中途覚醒とは?夜中に目覚める・熟睡できない原因と対策についてご紹介!
目次
「毎晩夜中に目が覚める…」
「一度目が覚めるとなかなか寝つけない…」
このように、一度入眠したにもかかわらず、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めてしまうことを「中途覚醒」と呼び、近年は高齢者だけでなく若者世代にも増えていると言われています。もはや、睡眠の問題は「現代病」のひとつと言って良いでしょう。
そして、中途覚醒を発生させる原因にはさまざまなものがあり、いくつかの原因が複雑に絡み合っている場合も少なくありません。
この記事では、こうした中途覚醒が起こってしまう原因と対策について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
中途覚醒とは?
まずは、中途覚醒とはどのような状態なのか解説していきましょう。
中途覚醒は、一度入眠したあと翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めてしまう状態で、睡眠に異常が現れる睡眠障害のひとつです。
健康な人であっても、中途覚醒によって夜中に目が覚めることがありますが、たいていの場合は数分で寝つき、また朝まで眠ることができれば基本的に問題はないとされています。
しかし、一度目が覚めると再び寝つくのに時間がかかったり、寝てもまたすぐに起きてしまったりする場合は、中途覚醒に当てはまると言えるでしょう。
中途覚醒はさまざまな原因によって発生する
中途覚醒は、どのような原因で発生することが多いのでしょうか?
代表的なものは次の通りです。
・ストレス
・アルコール
・不眠症
・夜間頻尿
・うつ病などの精神疾患
・むずむず脚症候群
・睡眠時無呼吸症候群
原因①:ストレス
まずは、ストレスです。
人間はストレスを感じると、自律神経のバランスに乱れが生じます。
自律神経とは、内臓の動きや血液の流れなど、生命を維持する機能を司る役割を持った神経で、アクティブに活動するときは「交感神経」が優位に、睡眠時やリラックスする際は「副交感神経」が優位になるよう調整されています。
しかし、自律神経は過剰なストレスを受けすぎるとバランスを崩し、コントロールがうまくできなくなります。
その結果、眠ろうとしているのに副交感神経が優位にならないためなかなか寝つけなかったり、やっと寝ついても眠りが浅いため少しの物音ですぐに目が覚めてしまったりなどの中途覚醒を引き起こすのです。
参考:
睡眠専門医が教える中途覚醒の理由
若者に増えている中途覚醒・早朝覚醒。予防と対策も
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
原因②:アルコール
アルコール、特に睡眠前の飲酒は中途覚醒を引き起こす大きな原因のひとつです。
お酒をよく飲む人の中には、「飲酒をすると寝つきが良くなるから睡眠には良い」と考えている人もいるかもしれません。確かに、アルコールには催眠作用があるため、寝つくスピードは速くなります。
ですが、睡眠前にアルコールを摂取すると、その後のスリープサイクルが大幅に乱れてしまうことがわかっており、夜中に目が覚めたり、再び眠ろうとしてもなかなか寝つけなかったりするのです。
また、アルコールの利尿・脱水作用によって尿意が催され、夜中に目が覚めてしまうことも中途覚醒を引き起こす原因になります。
原因③:不眠症
中途覚醒が頻繁に起きる場合、不眠症を発症している可能性があります。
不眠症とは、睡眠が十分に取れないことによって日中の眠気や集中力の低下、慢性疲労などを起こす疾患です。現在、睡眠が十分に取れないと悩んでいる人は多く、日本人の約5人に1人は不眠症を発症していると言われています。
そんな不眠症は、中途覚醒の他に次のような症状が見られることが多いです。
・入眠困難:寝床に入ってから30分〜1時間以上眠れない
・早朝覚醒:起きたい時間よりも、2時間以上早く目が覚める
・熟眠障害:睡眠時間は十分確保しているのに、眠りが浅く、熟睡した感じが得られない
これらの症状は、どれかが単独で現れることもあれば、複数の症状が同時に発生することもあります。
また、原因も人によってさまざまで、複数の原因が影響しているパターンも少なくありません。心当たりがある場合は速やかに医療機関を受診し、治療をすることをおすすめします。
原因④:夜間頻尿
夜間頻尿も、中途覚醒を引き起こす原因になります。
夜間頻尿とは、排尿のために1回以上夜間に起きる症状のことで、年齢を重ねると夜間頻尿になる人が増える傾向にあります。
夜間頻尿の原因は、加齢や水分の取りすぎ、過活動膀胱、前立腺肥大症、糖尿病、高血圧などさまざまで、症状が悪化すると夜間トイレに何度も起きることによる不眠症状やうつ病、そして転倒・骨折のリスクが高まります。
実際、とある調査では70歳以上で夜間に2回以上トイレに起きる人は、1回以下の人に比べて骨折を起こす割合が2倍、死亡率が1.6倍になるという報告もあり、生活のQOLを大きく低下させることにもつながります。
速やかな治療が必要になるので、夜に何度も尿意で目が覚めてしまうという人はすぐに医療機関を受診しましょう。
参考:
若者に増えている中途覚醒・早朝覚醒。予防と対策も
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
原因⑤:うつ病などの精神疾患
中途覚醒の裏に、うつ病などの精神疾患が隠れている場合もあります。
うつ病とは、憂鬱な気分が続く気分低下や、何をするにも億劫になるなどの意欲低下が発生する精神疾患で、中途覚醒などの不眠症状や倦怠感などの身体症状も現れます。
うつ病を発症する明確な原因は十分にわかっていませんが、感情をコントロールしたり意欲を生み出したりする脳の機能に何らかのトラブルが生じ、症状が起きていると考えられています。そして、こうした脳のトラブルの元となるのが、過剰なストレスや完璧主義すぎる性格、大きなライフイベントなどと言われています。
うつ病は、症状の原因となる事象が解消されたにもかかわらず、いつまでも症状が改善しないのが大きな特徴です。中途覚醒をはじめ、長期的な気分の落ち込みがある場合は、一人で悩まず、精神科や心療内科を受診すると良いでしょう。
参考:
若者に増えている中途覚醒・早朝覚醒。予防と対策も
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
原因⑥:むずむず脚症候群
中途覚醒が、他の睡眠障害に起因して発生している場合もあります。1つ目が、むずむず脚症候群です。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)は、就寝中に足がむずむずするなどの不快感を感じることで睡眠が妨げられる疾患で、睡眠障害の「睡眠関連運動障害群」に該当します。
この疾患は、夕方から夜間にかけて症状が現れるため、なかなか寝つけなかったり、一旦眠っても脚の不快感で中途覚醒が起き、不眠状態に陥ることが多くなります。
このような特徴を持つむずむず脚症候群ですが、発症に至る原因はいまだ明らかになっていません。現在、有力な説として脳内の神経伝達物質のひとつであるドーパミンの機能障害や鉄不足が関与していると考えられており、医療機関でも鉄分不足を補うための鉄剤や、ドーパミンの分泌を促す薬剤を用いた治療が行われます。
「足の不快感で目が覚めてしまう」という人は、なるべく早く医療機関に相談して治療を受けるようにしましょう。
参考:
睡眠専門医が教える中途覚醒の理由
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
原因⑦:睡眠時無呼吸症候群
中途覚醒を引き起こすもうひとつの睡眠障害が、睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、何らかの原因で睡眠中に気道が狭くなって無呼吸状態になる疾患で、無呼吸が起きるたびに息苦しさを覚えて中途覚醒が発生し、慢性的な睡眠不足に陥ります。
この疾患の大きな特徴は、睡眠時は毎回大きないびきをかき、しばしば呼吸が止まってしまうことです。しかし、本人にはその自覚はなく、無自覚の状態でじわじわと症状が悪化していくところが、この疾患の怖いところです。
そして何より、睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病から心臓病や脳卒中などに発展し、最悪の場合命を落とすことにつながります。
睡眠中に息苦しさで目が覚めたり、慢性的に寝不足だったり、そして家族やベッドパートナーからいびきを指摘されたりしたことのある人は、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性が高いです。速やかに医療機関を受診して、治療を受けるようにしてください。
また、こちらの記事でも睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてください。
参考:
睡眠専門医が教える中途覚醒の理由
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
中途覚醒が起きないようにする対策は?
では、中途覚醒が起きないようにするためには、日々どのようなことに気をつければ良いのでしょうか?
生活習慣の改善
まずは、生活習慣を見直しましょう。
先ほど、自律神経の乱れが睡眠に影響を及ぼすと説明しましたが、中途覚醒を防ぐには自律神経がひどく乱れないようケアすることが大切です。
特に、毎日夜更かしをしていたり、就寝・起床時間がバラバラだったりすると、体内のリズムが崩れて自律神経が乱れやすくなります。
また、時間がないからと朝食を抜いたり、運動不足になったりするのも、自律神経にとってはマイナスです。
良い睡眠は、毎日の良い生活習慣から始まります。不規則な部分を少しずつ改善することで、中途覚醒の発生を予防することにつながるでしょう。
睡眠の環境を整える
良い睡眠のためには、良い睡眠環境も大切です。
特に、強い光は脳を活性化させ、覚醒を促してしまいます。そのため、寝る前はなるべく強い光、特にスマホなどのブルーライトを見るのは避けましょう。外部の光が差し込んで眩しい場合は、遮光カーテンを利用するのがおすすめです。
あわせて、寝具や寝るときに着るパジャマも、自分の好みや季節に合ったものを選ぶとより質の良い睡眠につながります。
中途覚醒が続く場合は病院へ
上記のように対策を行っても、中途覚醒が続いてしまう場合は、体に何らかの異常が起きている可能性があるので、速やかに医療機関を受診しましょう。
中途覚醒は、内科をはじめ、脳神経内科、耳鼻咽喉科、呼吸器科、神経内科、精神科、心療内科で相談することができます。ですが、原因となる疾患によって担当の診療科が変わってくるため、一般の人はどれを選べば良いかわからない場合も多いでしょう。
そんなときは、睡眠外来を受診するのがおすすめです。睡眠外来は、睡眠に関する問題を専門的に診察しており、正常な睡眠を取り戻す観点からさまざまなアプローチを行ってくれます。例えば、「うるおいクリニック」ではTMS治療やオーソモレキュラー栄養療法といった手法を用い、うつ状態の改善や不眠の解消、そしてホルモンバランスの乱れ改善などの治療を行います。
睡眠外来については、下記記事にも記載されているので参考にしてください。
参考:
若者に増えている中途覚醒・早朝覚醒。予防と対策も
夜中に目が覚める、熟睡できない原因と改善について
夜中に中途覚醒で起きてしまったら?
ここまで、中途覚醒が起きる原因と対処法について解説してきましたが、実際に中途覚醒が起きてしまうと不安を感じることも多いでしょう。そんなときにぜひ行ってほしい対処法について解説します。
無理に眠ろうとしない
その方法とは、中途覚醒で夜中に目が覚めても無理に眠ろうとしないことです。
中途覚醒は夜中に何度も目が覚めてしまう症状と合わせて、その後再び眠ろうとしてもなかなか寝つけないといった症状も現れます。すると、夜中に目が覚めるたびに布団やベッドの中で悶々とした時間を過ごしてしまうため、体も休まらず、精神的にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ですので、どんなに待ってもなかなか眠れないときは、無理に眠ろうとせず、一度布団やベッドから離れるのをおすすめします。
このとき、ゆっくり深呼吸をしたり、ゆったりとした動きのストレッチをすると、心がリラックスするので眠りやすくなるでしょう。
いびきの改善はいびきメディカルクリニックへ
最後に、いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩んでいる方に向けて、いびきメディカルクリニックからお伝えしたいことがあります。
私たちいびきメディカルクリニックは、いびき・無呼吸治療を専門に行う専門医院です。当院で採用している「パルスサーミア治療」は、いびき・無呼吸改善の最新治療で、これまで多くの患者様に治療を行い、その効果を実感していただいています。
当院では無料カウンセリングを実施していますので、治療を受けてみたい方はぜひ下記に設置している予約フォームからご予約をお願いします。
参考:
いびきの治療法
まとめ
今回は、中途覚醒について解説しました。
中途覚醒は、夜中に何度も目が覚めたり、再び眠ろうとしてもなかなか眠れなかったりといった症状が現れる睡眠障害のひとつで、ストレスや疾患に伴って症状が現れる場合があります。
もし長期にわたって中途覚醒が続いている場合は、体に何らかの異変が起きている可能性があるので、一人で悩まず、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
【よくある質問】
Q.中途覚醒とは何ですか?
A.中途覚醒は、夜中に何度も目が覚めたり、再び眠ろうとしてもなかなか眠れなかったりといった症状が現れる睡眠障害のひとつです。
Q.夜中に中途覚醒で目が覚めてしまったら、どうすれば良いですか?
A.夜中に目が覚めて、その後もなかなか寝つけないときは、いったんベッドから離れ、リラックスするのを推奨します。