睡眠時無呼吸症候群(SAS)を対策するには?まずは原因を特定しよう!
目次
家族やパートナーからいびきを指摘されている方、朝起きて身体がだるい、しっかり寝たはずなのに昼間強い眠気を感じるなど、気になっていませんか?
その症状は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が考えられます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、放っておくと重大な病気になる可能性もあるため、早めの対策が重要です。
ここでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因や対策について解説しているため、いびきが気になっている方はぜひ参考にして下さい。
睡眠時無呼吸症候群( Sleep Apnea Syndrome : SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、寝ている間に無呼吸を繰り返し、体内の酸素量が不足している状態をいいます。酸素の量が減少することで身体にさまざまな影響を及ぼし、高血圧や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こす可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の4つの原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、次の4つの原因が考えられています。それぞれ解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因①:BMI25以上の肥満
肥満は、首の周りに付着した脂肪が気道を圧迫し、狭くなることでいびきや無呼吸を起こします。舌にも脂肪が付着し、厚くなることで更に気道を塞ぎやすくなるのです。
WHOの定義では、BMI25~29.9を過体重、30以上を肥満としています。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんの70%が肥満だったという研究結果が出ていることから、肥満が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因になるといえるでしょう。
また、10%体重増加すると、無呼吸指数が32%増加、または無呼吸指数が15以上になる確率が6倍になるという研究結果も出ています。
参考:
睡眠時無呼吸症候群(SAS)における発症要因としての肥満|いびき睡眠時無呼吸ほくろ静眠堂
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因②:骨格が小さく下あごが後退している
下あごが後退していると、舌や喉の組織が気道を塞ぎやすくなるため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しやすくなります。後退とは、通常よりも下あごが後ろに下がっている状態(正面から見ると、下あごが引っ込んで見える)です。
下あごの後退は、遺伝や発育過程の影響などが関連して起こるといわれています。
あごが後ろに下がることで、舌も後ろに下がり、気道を塞ぎやすくなるのです。
あごが小さい人や後退している人の睡眠時無呼吸症候群(SAS)については、以下の記事でも詳しく解説しているため、併せてご確認ください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因③:鼻から喉まで(上気道周辺)の組織が大きい
鼻から喉までを「上気道」といいます。上気道の組織が大きいとされる具体的な状態は、以下の通りです。
状態 | 詳細 |
---|---|
扁桃腺の肥大 | ・扁桃腺が大きい状態 ・口から侵入してくる細菌やウィルスから身体を守る働きをしている ・遺伝や体質で元々大きい場合がある ・細菌やウィルスによって扁桃腺の炎症を繰り返すことで大きくなる場合もある |
舌の肥大 | ・遺伝や肥満、筋肉の発達などで肥大することが多い ・舌が大きくなることで気道を塞ぎやすくなる |
咽頭の軟組織肥大 | ・咽頭の軟組織とは舌のつけ根や扁桃腺、軟口蓋などが挙げられる ・いずれも大きくなることで気道を塞ぎ、空気の通り道が狭くなる |
遺伝や体質、炎症の影響で上気道の組織が大きくなり、気道を狭めてしまうことが睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因であるといえるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因④:呼吸中枢の機能の低下
睡眠時無呼吸症候群には、物理的に気道が塞がれることで発症する「閉塞性」と、脳からの伝達により呼吸を止めてしまう「中枢性」の2種類あります。
中枢性の睡眠時無呼吸症候群の原因は、以下の通りです。
- パーキンソン病や多系統萎縮症(脳や神経の複数の機能が委縮して身体に影響を及ぼす)などの神経系の病気
- 脳梗塞や脳内出血など脳血管の病気により呼吸中枢の機能低下
- 薬物やアルコールで呼吸中枢の機能が抑制される
中枢性が原因の場合は、物理的に気道が塞がれていないにもかかわらず、いびきや無呼吸などの症状が出るのが特徴です。
参考:
肥満症診療ガイドライン第9章|日本肥満学会23ページ
【受診目安をチェック】睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は、次の通りです。
- 家族やパートナーからいびきを指摘されている
- 一晩でいびきをかいたり止まったりを繰り返している
- 夜寝たはずなのに寝た気がしない
- 起床時頭痛や倦怠感がある
- 日中強い眠気を感じる
- 集中力が続かない
- 夜息苦しくて目が覚める
- 夜トイレに起きる
上記の症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)でみられる代表的な特徴です。気になる方は、専門医の診察を受けることをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)にならないための5つの対策
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、日常生活を見直せば予防できる病気です。以下の対策を確認して、生活を見直してみましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策①:食生活の見直しや運動で適正体重を維持しよう
肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因の一つです。まず自分のBMIを把握してみましょう。計算方法は以下の通りです。
BMI=体重(kg)÷(身長【m】)2
また、自分の身長に対する適正体重が分かる計算方法は次のようになります。
適正体重=身長(m)×身長(m)×22
BMI25未満または適正体重を目指して、食生活を見直したり、運動を取り入れたりしてみましょう。
日常生活で取り入れられる食生活や運動は、以下をご参照ください。
- 野菜や果物を積極的に摂る
- カロリーを摂り過ぎないように成分表示を確認するように意識する
- 歩く、階段を使う、座っている時間を減らすなど身体を動かすように意識する
- ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を取り入れる
- 太ももの筋肉や腹筋、背筋などを鍛えると基礎代謝が向上し痩せやすくなる
適正体重を維持することは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)だけではなく、あらゆる病気にかかりにくくなる身体になります。健康な身体を目指しましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策②:お酒好きの人は寝酒を控えよう
飲酒すると、呼吸中枢の機能を抑制し、呼吸が浅くなりやすいです。普段はいびきをかかないのに、お酒を飲むといびきをかく、という方もいるのではないでしょうか。
特に寝る前の飲酒は、寝ている間に呼吸機能の抑制が起こってしまったり、喉周りの筋肉を緩めて舌根沈下のリスクがあったりするため、注意が必要です。
夕方以降の飲酒を控えるようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策③:愛煙家の人は禁煙してみよう
喫煙は常に喉が炎症を起こしている状態になります。炎症によって喉の組織が腫れ、気道を狭めることで睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症するのです。
禁煙は禁断症状が強く、なかなかやめられないといわれています。禁煙外来や禁煙のためのグッズなどを利用して、周りにサポートを受けながら禁煙に取り組んでみましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策④:口呼吸から鼻呼吸を意識してみよう
朝起きたときに口が乾燥している方は、寝ている間口呼吸になっている可能性があります。
口呼吸は、次のような身体に影響を及ぼすため、鼻呼吸へ切り替えましょう。
- 口の中の乾燥:歯や歯茎の病気、口臭になりやすい
- 睡眠の質が低下する
- 口や顔の形成に影響が出る:特に成長途中の小児の口呼吸は注意が必要
- 細菌やウィルスを取り込みやすく、感染症を引き起こしやすくなる
寝ているときは無意識のため、鼻呼吸を意識できません。口を塞ぐテープやあごのバンドなどのアイテムを用いて、鼻呼吸を練習するのがおすすめです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策⑤:横向きで寝る癖をつけてみよう
仰向けで寝ると舌が気道に下がりやすく、いびきや無呼吸が起こりやすいため、横向きで寝るのがおすすめです。
今まで仰向けで寝ていた方には、違和感があるかもしれません。次のような姿勢やアイテムを使用すると、横向きで寝やすいため、ご参照ください。
- 膝を曲げる
- 抱き枕を挟む
- 首の高さが適切な位置になるように枕を調節する
仰向けから横向きになると、肩の分頭が下に下がりやすいため、仰向けのときよりも高めの枕がよいでしょう。
抱き枕を使用すると、自然な横向きになれるため、おすすめです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策をしても改善がない場合はいびきメディカルクリニックにご相談ください
睡眠時無呼吸症候群(SAS)にならないように対策をしても、いびきや無呼吸が治らないという方は、いびきメディカルクリニックにご相談ください。
自分でできる対策をしても改善が見られない場合は、専門医の診察が有効です。特にいびきメディカルクリニックでは、喉の組織が大きいことでいびきや無呼吸を起こしている方に有効な治療を行っています。
レーザーで喉の組織を照射して収縮させ、空気の通り道を確保するのです。
いびきメディカルクリニックで診察してもらうと、原因が見つかるかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因を特定して対策しよう
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、様々な原因があり人それぞれ異なります。
自分に当てはまる原因を特定して、原因を取り除けるような対策をしましょう。睡眠時無呼吸症候群(SAS)にならないように予防することも重要です。適正体重を維持したり、寝酒や喫煙を控えたりするなど自分でできる対策を実践してみましょう。
それでもいびきや無呼吸が気になる方は、専門医に相談しましょう。
よくある質問
適正体重を維持するために食生活の見直しや運動をしたり、寝酒を控えたり、禁煙したりすることが重要です。それでも症状が続く場合は、身体の構造に原因がある可能性もあるため、専門医を受診しましょう。