情報をまとめると、1型の原因は先天的な自己免疫異常、2型は後天的な生活習慣不良が原因で引き起こされることがおわかりいただけたと思います。そのため、肥満などの生活習慣病との関連はほとんどない1型糖尿病は、睡眠時無呼吸症候群との関連性はほぼないと言えるでしょう。
関連性があるのは、2型糖尿病です。どのような関係なのか、詳しく解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群が糖尿病を引き起こす?
睡眠時無呼吸症候群は、さまざまな原因で睡眠中に気道が閉塞することで、呼吸が止まる無呼吸状態に陥り、慢性的な睡眠不足を引き起こす疾患です。特徴として、非常に大きないびきをかきます。詳しい情報は、下記に掲載されているのでご覧ください。
そして最近の研究によって、この睡眠時無呼吸症候群が2型糖尿病の発症リスクを高めることがわかってきました。
アメリカで1,387名の一般住民を対象に、大規模な睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の合併率の調査が行われました。その結果、AHI(無呼吸低呼吸指数:睡眠時無呼吸症候群の重症度指標)が多いほど、つまり無呼吸が重症になればなるほど、糖尿病の合併率が高くなることが示されました。
また、年齢・性別・ウエストまわりで補正しても、4年以内に糖尿病を発症するリスクは、AHI5未満に比べAHI15以上だと1.62倍であったと報告されています。
要するに、睡眠時無呼吸症候群を発症すると、糖尿病も併発する可能性が高いことがわかったのです。このような関連性が見られる科学的なメカニズムについては、現在のところよくわかっていません。
ただ、睡眠時無呼吸症候群で見られる低酸素状態と、正常な酸素状態が複数回交互に繰り返されることや、無呼吸から呼吸を再開する際の中途覚醒が、糖代謝異常に何らかの影響を及ぼす可能性は指摘されています。また、中途覚醒時の交感神経の活性化やそれに伴う心拍数増加による高血圧が、糖尿病発症リスクを高めると考えられています。
参考:
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病
[睡眠時無呼吸症候群(SAS)が招く合併症] リスク増加睡眠時無呼吸症候群(SAS)と糖尿病
糖尿病が睡眠時無呼吸症候群を悪化させることも
2型糖尿病は、睡眠時無呼吸症候群によって発症リスクが高まるだけでなく、2型糖尿病が睡眠時無呼吸症候群を悪化させることもあります。
2型糖尿病を発症している人は、肥満も併発している場合が多いです。肥満とは、体内の脂肪組織が過剰に蓄積した状態を指します。
肥満になると、蓄えられた内臓脂肪からインスリン抵抗性を促進させたり、動脈硬化を進行させたりする物質が出ることがわかっています。ゆえに肥満になると、糖尿病が悪化し、さらに肥満が重症化してしまうのです。
そして、重度の肥満は睡眠時無呼吸症候群をも悪化させます。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が閉塞することによって発生する睡眠障害ですが、この気道の閉塞を引き起こす原因で最も多いのが肥満です。
肥満、特に内臓脂肪型肥満になると、腹部だけでなく首周りや舌、喉にも脂肪がつきます。この脂肪が睡眠中に気道を圧迫し、空気の通り道を塞いでしまうのです。
つまり、肥満を伴う糖尿病は睡眠時無呼吸症候群の原因である気道の閉塞を招き、悪化させることにつながります。
参考:
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病
[睡眠時無呼吸症候群(SAS)が招く合併症] リスク増加睡眠時無呼吸症候群(SAS)と糖尿病
治療しないとどうなるの?
しかし、睡眠時無呼吸症候群も糖尿病も、どうしてそれほどまでリスクや危険性が注目されているのでしょうか?それはともに、放置すると命に関わる危険な合併症を引き起こしてしまうからです。
睡眠時無呼吸症候群の合併症
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、まず高血圧を発症します。先ほども触れましたが、睡眠時無呼吸症候群によって低酸素状態が繰り返されると、脳は足りない酸素を補おうと交感神経を活発にさせて心拍数を上げます。これが定着した状態が、高血圧です。
高血圧を長く患うと、体にはさまざまな悪影響が現れます。血圧がずっと高いままだと血管に負担がかかり、いずれ動脈硬化につながります。また、それによってできた血栓が脳や心臓の毛細血管で詰まってしまうと脳卒中や心筋梗塞を招きます。
もちろん、先ほどから説明しているように、肥満や糖尿病などの生活習慣病を悪化させることは言わずもがなです。
そして、睡眠時無呼吸症候群によって慢性的な睡眠不足になると、日中に耐え難い眠気を感じるようになります。それが、運転中や仕事中の死亡事故や、ストレスによるうつ病、自殺などの原因となることもあります。
このように、睡眠時無呼吸症候群は放っておくと危険な合併症を次々と引き起こし、最悪命を落とす可能性もあるのです。
参考:
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病
[睡眠時無呼吸症候群(SAS)が招く合併症] リスク増加睡眠時無呼吸症候群(SAS)と糖尿病
糖尿病の合併症
糖尿病も、治療せずに放置すると危険な合併症を発症することがあります。
特に、糖尿病の三大合併症と呼ばれているのが、下記の3つです。
・糖尿病網膜症:徐々に視力低下が進み、最終的には失明する
・糖尿病腎症:腎不全を引き起こし、人工透析が必要になる
・糖尿病神経症:痺れなどの感覚障害から始まり、最悪の場合潰瘍(皮膚の欠損)や壊疽(組織の壊死)につながることも
見ていただくとわかるように、どれも失明や透析、組織の壊死など生活のQOLを著しく低下させる疾患ばかりです。
これらの合併症は発症率が非常に高く、治療しないでいるとほぼ確実に症状が現れます。しかも、どれも自覚症状に乏しく、気づいたときにはかなり病状が進行しているケースもよくあるため、早期発見・早期治療が必要になります。
睡眠時無呼吸症候群による糖尿病を防ぐには
それでは、睡眠時無呼吸症候群による糖尿病発症を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか?具体的な対策をご紹介します。
栄養バランスの取れた食事
糖尿病においても、睡眠時無呼吸症候群においても、発症の根本的な原因は肥満です。ゆえに肥満を解消、予防することが、睡眠時無呼吸症候群による糖尿病を防ぐ上でとても大切になります。
そのためには、栄養バランスがしっかり整った食事を1日3回決まった時間に摂ることが先決です。特に、糖尿病を発症する人は、脂の多い食事を摂りがちなので、炭水化物・タンパク質・脂質のバランスが取れた食事を意識すると良いでしょう。
ただし、過度にダイエットをしようと食事量を減らすと、インスリン抵抗性が増してむしろ血糖コントロールが困難になってしまいます。あくまでもバランスはキープしつつ、総摂取エネルギーを適正にすることを忘れないでください。
適度な運動
上記と同じく、肥満対策には適度な運動を取り入れることも重要です。内容としては、筋肉痛や疲労などが起こりにくくて継続しやすい有酸素運動を中心に行います。また、筋肉に軽い負荷をかける無酸素運動を組み合わせて行うとより効果的です。
そしてこれが最も大切なことですが、運動だけで肥満の解消を行うことは非常に困難です。肥満の解消には、上記で示したような食事療法が欠かせません。
よく「運動をすれば痩せられる!」と思う人がいますが、運動を行う一番の目的は食後の血糖値上昇を抑えることや、継続して運動をすることによるインスリン抵抗性の抑制にあります。
ゆえに、決して運動だけで肥満を解消しようとはせず、必ず食生活の改善とあわせて行ってください。また、糖尿病の状態によっては運動を制限しなければいけない場合もあるので、医師の指示に従うようにしましょう。
医療機関で検査と治療を受ける
糖尿病も睡眠時無呼吸症候群も、発症した直後は自覚症状がほとんどありません。そのため、症状を自覚したときにはすでにかなり病状が悪化していることがよくあります。
また、両者とも生活習慣や体質、環境などさまざまな要因が複雑に絡み合って症状を起こしている場合がほとんどです。そのため、専門知識のない一般の人が症状を解消しようと思っても、なかなかうまくいきません。それどころか、逆に悪化させてしまうこともしばしばです。
少しでも症状に心当たりのある人は、医療機関に行ってきちんと検査と治療を受けるようにしましょう。
下記の記事で、睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックができるので、日中の強い眠気や「最近太り気味だな」と悩む人は、ぜひやってみてください。
当院での治療をお考えの方は
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まとめ
今回は、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係性について解説しました。
睡眠時無呼吸症候群も糖尿病も、肥満を発端として発症する疾患で、共にどちらかに罹患するとどちらかを悪化させてしまう負の関係にあると言えます。そのため、両者を防ぐには日々の生活習慣を正しく保つことが大切です。
そして、治療せずに放置すると、命に関わる危険な合併症を引き起こすことがあります。心当たりのある人はすぐに医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
【よくある質問】
Q.睡眠時無呼吸症候群と糖尿病にはどんな関係がありますか?
A.睡眠時無呼吸症候群に罹患している人は、糖尿病を併発するリスクが高くなります。また、肥満を伴う糖尿病は睡眠時無呼吸症候群の発症の原因となり、症状悪化につながります。
Q.睡眠時無呼吸症候群による糖尿病を防ぐにはどうすれば良いですか?
A.睡眠時無呼吸症候群も糖尿病も、栄養バランスの取れた食生活を中心に、適度な運動を取り入れることが大切です。