【根本的な治療なら】睡眠時無呼吸症候群のレーザー治療まとめ
目次
睡眠時無呼吸症候群を発症した場合、CPAP療法やマウスピースを用いて、いびき、無呼吸発作の改善を試みます。しかし、それでも改善が見られない場合、外科手術を行うというのが一般的に知られている情報です。
一方で、睡眠時無呼吸症候群の治療に「レーザー治療」が用いられていることはご存知でしょうか?
レーザー治療は、CPAP療法やマウスピースを用いた治療よりも確実に早く、外科手術よりもリスクが少ない治療法です。 この記事では、いびきを改善するレーザー治療について、詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸発作や呼吸停止状態が頻繁に起きることによって発症する病気です。
呼吸停止の回数や時間によって、症状の重症度は異なりますが、睡眠時に脳へ送られる酸素量が低下するため、脳や身体へ深いダメージを与えることになります。
脳や身体へ送られる酸素量が低下すると、睡眠中の覚醒や、日中に眠気を感じるようになり、疲れや倦怠を蓄積させてしまいます。これらの症状はただの寝不足と無視されがちですが、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性が高いです。
睡眠時無呼吸症候群は、改善しなければ脳卒中や心筋梗塞などの発生率を3倍から4倍にまで高めます。しかし、危険性はそれだけにとどまらず、睡眠時無呼吸症候群がもたらす日中の注意力欠如は、不注意による不慮の事故を多発させているのが現状です。 睡眠時無呼吸症候群の改善には、根本的な原因から取り除く必要があるため、無呼吸発作の原因となるいびきの仕組みを理解し、的確な治療法を選択しなければいけません。
いびきの仕組み
いびきとは、睡眠中に何らかの原因によって気道が塞がることによって発生します。
気道が塞がる原因は様々ですが、その多くは肥満などの生活習慣によるものです。
睡眠中は体がリラックスすることで筋肉が緩み、首や頬周りの脂肪が重力の影響で気道を圧迫します。一般的には何の問題もありませんが、肥満傾向にある方や、生まれつき口蓋垂(のどちんこ)が大きい方は特に気道を塞ぎやすく、いびきを発症する確率が高くなります。
そのほかにも、過度な飲酒や喫煙なども気道を塞ぐ原因です。また、首が短い方や、舌が長い方など、生まれ持った骨格が気道を圧迫させやすいケースも少なくありません。 では、どのようにして気道の圧迫を防げば良いのでしょうか。
いびきレーザー治療とは?
いびきレーザー治療とは、いびきの原因となる気道の圧迫を改善するための治療法の一つです。いびきの治療法は数多く存在しますが、いびきレーザー治療はその他のいびき治療法に比べて即効性が高く、リスクが少ないのが特徴です。
マウスピースやCPAPなどのおなじみの治療法では、呼吸法を改善することによっていびきの治療を試みてきましたが、気道を圧迫している余分な脂肪を取り除くことが最も確実です。 余分な脂肪を切除する方法は外科手術が一般的でしたが、麻酔や入院の必要のないレーザーを用いた手術が現在では主流となっています。
いびきレーザー治療のメリット
レーザー治療は、外科手術と原理は同じであり、口蓋垂(のどちんこ)や、口蓋弓(のどちんこ周辺)の弛んだ脂肪や粘膜をレーザーで切除、もしくはレーザー照射によって引き締めることで改善します。
外科手術を行うには、強い麻酔と激しい出血を伴う必要がありましたが、レーザー治療を用いることでそれらのリスクは軽減されました。
また、安全面だけでなく手術のコストや、術後の過ごし方においても、外科手術を上回るメリットが確認されているため、安心で早く確実に完治させる手段として、現状最も効果的であると言えます。 具体的に、その他のいびきの治療法と比較した際のメリットを見ていきましょう。
いびきレーザー治療の治療時間
レーザー治療は手術前の検査から1週間程度で手術を行うことができます。
実際の手術時間は15分から30分程度のため、手術に関しては半日もかかりません。
また、手術中の痛みや麻酔にも特徴があり、痛みが少なく、大掛かりな麻酔も必要ないため、手術を行なった数時間後には通常通りの生活に戻ることができるのも大きな特徴です。
レーザー治療施術中の麻酔と術後の痛み
一つ前で少し解説しましたが、レーザー治療の大きな特徴は術後すぐに私生活に戻れる点です。
表面麻酔と局所麻酔をうまく使い分けることによって、体に余計な負担をかけることなく手術を行えるというのが非常に重要です。外科手術において、狙った部分を適切に切除するには、極めて高い技術が必要とされましたが、レーザーを用いることで、正確性は格段と増しました。
スプレーやゼリー状の麻酔薬を使って表面麻酔を行い、切除する部位に局所麻酔を少量打ち込みます。そしてレーザーを用いて的確に治療を進めることが可能です。
外科手術では、手術後に切除した箇所の縫合が必要であるため、大量の出血と入院が必要でした。
レーザー治療では、麻酔量の低下と手術時間の短さから、手術から数時間後には食事が可能なため、忙しくて時間がとりにくい方でも私生活のリズムを崩す心配はありません。 ただし、刺激物や硬いものなど、手術箇所の完治まで食事内容に多少の制限は必要です。
いびきレーザー治療のデメリット
他の治療に比べて圧倒的にデメリットの少ないレーザー治療ですが、必ずしも問題のない治療法という訳ではありません。
術後の痛みや熱を感じにくいのが特徴ではありますが、体質によっては稀に痛みが取れない方や、熱っぽさを感じる方も現れます。
また、余分な箇所の切除ではなく、引き締めによるレーザー治療は、回数に個人差はあるものの、複数回継続して手術を受ける必要があります。 説明したように、体質によって、想定していた治療後の症状とは違うと感じる方も存在します。しかし、統計的に見ても極めて稀なため、基本的に心配する必要はありません。
いびきレーザー治療の種類
レーザー治療にはいくつかの種類があります。
代表的ないびきレーザー治療法は、LAUP、ナイトレーズ、パルスサーミアの三種類です。
どれもレーザーを用いて気道を塞ぐ原因を改善するという点では同じですが、余分な脂肪やたるみを切除するのか引き締めるかという点で、原因となる余分な箇所へのアプローチに違いがあります。切除ではなく引き締める方が出血量は少なく、リスクは少ないです。 LAUP、ナイトレーズ、パルスサーミアの順にレーザー治療の技術が発展していると認知していただければ分かりやすいはずです。では、それぞれの特徴について紹介します。
LAUP(レーザー口蓋垂口蓋弓形成術)
LAUPとはLaser Assisted Uvula Palatoplastyの略で、レーザー口蓋垂口蓋弓形成術と言います。
口蓋垂(のどちんこ)、口蓋弓(のどちんこの周り)の余分な脂肪を、レーザー照射で除去することで、気道の圧迫を改善し、いびきや無呼吸を軽減させます。
レーザー治療の特徴である麻酔の少なさはLAUPにも該当しますが、LAUPの場合、余分な脂肪を切除して気道を確保します。そのため、余分な脂肪を引き締めることで気道を確保するナイトレーズ、パルスサーミアと比較した時に痛みや熱を伴うのがデメリットです。
従来の外科手術と比較すれば痛みはかなり軽減されますが、レーザー治療の中では痛みを感じやすい治療法でしょう。 ですが、原因を切除することによって一度の手術で終了することが多く、下記で紹介するレーザー治療のように、複数回治療を受ける必要はありません。
いびきレーザー治療「ナイトレーズ」
ナイトレーズは、レーザーで口蓋垂(のどちんこ)の表面を照射します。
レーザー照射によって表面を蒸散させ、引き締めを行いますが、照射箇所には多少の痛みや熱を伴うことがあり、治療後にはしばらく腫れが続くのが特徴です。
LAUPと比較すると出血や痛みは少なく、ダウンタイムも短いです。
その一方で、治療の回数が比較的多く、継続してナイトレーズを受ける必要があります。 患者の状態により回数にばらつきはありますが、治療の回数が増えることで費用も増すため、手術の前の診察で継続の頻度を明確に確認しておくべきでしょう。
いびきレーザー治療「パルスサーミア」
パルスサーミアは、ナイトレーズと比較的似た治療法ではありますが、ナイトレーズのデメリットを改善した治療と言えます。
ナイトレーズのデメリットである蒸散による引き締めは、術中と術後に多少の痛みと熱を伴います。ですがパルスサーミアは、表面を蒸散させずにより深層部まで引き締めの効果を発揮することが可能です。
表面を強く焼くことなく引き締めを行うため、痛みや熱っぽさが少なく、ダウンタイムもほとんどありません。さらに、より深層部を狙った治療を行うため、ナイトレーズよりも少ない回数で治療を進めることが可能です。
参考:
いびきメディカルクリニック、最新いびきレーザー治療パルスサーミアについて
その他のいびき治療法
いびきレーザー治療のほかにも、いびき、無呼吸の治療法はいくつか存在します。
各々にメリットがあり、コストや痛みの有無を考えればレーザー治療よりも魅力的な治療法も存在しますが、根本的ないびき、無呼吸の改善を目的とするのであれば、レーザー治療が最善でしょう。
いびき治療においてレーザー手術以外の代表的な治療法は下記の4つです。
外科手術
気道を塞ぐ原因となる咽頭部分の余分な脂肪を切除する効果的な治療法です。
他の治療法と比べると費用は上がりますが、最も確実にいびきの原因を取り除くことができます。レーザー治療のように継続して治療を受ける必要はありません。
ですが、手術後には切除した箇所の縫合による激しい痛みとダウンタイムを伴うため、不自由のない私生活に戻るまでに時間がかかり、食事や痛みのストレスを抱える期間が長くなります。
CPAP(シーパップ)療法
睡眠時無呼吸症候群の治療として最も代表的なのが、CPAP(シーパップ)療法です。
レーザー治療や外科手術とは違い、専用の機械を用いて塞がった気道に空気を送り込みます。送り込まれた空気が気道を広げ、徐々に元の呼吸ができるように改善していくという治療法です。 専用の機械は貸し出しが可能なため、自宅での治療も可能ですが、毎月のレンタル料と長期の治療期間が続くため、多少のストレスと、改善までの長い期間を要することになります。
いびき対策用マウスピース
マウスピースを用いた治療法は金額によって効果が大きく変わります。
数千円程度でいびきや無呼吸を予防するマウスピースは販売されていますが、適切な手段としては歯科医に通い、自分の顎の形に合ったマウスピースを作成してもらうべきでしょう。
歯科医に特注でマウスピースを作成してもらう場合、費用は数万円程必要になります。
痛みの有無で言えばCPAP療法とマウスピースを用いた治療は効果的と言えますが、改善までの期間と確実性を考えると、魅力的ではありません。
パルスサーミア | CPAP | マウスピース | 外科手術 | |
継続期間 | ◎ 一度に15分~30分程度の手術が6回程度必要 ※応相談 | △ 個人差があり、原因が改善されるまで継続の必要性がある。 | × 顎の歪みの改善には長い期間を必要とする。 | ○ 手術期間に関しては1日で完結するが、術後の入院やダウンタイムを考えると評価は少し下がる |
痛み | ◎ 手術中、手術後の両方でほとんど感じない。 | △ 痛みは感じないが、機器をつけて眠るため、睡眠中のストレスが大きい。 | △ 痛みは感じないが、口に違和感があるため、睡眠中のストレスが大きい。 | × 手術後に激しい痛みを伴う。個人差があるが、手術中にも痛みを感じる場合もある。 |
完治度 | ◎ 原因を直接改善するため、完治度は高い。 | ○ 一個人差はあるが、長期間継続すれば効果がある。 | △ 初期症状の方には効果が見られるが、重症者の場合効果が薄い。 | ◎ 再発の可能性が最も少なく、継続の必要もない。 |
まとめ
睡眠時無呼吸症候群を発症した場合、原因となるいびき、無呼吸を改善する必要があります。睡眠時無呼吸症候群という症状自体が軽視されがちな病気であり、いびきの危険性は理解されていませんが、脳や身体に与える悪影響は非常に高く、死亡率を大きく上昇させているのは事実です。
これまではCPAP療法、マウスピース、外科手術が一般的に認知されてきましたが、レーザー治療の登場で、状況は変化しているのが現状です。
とはいっても、各々の治療法には特徴があり、優れた点もあればデメリットと感じる部分も見られます。
デメリットを加味したうえで、治療にかかる費用や確実性、痛みの有無を考えた時に、最も効果的な治療法と言えるのは、現状ではレーザー治療です。
いびき、無呼吸を確実に改善する方法として、レーザー治療は最適であり、手術による私生活への悪影響も少ないため、睡眠時無呼吸症候群の素早い改善が可能となります。 睡眠時無呼吸症候群に悩んでいる方は、ぜひレーザー治療を検討してみてください。
【よくある質問】
Q.レーザー治療は痛くない?
A. 表面麻酔をおこなってからレーザーを照射するので、基本的に痛みはありません。体質によってピリピリと感じたり、術後熱っぽさを感じるケースはあります。
Q.レーザー治療は本当に効果ある?
A.喉の軌道を塞ぐ原因をレーザー照射によって直接取り除くため、確実に気道を確保することができます。