【睡眠の質を上げる方法11選】眠りが浅い人の睡眠の質チェック
目次
日々の疲れを取るためには欠かせない「睡眠」ですが、現代人は満足な睡眠が取れず、質の悪い睡眠をとっている人が多いとされます。
ですが、「質の高い睡眠」と言われても、どのようなものなのか漠然としているし、どうすれば睡眠の質を上げることができるのかわからない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、「質の良い睡眠」とはどのようなものかを解説したのち、睡眠を見直すべき理由と睡眠の質を上げるために今日からできること11選について解説していきます。「最近眠りが浅い…」「寝ても疲れが取れない…」と悩む方は、ぜひ参考にしてください。
「良い睡眠」とは
現在、世界中のあらゆる研究者が「良い睡眠」について研究を行っていますが、最新の研究を持ってしても「良質な睡眠」を客観的に評価する方法は確立されていません。
こうした現状には、睡眠には自身の主観的な評価が大いに関わっていることが要因とされています。
実際、「あまりぐっすり眠れていない」と感じる患者の脳波を調べると、十分に健康的な睡眠が取れているといったケースは決して珍しいことではありません。
したがって、脳波などで客観的に睡眠の状態を調べても、それが定量的に正しく実態を反映しているかを判断するのは難しいとされているのです。
参考:
第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術|厚生労働省
「良い睡眠」が取れているか確認できるチェックリスト
上記のように、個人の睡眠は主観的な要素を多く含んでいるため、完璧にその実態を把握するのは難しいのが現状です。
ですが、定量的な評価は難しくても、健康的な生活という観点から「良い睡眠」に関する定性的な評価基準はすでに特定されています。
今回は、それらをわかりやすくまとめてチェックリストにしたので、ぜひ参考にしてください。
- 昼と夜のメリハリがはっきりしている
- 毎日決まった時間に就寝・起床している
- 毎日必要な睡眠時間が確保され、日中予期せぬタイミングで眠気や居眠りが生じない
- 途中で目を覚ますことなく、朝まで眠れる
- 就寝・起床のサイクルが、学校や社会生活のサイクルに合っている
- 床についてから入眠するまでに必要以上の時間がかからない
- 朝目を覚ましたら速やかに寝床から出て次の行動ができる
- 熟睡感がある
- 昼間に過度な疲労感がなく、意欲的に活動できる
参考:
第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術|厚生労働省
睡眠の質を見直すべき理由とは?
では、どうしてこれほどまでに質の高い睡眠をとることが重要視されているのでしょうか?それは、次の2つのリスクにつながる危険性があるからです。
- 心身の健康リスクに直結するから
- 産業事故や経済リスクにつながるから
心身の健康リスクに直結するから
日本の人口動態調査では、悪性新生物(ガン)、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病で死亡する人が約6割を占めることが示されていますが、こうした疾患の発症には睡眠の良し悪しが大きく関わっていることがわかっています。
また、睡眠はこころの健康にも重要で、不眠状態になるとうつ病や不安障害などの要因にもなると示されています。
このように、睡眠の不調は健康リスクに直結し、ときには命を脅かす危険な疾患の原因になることもあるのです。
参考:
第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術|厚生労働省
寝不足を続けるとどんなリスク(影響)があるの?|くすりと健康の情報局(第一三共ヘルスケア)
産業事故や経済リスクにつながるから
質の悪い睡眠は、日中の眠気や居眠りによる交通事故・産業事故にもつながります。中でも、特に大きな社会問題となっているのが、睡眠時無呼吸症候群が招く交通事故リスクです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に無呼吸状態に陥ることで、慢性的な睡眠不足に陥る疾患ですが、自覚症状が乏しく、本人は発症していることになかなか気づけません。
その結果、車の運転中や作業中に耐え難い眠気に襲われ、社会的に影響の大きい交通事故や産業事故に発展してしまうのです。しかも、こうした事故により生じる経済的損失は、なんと3.5兆円になるとの試算も報告されています。
もはや、睡眠の不調は個人の問題ではなく、社会全体で取り組まなければならない課題と言っても過言ではないかもしれません。
この内容をより詳しく知りたい方は、次の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【今日からできる】睡眠の質を上げるためにできること11選
それでは、ここからは睡眠の質を上げるために今日からできることを11個ご紹介します。夜寝る前から朝起きるときできることをまとめたので、ぜひやってみてください。
参考:
健康づくりのための睡眠指針 2014|厚生労働省健康局
睡眠の2時間前に夕食をとる
寝る2時間前までには夕食を食べ終えるようにしましょう。
寝る直前に食事をすると、胃腸の働きが睡眠を妨げ、質の低下につながります。
どうしても食事から就寝時間までに2時間空けることができない場合は、消化に良く、胃腸に負担をかけない食事がおすすめです。
40℃のぬるめの湯船に浸かる
ぐっすり眠るためには、入浴によって体を十分に温めることが大切です。
湯船に浸かると、体の内側の温度である深部体温が高まり、それが時間を置いて低下するタイミングで眠気がやってきます。このときに寝床に入り就寝することで、スムーズに眠りについて快眠することができます。
より睡眠の質を上げたい場合は、お湯の温度を40℃のぬるめに設定し、15分程度かけてじっくり体を温めるのがおすすめです。
寝酒を控える
アルコール、特に寝酒は睡眠の質を下げる大きな原因のひとつです。
寝酒をよくする人の中には、お酒を睡眠薬代わりに使用する人も多くいます。確かに、アルコールには催眠作用があるため、寝床に入ったらすぐに寝ついてしまいます。
ですが、睡眠前にアルコールを摂取すると、夜中に目が覚めたり、再び眠ろうとしてもなかなか寝つけなかったりなどの不眠症状につながります。
そして、アルコールの利尿・脱水作用も中途覚醒を引き起こして睡眠の質を低下させます。習慣的な寝酒をしている方は、この機会にぜひ改めるようにしてください。
就寝前の喫煙を控える
ヘビースモーカーの中には、「寝る前にタバコを吸うと落ち着く」と考える人も多いようですが、ニコチンの覚醒作用は摂取してから約1時間程度は持続すると言われています。
実際、複数の研究において、喫煙本数が多いほど不眠の割合が多いことが示されています。さらに、6,442 名を対象に睡眠中の脳波を調べた横断研究では、喫煙者の睡眠は非喫煙者の睡眠に比べて浅い睡眠が多く、深い睡眠が少なかったと報告されています。
このように、喫煙がもたらす睡眠への悪影響は複数の研究によって確認済みですので、就寝前のタバコは控えた方が良いでしょう。
参考文献:
Zhang L, Samet J, Caffo B, Punjabi NM. Cigarette smoking and nocturnal sleep architecture. Am J Epidemiol
就寝前のカフェインの摂取を控える
カフェインにも覚醒作用があるので、就寝前に摂取するのは控えた方が良いです。
特に、カフェインが持つ覚醒作用は3時間程度持続すると言われているため、夜寝る前にコーヒーを飲んだり、栄養ドリンクを飲んだりしまうと、いざ眠ろうと思ったときに目が冴えてなかなか眠れなくなってしまいます。
また、カフェインが持つ利尿作用も、睡眠を阻害する要因になるので、夜間のカフェインにはくれぐれも注意しましょう。
寝室の光・音は自分に合ったものにする
良い睡眠のためには、良い睡眠環境も大切です。
まず光については、照明を完全にオフにするか、常夜灯などのぼんやりとした明かりの中で眠ると、覚醒が抑えられ、眠りにつきやすくなります。
音についても、基本的には個人の好みの静けさに設定すれば良いですが、うるさすぎる騒音の中では眠りづらいことも確認されています。
そのため、あまりに外の騒音や物音が大きい場合は、耳栓などを活用して睡眠が妨げられないよう工夫してみてください。
寝床の温度が33℃程度になるようにする
就寝時の温度については、布団の中における体の周辺の温度が33℃前後になるように設定しましょう。
布団の中が33℃前後になるよう設定すれば、睡眠の質は維持され、ぐっすり眠れるケースが多いという研究結果があります。
ただし、この研究結果には使用する寝具や季節によってやや差があり、なおかつ布団内の温度を毎回測るのは現実的ではありません。
ですので、寝具や寝るときに着るパジャマなどは、その日の気温や湿度によって調整し、自分が最も眠りやすい状態にするのが大切です。
参考文献:
梁瀬度子. 温熱環境. 鳥居鎮夫 編. 睡眠環境学. 東京: 朝倉書店, 1999;152-157
就寝前に何もしない時間を1時間作る
睡眠の質を高めるためには、就寝前に何もしない時間を1時間程度作るのが効果的です。目が冴えて興奮した状態では、どんなに寝床に入って眠ろうと思ってもなかなか眠れません。
そのため、まずは心を落ち着け、リラックスする時間を1時間ほど設けるのがおすすめです。
そしてもし、眠ろうとしてもなかなか寝つけないときは、無理に眠ろうとせず、一度寝床や寝室から離れるようにしましょう。
これは、眠れない状態で長く寝床にいると、脳の緊張が増し、さらに眠れなくなってしまうためです。
目安としては、およそ30分以上寝床で目が覚めていたら、一度寝室を離れ、リラックスしたりゆったりとしたストレッチをして気分を変えたりしてみましょう。
朝起きたら朝日を浴びる
朝起きたら、何よりもまずカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。
人間には、あらゆる生理的活動をコントロールする体内時計が備わっていますが、地球の24時間とは少しずれており、意識せずに生活していると、少しずつリズムが後ろ倒しにずれてしまいます。
ですが、起床後に日光を浴びれば、脳が「朝が来た」と認識し、ずれた体内時計を正しい位置に戻してくれます。
これにより、朝に気持ちよく目覚めることにつながり、なおかつ日中アクティブに活動しやすくなります。
朝食をとる
朝食をしっかりとることも眠気を遠ざけ、活動的に過ごすためには重要な行動です。
睡眠と覚醒のサイクルが不規則な人には、朝食を抜いている人が多いことが研究によってわかっています。
対して、朝食をしっかりとると体と心をしっかりと目覚めさせることができ、日中の学業や仕事に積極的に取り組むのを後押ししてくれるでしょう。
ですので、寝具や寝るときに着るパジャマなどは、その日の気温や湿度によって調整し、自分が最も眠りやすい状態にするのが大切です。
参考文献:
Yamaguchi M, Uemura H, Katsuura-Kamano S, Nakamoto M, HiyoshiM, Takami H, Sawachika F, Juta T, Arisawa K.:
Relationship of dietary factors and habits with sleep-wake regularity. Asia Pac J Clin Nutr 2013;223:457-465
日中にしっかりと体を動かす
適度な運動を習慣づけることは、質の良い睡眠を取りやすくさせることにもつながります。
ですが、毎日忙しく働く社会人にとって、運動のために時間を取るのは難しいこともあるでしょう。
そんなときは、日常の動作に運動の要素をプラスするのがおすすめです。例えば、通勤で一駅分歩いたり、エレベーターではなく階段を利用したり、座りっぱなしにならないよう適度にストレッチを散り入れたりなどが手軽にできるでしょう。
睡眠の悩みのご相談はいびきメディカルクリニックへ
いびきメディカルクリニックは、前述した睡眠時無呼吸症候群の根本改善を目指す専門クリニックで、当院で行っているパルスサーミア治療はたくさんの患者様にその効果を実感していただいています。
睡眠の不調にお悩みの場合は、ぜひいびきメディカルクリニックにご相談ください。
まとめ
今回は、質の高い睡眠を取るためにできることについて解説しました。
質の高い睡眠は、日々を健やかに過ごすためには欠かせないものです。しかし、現代人はなかなか満足な睡眠を取ることが難しくなっている現状があります。
睡眠に悩む方は、ぜひ本記事を参考にして、睡眠の質について見直してみてください。
【よくある質問】
Q.どうして質の良い睡眠をとることが大切なのですか?
A.十分な睡眠が取れないと、個人の健康を害するだけでなく、居眠りによる事故など社会にも大きな影響を与えることがあるからです。
Q.質の良い睡眠をとるにはどうすれば良いですか?
A.飲酒・喫煙・カフェインの摂取は控え、睡眠に適した生活習慣を続けることが大切です。