不眠症(睡眠障害)の原因や症状とは?眠れないときの対処も解説!
目次
私たち人間にとって、睡眠は健康を維持するのに不可欠な生命活動の一つです。しかし、さまざまな原因によって近年満足な睡眠が取れず、不眠症に陥る方が増加しています。とある調査では、一般成人の30〜40%がなんらかの不眠症状を持っていると言われているほどです。
そして、睡眠の不調はあらゆる病気の原因になったり、症状の悪化を誘発したりするとも言われています。
そこでこの記事では、不眠症の症状や原因について詳しく解説していきます。「最近なかなか寝付けない…」「ちゃんと寝たはずなのに疲れが取れてない…」と悩む方は、ぜひ参考にしてください。
不眠症ってどんな病気?
まずは、不眠症とはどのような疾患なのか解説していきましょう。
不眠症とは
不眠症とは、十分な睡眠が長い間取れないことによって日中の眠気、倦怠感、集中力の低下、食欲低下などを引き起こし、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患です。
おそらく、誰しも一度は「眠ろうとしてもどうしても眠れない」という不眠症状を経験したことはあるでしょう。特に、心配事があるときや大事な試験の前日などは眠れなくなりますが、こうした場合は数日から数週間のうちに自然と症状が解消されるので、基本的に問題はありません。
しかし、症状が何ヶ月にもわたって続き、日常生活にも影響を及ぼす場合は、不眠症などの何らかの病気を発症している可能性が高いと言えます。
特に、次の2つの症状を呈している場合は、不眠症と診断されることが多いため、注意が必要です。
- 夜間の不眠が続いていること
- 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下すること
参考:
不眠症|e-ヘルスネット
健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)
不眠症の主な症状・種類
寝つきが悪くなったり、熟睡感がなくなったりする不眠症ですが、その症状は主に次の4つのタイプに分けられます。それぞれ解説していきましょう。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早期覚醒
- 熟眠障害
入眠障害
入眠障害は、布団に入ってもなかなか眠りに入ることができず、寝つきが極端に悪くなった状態です。
本来、床についてから入眠するまでにかかる時間には個人差があり、どの程度を苦痛と感じるかは人によって異なります。
しかしながら、明らかに以前よりも入眠するまでに時間がかかっていたり、就寝する環境やタイミングが適切であるにもかかわらず、なかなか寝つけなかったりする場合は、入眠障害を起こしている可能性が高いと考えられます。
中途覚醒
中途覚醒は、夜中に何度も目を覚ましてしまう状態です。
誰しも、夏の暑さや冬の寒さ、物音などによって夜中に目を覚ましたことはあるでしょう。このようにはっきりとした要因で中途覚醒を起こしている場合は、原因を取り除けばまたいつものように朝まで眠れるようになるので、基本的に問題はありません。
しかし、明確な原因がないにもかかわらず夜中に何度も目を覚まし、ストレスを感じるようになった場合は、中途覚醒を起こしていると考えられます。
特に、夜中に目を覚ました後になかなか寝つけなかったり、眠れないことに対して精神的な焦りや苦痛を感じたりしている場合は要注意です。
早期覚醒
早期覚醒は、起きたい時間よりも極端に早く目が覚めてしまう状態です。専門家の間では、「希望の起床時間よりも2時間以上早く目が覚めてしまう状態」を早期覚醒と呼びます。
早期覚醒は、一般的に高齢者によく見られる症状です。人は年齢を重ねるごとに生活が「朝型」に近づくため、早く目覚めるようになると言われています。このように、朝早く起き過ぎることが必ずしも健康を害するわけではありません。
ただし、まだ休んでいたいのに早朝に目が覚めてしまったり、疲れが全然取れていないのに目が冴えてしまったりする状態が苦痛と感じるなら、不眠症の症状が出ていると判断されます。
熟眠障害
熟眠障害は、いつもと同じくらい眠っているはずなのに、「全然疲れが取れていない」「眠った気がしない」と感じる状態です。
睡眠の専門家の間では、眠りには「量(睡眠時間)」と「質(睡眠休養感)」の2つがあり、両者が十分に確保されていることが良い睡眠の条件とされています。そのため、単に「睡眠時間が短い=悪」というわけではなく、たとえ短くても、その人にとって最適な睡眠時間が確保され、かつ熟睡して疲労が回復できていれば、基本的には問題はないのです。
しかし、睡眠時間を確保しているにもかかわらず「疲労回復がされない」「どれだけ眠っても眠い」と感じる場合は、熟眠障害と考えられます。
不眠症になる原因は?
不眠症になる原因はさまざまですが、専門家の間では次の「5つのP」のどれかに当てはまると考えられています。
- 心理学的要因(Psychological)
- 身体的要因(Physical)
- 精神的要因(Psychiatric)
- 薬学的要因(Pharmacological)
- 生理学的要因(Physiological)
原因1.心理学的要因(Psychological)
1つ目は、心理学的要因(Psychological)です。なんらかの心理的影響がストレスとなり、不眠症になります。
<例>
- 近日中に大事なプレゼンが控えている
- 家族や親友の死
- 仕事のミスを引きずる
- 人間関係のトラブル など
原因2.身体的要因(Physical)
2つ目の身体的要因(Physical)は、外傷や喘息などの身体的疾患によるものです。痛みや痒みを伴うことで、不眠を生じます。
<例>
- 外傷
- 関節リウマチ
- 湿疹
- 蕁麻疹
- 喘息発作
- 頻尿(夜間頻尿)
- 花粉症 など
原因3.精神的要因(Psychiatric)
3つ目の精神的要因(Psychiatric)は、下記のような精神的な不調や疾患に伴って不眠症を発症します。
<例>
- うつ病
- 双極性障害
- 統合失調症
- 不安障害 など
原因4.薬学的要因(Pharmacological)
4つ目の薬学的要因(Pharmacological)による不眠症は、飲食物に含まれる成分や服用している薬の副作用によって発症します。
<例>
- 抗がん剤
- 自律神経・中枢神経に働く薬
- ステロイド
- アルコール
- カフェイン
- ニコチン など
原因5.生理学的要因(Physiological)
5つ目の生理学的要因(Physiological)は、次のような睡眠環境や生活習慣の乱れが原因で起こる不眠症です。
<例>
- 受験勉強やシフト勤務による昼夜逆転
- 周囲の騒音
- 寝室が明るすぎる
- 暑さや寒さで寝苦しい
- 寝具が体に合っていない など
他の疾患が影響している場合も
上記のように、不眠症はさまざまな原因によって発症しますが、これら以外に別の睡眠障害が原因で不眠症を起こすケースもあります。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
- 周期性四肢運動障害
- 概日リズム睡眠・覚醒障害
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中にしばしば呼吸が止まる無呼吸を引き起こすことで睡眠が障害され、慢性的な睡眠不足に陥る疾患です。
この疾患は、慢性的な不眠症状と合わせ、睡眠時の大きないびきや一時的に呼吸が止まる無呼吸症状を呈するのが特徴です。
また、慢性化すると高血圧や動脈硬化、脳卒中、心臓病を引き起こし、最悪の場合命を落とす可能性もある危険な病気でもあります。しかも、本疾患は発症していることに本人がなかなか気づけません。
睡眠中のいびきを家族に指摘されたことのある人は、すでにSASを発症しているかもしれません。重大な病気に発展してしまう前に、速やかな治療が必要です。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、就寝中に脚がむずむずするなどの異常運動によって睡眠が妨げられる疾患です。
現在のところ、本疾患を発症する明確な原因は明らかになっていませんが、近年の研究ではドーパミンの機能異常や鉄分が関係しているという説が有力です。
実際、不眠症患者の10人に1人の割合でむずむず脚症候群の患者さんがいるとも言われているため、症状に心当たりがある場合は、なるべく早い治療が必要です。
周期性四肢運動障害は、睡眠中に四肢(主に下肢)の筋肉が勝手に収縮や弛緩を繰り返すことで睡眠が妨げられ、中途覚醒を起こす疾患です。
睡眠が妨げられるといっても、本人には両足が動いている自覚はありません。また、上記のむずむず脚症候群と合併することも多く、高齢になるとともに発症しやすい傾向があります。
この疾患も、発症の原因は未だ不明点が多いので、症状に気づいたら早めに治療を受けることが大切です。
概日リズム睡眠・覚醒障害
概日リズム睡眠・覚醒障害とは、地球の明暗サイクルとは異なるタイミングで寝起きするようになる疾患で、「夜になっても眠くならない」「朝になってもなかなか起きることができない」などの症状を引き起こします。
発症の原因は、体内時計の周期と外界の24時間の周期とのズレによるものですが、本来人間の体には体内時計のズレを修正する機能が備わっています。しかしながら、昨今の24時間営業や深夜までの残業などが、このズレを修正しづらい環境を作り出していると考えられます。
本疾患を長く患うと、強い眠気や頭痛・倦怠感・食欲不振などの身体的な不調に加え、周りのリズムに合わせられないことに強いストレスを感じるようになります。異変を感じたら速やかに医療機関を受診することが大切です。
不眠の原因への治療・対処法
さて、ここまで不眠症の原因と症状について解説してきましたが、実際に不眠症状を感じるようになったらどうすれば良いのでしょうか?
「眠れない」は早めに医師に相談
もし、長期にわたって「眠れない」や「寝ても疲れが取れない」と感じる場合は、すぐに医療機関に相談することが大切です。
近年の研究で、睡眠はただ体の疲れを取るだけでなく、脳・心血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、心の健康増進・維持に非常に重要な役割を果たしていることが明らかになっています。そして、睡眠が悪化することで、これらに関連したさまざまな疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まることも報告されています。
いわば、「睡眠は健康維持の第一歩」といっても過言ではないのです。
このことからも、睡眠の不調を決して甘く見てはいけません。何か異変を感じたら速やかに医療機関を受診し、治療を受けるようにしてください。
不眠治療の方法
現在の不眠治療は、睡眠薬を用いた薬物療法が中心です。ただし、すべての治療を薬で行うわけではなく、生活習慣の改善や他疾患の治療も合わせて、総合的に不眠の原因を取り除く治療を行っていきます。
そして、睡眠薬と聞くと「一度使い始めると手放せなくなる」や「次第に効かなくなって量が増えていく」など、過度な恐怖心を抱く方もいるようですが、医師の指示に従い正しく利用すれば、こうした心配はいりません。
また最近は、依存性が少ない睡眠薬も開発され、より安全性は向上していますので、安心して医療機関を受診してください。
いびき・SASのお悩みはいびきメディカルクリニック
今回は、不眠症の原因について詳しく解説しました。
長期にわたって睡眠が満足に取れない不眠症は、れっきとした病気です。それにもかかわらず、不眠症の治療をきちんと受けている人は大変少ないのが現状です。
ぜひ、この記事をきっかけにして自分の睡眠を見直してみてください。
そして、いびきメディカルクリニックではいびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を専門に行っており、これまで多くの患者様が根本改善の達成に成功しています。当院で行っている治療法や患者様の声については、次の記事で詳しくご確認いただけます。
いびき・無呼吸にお悩みの方は、ぜひいびきメディカルクリニックにご相談ください。
よくある質問
不眠症状を自覚したら、速やかに医療機関を受診しましょう。