睡眠障害(不眠症)で休職はできる?手順と注意点について分かりすく解説!
目次
「最近、夜になかなか寝つけない」
「会社を休んで不眠症を治したいけど、不眠症で休職ってできるのかな?」
このように、睡眠の問題で体調を崩し、仕事にも影響が出ている方は多いでしょう。実際、社会人の多くが不眠症を発症していると言われている現代では、睡眠に関する問題はもはや国民病と言っても良いかもしれません。そんな中で、しっかりと療養するために、休職を考えている人はいませんか?
この記事はそんな方に向けて、睡眠障害(不眠症)で休職する方法と注意点について解説していきます。丁寧に解説していくので、ぜひ参考にしてください。
そもそも睡眠障害って?
まずは、睡眠障害とはどのような病気なのか解説していきましょう。
睡眠障害とは睡眠に異常をきたしている状態の総称
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題があり、生活に支障をきたしている状態の総称です。
本来、睡眠には脳を休ませて体の疲労を回復したり、自律神経やホルモンバランスを整えて免疫力を向上させたり、記憶の整理と定着をしたりなどさまざまな働きがあります。
けれども、十分な睡眠がとれなくなると、日中の活動だけでなく心身の健康にも影響を及ぼし、あらゆる不調や疾患の原因となります。
睡眠障害にはさまざまな種類がある
「睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)」によると、睡眠障害には次の6種類が記載されています。
- 不眠症
- 中枢性過眠症
- 睡眠関連呼吸障害
- 概日リズム睡眠・覚醒障害
- 睡眠時随伴症群
- 睡眠関連運動障害群
不眠症
不眠症は、日中の眠気や集中力の低下、慢性疲労などを起こす疾患です。
主な症状としては次の4つがあり、現在日本における睡眠障害の中で最も罹患者が多いとされています。
- 入眠困難:寝床に入ってから30分〜1時間以上眠れない
- 中途覚醒:いったん眠りについても、夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒:起きたい時間よりも、2時間以上早く目が覚める
- 熟眠障害:睡眠時間は十分確保しているのに、眠りが浅く、熟睡した感じが得られない
参考:
不眠症|e-ヘルスネット(厚生労働省)
不眠症(Insomnia) | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
中枢性過眠症
中枢性過眠症は、中枢神経系の異常によって、日中に激しい眠気が現れる睡眠障害です。
中枢性過眠症には、「居眠り病」とも呼ばれる「ナルコレプシー」や「特発性過眠症」、そして「クライネ-レビン症候群(反復性過眠症・周期性傾眠症)」が該当します。
過眠症については、下記の記事でも詳しく解説しています。
参考:
中枢性過眠症 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
睡眠関連呼吸障害群
睡眠関連呼吸障害は、睡眠中に何度も呼吸が妨げられることで、深刻な睡眠不足や健康被害をもたらす疾患です。
代表的な疾患は次の通りです。
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
:舌や喉の筋肉が睡眠中に緩むことで、気道の閉塞もしくは狭窄を発生させる - 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CAS)
:何らかの原因で睡眠中に脳の呼吸調節システムにエラーが生じる - 混合性睡眠時無呼吸症候群(MSA)
:閉塞性タイプと中枢性タイプの両方の性質を合わせ持った、非常にまれな無呼吸症候群
そして、閉塞性睡眠時無呼吸症候群では呼吸のたびに狭くなった気道の粘膜がふるえるため、大きないびきをかくのも特徴です。
そして、睡眠時無呼吸症候群を長く患うと、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を併発し、脳卒中や心筋梗塞など死に直結する病気の発症率を高めます。
参考:
睡眠関連呼吸障害 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
概日リズム睡眠・覚醒障害
私たちの体には、約24時間周期で生理機能や行動を調節する体内時計(概日リズム:サーカディアンリズム)が備わっていますが、さまざまな理由で地球の明暗周期に合わなくなると、望ましいタイミングで寝起きすることができなくなり、日常生活に著しい悪影響が出ます。
概日リズム睡眠・覚醒障害は、次のようなタイプに分けられます。
- 睡眠・覚醒相後退障害
:極端な遅寝遅起き。 - 睡眠・覚醒相前進障害
:極端な早寝早起き。 - 不規則睡眠・覚醒リズム障害
:1日の中で、睡眠と覚醒が不規則に出現する。 - 非24時間睡眠・覚醒リズム障害
:入眠・起床時間が毎日1〜2時間ずつ後ろにずれ、1日24時間のリズムと合わなくなった状態。
参考:
概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD) | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
睡眠時随伴症群
睡眠時随伴症群は、睡眠中に体が勝手に動いたり、起き上がったりするなどの症状を伴う睡眠障害です。
代表的な疾患は次の通りです。
- ノンレム睡眠から生じる睡眠時随伴症
:睡眠中に突然叫び声を上げる夜驚症(やきょうしょう)や、寝床を出て歩き回る夢遊病などが見られる。 - レム睡眠行動異常症
:高齢者に多く、レム睡眠中に夢と連動した行動を取るのが特徴。睡眠中に突然大きな声を出したり、ときには隣で寝ている人を叩いたりするため、本人や周囲が怪我をする危険がある。
他には、夜尿や歯ぎしり、悪夢も睡眠時随伴症群に含まれます。
参考:
睡眠時随伴症 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
睡眠関連運動障害群
睡眠関連運動障害は、睡眠中や睡眠前後に出現する睡眠障害で、主に脚が動くことによって睡眠阻害が起きます。
- むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)
:就寝中に足がむずむずするなどの不快感を感じ、睡眠が妨げられる - 周期性四肢運動障害(PLMD)
:睡眠中に、四肢(主に下肢)の筋肉が勝手に収縮や弛緩を繰り返すことで、中途覚醒を起こす
このほかにも、睡眠中のこむら返りや繰り返し生じる歯ぎしりも、睡眠関連運動障害群に含まれます。
参考:
睡眠関連運動障害 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
休職ってどんな制度?
睡眠障害にはさまざまな疾患がありますが、発症したら場合によっては会社を休まなければならないこともあるでしょう。そんなとき、労働者にとって頼りになるのが「休職制度」です。
休職なら会社と雇用契約を結んだまま休むことができる
休職制度とは、労働者が会社との雇用契約を結んだまま一定期間休むことができる制度です。
「休職」は、よく「欠勤」と間違えられることもありますが、これらは全くの別物です。
休職の場合は、会社が労働者の労働義務を免除しますが、「欠勤」は会社から労働の義務を免除されていないのに、従業員の自己都合で一定期間就労しないことを指します。分かりやすくいうと、有給休暇の取得によらない休みなどがこれに該当します。
そして、休職には「私傷病休職」というものがあり、業務や通勤以外の原因による病気やケガを理由に会社を休むことができます。
そして、睡眠障害を発症した場合でも休職をすることが可能で、その際は以下のような手順をふんで手続きを行います。
休職の手順①:病院を受診して診断書をもらう
最初に医療機関を受診します。その際、担当の医師に「診断書が欲しい」と伝えることで、診断書を発行してもらうことができます。
この際、診断書を発行してもらう医療機関が初診だった場合は、病名が確定していないため、診断書の発行に時間がかかる場合もあるので注意しましょう。
そして、診断書が発行されたら次の事項が記載されていることを確認しましょう。
- 病名
- 症状
- 休職の期間
休職の手順②:職場に診断書を提出する
診断書の発行がされれば、職場に休職したい旨を相談しましょう。医師の診断書を提出して、休職が必要なことを伝えます。休職を相談する相手は、直属の上司が無難でしょう。
ただし、会社によっては提出先が人事部や総務部などの場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、どうしても症状が重くて職場に行けないときは、電話や手紙で伝えることも可能です。
参考:
病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
休職する際の注意点
基本的には、診断書を発行してもらって、それを職場に提出すれば休職することは可能です。ただし、休職には次のような注意点もあります。
月に1回の診察が必要
休職中は、月に1回の医師による診察を受ける必要があります。その理由は、「傷病手当金」をもらうためです。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者(労働者:患者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主(会社)から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
傷病手当金は以下のすべての条件を満たすことで受給可能で、申請をすると休職前の給与の3分2が受給できます。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
そして、傷病手当金が支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。
この傷病手当金をもらうことで、患者は休職中もお金の心配をせず、療養に専念することができます。
そして、この傷病手当金を滞りなく受け取るためには、月に最低1回は医療機関を受診し、その月の受診日を健康保険組合に示すことが必要です。逆に言うと、受診が一度も無い月は手当金が支給されません。また、診察が無い月は申請書の記載も出来ません。
したがって、毎月の診察を忘れないよう注意が必要です。
就業規則を確認する
そして、休職する際は会社の就業規則を確認することも重要です。
例えば、休職の期限については法律などによって規定されていないため、基本的に会社と労働者の合意、または就業規則などによって決まります。
これは、休職が法律ではなく、あくまで会社と労働者が締結する雇用契約に基づいているためです。
一般的には、数か月から3年程度で上限を設定するケースが多いですが、実際は会社によって千差万別です。また、あまりにも長く休職をしている社員については、企業側が解雇などの対応を検討する場合もあります。
思わぬトラブルを避けるためにも、休職の期限などを含めて、どのような規則が定められているのかあらかじめチェックしておくことを忘れないようにしてください。
参考:
病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
睡眠時無呼吸症候群による不眠症で休職したい方へ
さて、今回は睡眠障害で休職することはできるのかについて解説してきました。
最後に、本記事を読んでいる方の中で睡眠障害の中でも睡眠時無呼吸症候群による不眠症で休職を検討している方にお伝えしたいことがあります。
まずはクリニックに相談
まずは、一人で悩まずクリニックに相談しましょう。
仮に睡眠障害によって会社を休職することになったとしても、後ろめたさを感じる必要はありません。むしろ、睡眠障害によって心身にダメージが加えられ続けると、取り返しのつかない疾患の発症の原因となり、仕事を続けることができないリスクもあります。
ゆえに、心身の健康を守るためにも、しっかりと休息の期間を設け、療養に専念することをおすすめします。
おすすめはいびきメディカルクリニック
睡眠障害を相談する場合は、自分のかかりつけ医や近所の脳神経内科、精神科、心療内科、そして睡眠外来の受診を推奨しますが、睡眠障害の中でも睡眠時無呼吸症候群で悩んでいる方にはいびきメディカルクリニックの受診がおすすめです。
いびきメディカルクリニックは、いびき・睡眠時無呼吸症候群の根本改善を目指す専門クリニックで、当院で行っているパルスサーミア治療はたくさんの患者様にその効果を実感していただいています。
特に、これまで睡眠時無呼吸症候群の治療をしてきたけれどあまり効果がなかった方や、治療にあまり多くの時間をかけたくない方は、当院へご相談ください。
無料カウンセリングで、専門のスタッフが治療のスケジュールや費用について詳しくご説明させていただきます。
よくある質問
傷病手当金をもらうために、月に最低1回の受診が必要になります。また、会社とのトラブルを防ぐために、休職について会社ではどのように定められているのか就業規則を確認しておきましょう。