第一回 いびきメディカルクリニック名古屋院 三木先生コラム
はじめまして。いびきメディカルクリニック 名古屋院で診察を行なっている医師の 三木 理です。
睡眠の質が生活や健康へ影響を与えることが広く知れ渡るようになり、近年ではストレスを緩和し睡眠の質を高めると謳われている「ヤクルト1000」といった、眠りの質を上げる商品がヒットしています。そのような健康意識の向上により、睡眠の質を上げる根本的な方法を求めている方が増えているように感じます。
第1回のコラムでは、身体の負担の少ないいびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療法『パルスサーミア』を行なっている、いびきメディカルクリニックの医師として自己紹介を兼ね、いびき治療に携わった経緯や今までの経歴をお伝えしたいと思います。そして、皆様に安心して いびきや睡眠のお悩みをご相談いただき、皆様の生活の質が改善につながれば幸いに思います。
私は、循環器内科医として20年以上、心臓発作や脳卒中などの急性期治療(重症患者に対して状態が安定するまで行なう短期集中的な治療)に携わり、 カテーテル治療を行なってきました。また、指導医にも恵まれ、5つ以上の診療科の現場において、専門的で貴重な経験を積んできました。ある日は、朝一番に心臓カテーテル検査(循環器内科)を行ない、次に アフェレーシス(自己抗体吸着療法 / 膠原病内科)、そして 午後は 腎生検(腎臓内科)を行なった日もありました。血液疾患で骨髄穿刺や無菌室での入院 管理(血液内科)、婦人科から依頼されてカテーテルで子宮卵管造影を行なった経験もあります。
さて、話は循環器内科医としての経験に戻ります。実は、心臓病や脳卒中は、生活習慣病の合併症です。私は、そのような生活習慣病の合併症の患者様に対し、20年以上もの間、急性期治療とともに行なう、塩分制限や適切な運動習慣などの重要性を患者様にも説明してきました。
一方で、医学は常に新しい知見が加わり、医療は日々変化し、多様な治療法が開発されています。例えば、かつて 1990年代は、心臓発作(急性心筋梗塞)の急性期は、安静が必要であり、最短でも 4週間は入院をしなければならないものでした。発作後 10日目で立ち上がり、その後 病室内歩行、2週間後より 病棟歩行・洗髪(介助)、3週間後より 階段歩行・入浴、 4週間後にようやく退院できるという、時間をかけたプログラムです。
しかし、医療の進歩によって、早期離床が予後の改善につながることが分かり、現在では合併症のない心臓発作は1週間で退院するケースもあります。
また、できるだけ早期に血行再建術(冠動脈ステント留置術など)を行なうことが一般的になっています。
このような、昔の医療ではやってはいけないとされた治療方針が、現在では適切であるとされていることは、どの分野においてもたくさんあります。
また、心臓病や脳卒中により、日常生活に支障をきたす後遺症で自宅に帰ることができない方に対する、リハビリテーションにも取り組みました。例として、考えられる後遺症には、次のようなものがあります。
疾患 | 考えられる後遺症 |
心臓発作 | ・心機能の低下 → 軽労作で息切れ トイレに行くのも介助が必要 |
脳卒中 | ・半身麻痺 ・嚥下障害 → 介助が無ければ、日常生活を営むことができない |
けれども、リハビリテーションを行なっても元の生活に戻れる方ばかりではありません。仕事を失うだけでなく、長期入院が必要なため転院したり、入退院を繰り返したりする方たちもいました。
これでは “生活の質” は下がり、医療費も増え続けてしまいます。
また、様々な病気を併発しているため、たくさんの薬を服用している方も多くおられました。この多剤服用には西洋医学の限界を感じ、別のアプローチである漢方薬について学び、処方を始めました。
このように、生活習慣病による疾患の後遺症によって、人々の人生や生活を大きく左右する現実を目の当たりにしたことで、発作を起こしてからの急性期治療だけでなく、発作予防にも別のアプローチが必要であると考えるようになりました。
近年では、高血圧症などの研究で “いびき” が高血圧症の発症に関与していたり、合併症を併発しやすくなったりすることが分かってきました。日中の眠気などを認めない、いわゆる “単純性いびき” は問題ありませんが、一過性でない いびきは “睡眠の質” を悪化させています。その結果 仕事や日常生活のパフォーマンスが低下しているだけでなく、命の危険を脅かす大きな事故を引き起こしかねません。
そのために、いびきの症状を改善し、”睡眠の質” を上げることが大切なのです。
生活習慣を見直すだけでなく、”いびき” を根本的に改善し、様々な健康被害のリスクを軽減したいと思っています。そして、より身体に負担のない治療で多くの方の “生活の質” が改善できればと考えます。
一緒に健康寿命を伸ばしましょう。