【医師監修】チェーンストークス呼吸とは?心不全・中枢性睡眠時無呼吸症候群との関連性

睡眠時無呼吸症候群の治療
2023.10.27

みなさんは、「チェーンストークス呼吸」を聞いたことはありますか?

チェーンストークス呼吸とは、中枢性睡眠時無呼吸症候群を発症すると見られる特有の呼吸パターンで、無呼吸になる前に呼吸音が徐々に大きくなったのち、小さくなって最終的には無呼吸になります。

この中枢性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時無呼吸症候群の一種で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは違っていびきの症状が見られないのが特徴です。

ですが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群よりも認知度が低く、あまり知られていない病気でもあります。

この記事では、チェーンストークス呼吸について解説したのち、中枢性睡眠時無呼吸症候群との関連性について詳しく解説していきます。

チェーンストークス呼吸とは?

苦しんでいて眠れないミドル世代の女性

まずは、チェーンストークス呼吸について解説していきましょう。

チェーンストークス呼吸の特徴

チェーンストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration)とは、小さな呼吸から始まって徐々に増大し、そしてまた次第に小さくなっていくという特有の呼吸パターンを繰り返す状態を言います。

実際には、次のような呼吸が見られることが多いです。

・まず数秒から数十秒程度の無呼吸が見られたのち、浅い呼吸が始まって徐々に深い呼吸となる
・その後、再び浅い呼吸に戻って呼吸停止になる
・上記のサイクルをだいたい30秒から2分程度で繰り返すことが多い

チェーンストークス呼吸の原因は?

シニア男性が部屋の中で倒れている

チェーンストークス呼吸が発生する明確な原因については、まだはっきりしていないこともありますが、下記の3つが有力とされています。

・いびきが生じるなど、脳の低酸素状態
・心不全
・中枢性睡眠時無呼吸症候群

いびきが生じるなど、脳の低酸素状態

1つ目が、脳の低酸素状態です。

脳の低酸素状態が起こる原因としては、さまざまな原因で気道が狭まることにより、酸素が十分に取り込めない状態となることが影響していると考えられています。

本来、人間の呼吸は脳の呼吸中枢によってコントロールされていますが、脳が低酸素状態になって酸素が行き渡らなくなると、機能低下が起きてチェーンストークス呼吸が発生する可能性が高まります。

そして、脳の低酸素状態起こっていることを示すサインとして、たとえばいびきなどが挙げられます。いびきとは、睡眠中に狭くなった気道中を無理矢理空気が通ることによって粘膜がふるえ、大きな音を発生させるもので、本来身体が必要としている酸素量を上手に取り込めていない状態だと言えます。いびきを放置すると身体が慢性的な酸欠状態となり、脳の低酸素状態へとつながるのです。
このように、さまざまな理由から引き起こされる脳の低酸素状態によって、チェーンストークス呼吸が生じる場合もあります。

参考:
チェーン・ストークス呼吸|日本救急医学会

心不全

2つ目が、心不全による影響です。

心不全を発症すると心臓の働きが急激に低下し、全身に血液を送り出せなくなります。

呼吸のコントロールを行う呼吸中枢は、血液中を流れる二酸化炭素などに反応して呼吸の命令を出すという仕組みになっていますが、心不全になって血流が悪くなると、二酸化炭素を十分に送れなくなり、その結果呼吸中枢の感知センサーが鈍くなります。

これにより呼吸機能が低下して、チェーンストークス呼吸が発生すると考えられています。

参考:
中枢性睡眠時無呼吸症候群|Kingman P. Strohl 、 Case Western Reserve University

中枢性睡眠時無呼吸症候群

3つ目が、中枢性睡眠時無呼吸症候群によるものです。

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA:Central Sleep Apnea syndrome)とは、脳の働きが何らかの原因で低下し、正常に働かなくなることによって発症する疾患です。

先ほども説明したように、人間の呼吸は脳の呼吸中枢でコントロールされていますが、さまざまな原因によって呼吸中枢の働きが低下すると、呼吸が制御できなくなり、チェーンストークス呼吸を起こしてしまうのです。

参考:
中枢性睡眠時無呼吸症候群|Kingman P. Strohl 、 Case Western Reserve University

チェーンストークス呼吸は中枢性睡眠時無呼吸症候群でよく見られる

口を開けて寝ている女性

さて、上記のような特徴を持つチェーンストークス呼吸ですが、中枢性睡眠時無呼吸症候群においては発症を見極める重要なサインになっています。

中枢性睡眠時無呼吸症候群でチェーンストークス呼吸が発生する原因は?

先ほども説明したように、中枢性睡眠時無呼吸症候群とは脳の働きが何らかの原因で低下し、正常に働かなくなることによって発症する疾患で、呼吸中枢の働きが低下すると呼吸が制御できなくなり、チェーンストークス呼吸を起こしてしまうとされています。

では、中枢性睡眠時無呼吸症候群を発症する原因はどんなものがあるのでしょうか?

現段階では、心不全の可能性が高いという見方が強いです。実際、心不全患者の約3人に1人が中枢性睡眠時無呼吸症候群を発症しているという報告もあります。

参考:
中枢性睡眠時無呼吸症候群|Kingman P. Strohl 、 Case Western Reserve University

閉塞性睡眠時無呼吸症候群との違いについて

ここまでの解説を読んで、「中枢性睡眠時無呼吸症候群って、普通の睡眠時無呼吸症候群と何が違うの?」と思った方もいるかもしれません。

実は、睡眠時無呼吸症候群には2種類あり、そのひとつが中枢性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる疾患で、もうひとつが閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA:Obstructive Sleep Apnea syndrome)とは、さまざまな原因によって気道が狭くなることで発症する無呼吸症候群を指します。

詳しくは下記記事でも紹介しています。

現在、睡眠時無呼吸症候群に罹患している人のほとんどがこのタイプで、国内の推定患者数は900万人以上いるといわれています。反対に、中枢性睡眠時無呼吸症候群はかなりまれで、正確な発症頻度はわかっていませんが、有病率はかなり少ないとされています。

この両者は、ともに無呼吸状態に陥ることにより、さまざまな影響がもたらされる疾患ですが、1つ大きく違う点があります。それが、いびきの有無です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に気道が部分的、もしくは完全に閉塞してしまうことにより無呼吸に陥りますが、その際狭くなった気道を空気が無理やり通るため、粘膜がふるえて大きないびきを発生させます。

対して、中枢性睡眠時無呼吸症候群は呼吸の指示を出す脳そのものに異常が発生しているので、閉塞性タイプのような気道の狭窄・閉塞は起こりません。ゆえに、中枢性睡眠時無呼吸症候群は、発症していてもいびきをかかないのです。

その代わり、中枢性はチェーンストークス呼吸という特有の呼吸パターンが現れます。

このように違いはあれど、閉塞性・中枢性ともに発症すると何らかの異常な呼吸状態が見られます。そして、閉塞性も中枢性も発症している本人が自覚するのは困難です。もし、家族やベッドパートナーが睡眠中に異常な呼吸パターンをしていたら、なるべく早く治療を受けさせることが大切です。

このほか、睡眠時無呼吸症候群(sas)の治療について詳しく知りたい方は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善・治療方法【10選】」の記事をご覧ください。

参考:
中枢性睡眠時無呼吸症候群|Kingman P. Strohl 、 Case Western Reserve University

チェーンストークス呼吸を放置する危険性について

発作が起きている心臓を押さえている男性

ここまで、チェーンストークス呼吸の特徴と、中枢性睡眠時無呼吸症候群の関連性について解説していきましたが、もしチェーンストークス呼吸に気づかず、発見が遅れてしまったらどうなってしまうのでしょうか?

合併症を引き起こす

チェーンストークス呼吸の裏には、心不全や脳卒中などの脳の異常、その他さまざまな疾患が隠れていることは、先ほども説明した通りです。

ゆえに、チェーンストークス呼吸発見の遅れは、これらの疾患の悪化につながります。特に、心不全や脳卒中は命を落とす可能性が高い疾患なので、なるべく早く治療をする必要があります。

仮に、これらの疾患が軽症であったとしても、睡眠中の無呼吸の慢性化は肥満や糖尿病、高血圧などを発症させ、いずれは心筋梗塞や脳卒中など命に関わる合併症に次々と発展していく可能性が高いです。

あわせて、無呼吸はうつ病や認知症などの原因となり、生活の質の著しい低下を引き起こすことも指摘されています。

まとめると、チェーンストークス呼吸に気づいたら、もしくは家族や第三者に指摘されたら、絶対に見過ごしてはいけません。すぐさま医療機関を受診し、医師の診断を受けましょう。

参考:
中枢性睡眠時無呼吸症候群|Kingman P. Strohl 、 Case Western Reserve University

チェーンストークス呼吸の対応と治療法

サプリメンメントを飲む女性の手元

では、医療機関を受診したらどのような治療が行われるのでしょうか?

薬物療法

チェーンストークス呼吸を伴う中枢性無呼吸症候群の治療は、その原因に合わせた薬物療法を行っていくのが基本です。

例えば、心不全が原因の場合にはACE阻害薬や利尿薬、β遮断薬などで血管を拡げ、血圧を下げることで心臓への負担軽減を行います。また、心臓の働きを助ける強心薬のジギタリス製剤を使うこともあります。

また、薬物療法とあわせて生活習慣の改善も重点的に行われます。

特に大切なのは、減塩や禁煙などで心臓への負担を減らすことや、アルコールを控えて睡眠の質を保つことです。さらに、心臓に負担がかからない程度の軽い運動も行うことで、心疾患の発症が起こりにくい体づくりを目指します。

CPAP治療

上記のような薬物療法でも改善しない場合や、重症の慢性心不全がある場合には、CPAP療法や夜間在宅酸素療法を行います。

CPAPとは、鼻に装着したマスクから持続的に空気が送り込まれることで気道内が陽圧になり、気道の閉塞を抑制し、いびきや無呼吸の解消を目指す治療法です。CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の治療の中では最もポピュラーな治療法で、特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対しては第一選択肢として医療機関では頻繁に行われています。

そして、中枢性睡眠時無呼吸症候群においても一定の効果が見込めるとして、薬物療法と合わせて行われることが多いです。

CPAP治療の費用など、詳しく知りたい方は「CPAP(シーパップ)の検査と治療費用【睡眠時無呼吸症候群】」の記事をご覧ください。

レーザー治療「パルスサーミア」

そして、近年注目を集めている治療法が、レーザー治療の「パルスサーミア」です。

パルスサーミアとは、いびきの原因である喉粘膜の広がりをレーザーで引き締めることで気道を確保し、いびき・無呼吸の根本治療を目指すという方法です。

喉粘膜にレーザーを当てると聞くと、「怖い」「痛そう」と不安に思われる方もいるかもしれませんが、パルスサーミア治療は最新のいびき治療なので、粘膜を傷つけることなく引き締めることが可能です。

実際に治療を行うと、施術中に出血することはなく、術後の痛みもほとんどありません。しかも、術後のダウンタイムも喉のやや違和感を覚える程度で、なおかつそれも数日で済みます。ゆえに、短期間で通常通りの生活に戻ることができます。

いびき治療・睡眠時無呼吸症候群(SAS)ならいびきメディカルクリニックにおまかせ!

医療チーム

そして、上記で紹介したいびきレーザー治療「パルスサーミア」治療を受けるなら、いびきメディカルクリニックがおすすめです。

いびきメディカルクリニックのパルスサーミアは、日帰り手術ができるので、忙しいサラリーマンや主婦の方でも安心して治療を行うことができます。

また、これまでたくさんの患者様に施術を行ってきたので、実績も豊富です。

実際に治療を受けた患者様の口コミを紹介しているので、ぜひ下記記事もご覧ください。

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まとめ

ミドル女性の睡眠イメージ

今回は、チェーンストークス呼吸と中枢性睡眠時無呼吸症候群との関連性について解説しました。

チェーンストークス呼吸は、呼吸中枢の異常によって発生する特有の呼吸パターンで、中枢性睡眠時無呼吸症候群においてよく見られます。

そして、チェーンストークス呼吸を伴う中枢性睡眠時無呼吸症候群の裏には、心不全などの命を落としかねない危険な疾患が隠れていることが多いです。しかも、本人がチェーンストークス呼吸をしていることを自覚するのはかなり困難とされています。

ゆえに、家族やベッドパートナーなどに睡眠中の異常な呼吸を指摘された場合は、軽く見ず、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

【よくある質問】
Q.チェーンストークス呼吸とは何ですか?

A.呼吸のコントロールを行っている脳の呼吸中枢に異変が起こることで、呼吸機能が低下し、発生する特有の呼吸パターンです。

Q.チェーンストークス呼吸を家族がしていたらどうすれば良いですか?

A.チェーンストークス呼吸の原因についてはまだ不明点が多いですが、心不全や脳卒中などの重大な疾患が影響している場合が多いです。そのため、放置すると命に関わるかもしれないので、速やかに医療機関の受診を促し、治療を受けさせることが必要です。

このページの監修医師
田沼 欣樹いびきメディカルクリニック いびき専門医
いびきや睡眠時無呼吸症候群は様々な病気に合併しやすいと言われています。健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療をおすすめします。いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩む患者様へ、当院のレーザー治療で快適な睡眠手に入れていただき、健康をサポートすることをモットーに日々取り組んでいます。
田沼 欣樹
いびきや睡眠時無呼吸症候群は様々な病気に合併しやすいと言われています。健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療をおすすめします。いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩む患者様へ、当院のレーザー治療で快適な睡眠手に入れていただき、健康をサポートすることをモットーに日々取り組んでいます。
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