睡眠の質を上げる音楽とは?おすすめ睡眠BGMや正しい聴き方を解説!
目次
ベッドに入ってもなかなか寝付けないという人や、眠りが浅いせいでまったく疲れが取れないとお悩みの人も多いでしょう。もしぐっすり眠れる環境をつくりたいなら、睡眠の質を上げる音楽を聴いてみるのはいかがでしょうか。
この記事では、睡眠の質を上げるおすすめの音楽や、正しい聴き方について詳しく解説します。音楽の選び方やなぜ音楽が眠りに影響するのかについても説明しているので、睡眠対策の参考にしてみてください。
眠れない問題を音楽が解決するって本当?
実は眠れない問題を、音楽で解決できる可能性があるとご存じでしょうか。
まず電気通信大学の高玉氏らの「快眠を導く音とは」という実験論文によると、音の周期の変化で快眠を導くことができると説明されています。6名の男性を対象に実施された睡眠の実験では、周期の異なる音楽を流した場合と流していない場合における入眠・ノンレム睡眠・睡眠サイクルの違いを調査されており、音楽を聴きながら眠っている人のほうが、睡眠の質が分散しにくいことがわかりました。
また法政大学情報科学部の山田氏の「入眠と起床に適した音楽的・音響的特徴」では、音楽を聴きながら眠った人、音楽を聴かずに眠った人の睡眠慣性を調べられています。結果として、音楽を聴きながら眠った人、そのなかでもクラシックやジャズといった音楽を聴く人のほうが入眠までの時間が短いことが判明しました。
以上のように、音楽には睡眠に良い効果を与えることがわかっています。次項から、具体的な音楽の効果やおすすめの音楽について解説しているので「最近眠れない…」とお悩みの方は、ぜひチェックしてみてください。
参考:
・快眠を導く音とは ─心拍・呼吸に連動した音の睡眠への影響─|髙玉 圭樹、村田 暁紀、上野 史、田島 友祐、原田 智広
・入眠と起床に適した音楽的・音響的特徴|山田 真奈(法政大学情報科学部ディジタルメディア学科)
音楽が生み出す睡眠の質を上げる3つの効果
音楽を聴くと、本項で紹介する3つの効果により睡眠の質を上げられると言われています。なぜ、音楽で眠りを感じやすくなるのか、具体的な理由を見ていきましょう。
【睡眠の質を上げる音楽の効果1】心と身体をリラックスさせる
音楽を聴くと、臓器や器官の働きを抑制する「副交感神経」が拡張され、心と身体にリラックス効果が生まれやすくなるのが特徴です。
例えば「音楽と自律神経系活動の関係」という研究では、音楽の聴取が自律神経に反応してリラックス効果を生み出しやすくなることがわかっています。激しい音楽では心拍数が上昇する一方で、緩やかな音楽では心拍数が低下するため、自然と身体がリラックスして眠りにつきやすくなると言われているのです。
参考:
音楽と自律神経系活動の関係:音楽 への反応と心臓血管系反応の測定法|岩永 誠、森 数馬
【睡眠の質を上げる音楽の効果2】ストレスや雑音から気をそらす
ベッドに入ってから音楽を聴けば、入眠までの時間を音楽で集中できるため、ストレスや雑音の影響を受けにくくなると言われています。
通常、静かな部屋で眠ると、さまざまなことを頭に思い浮かべてしまうでしょう。また、外から聞こえる自動車の音や隣部屋の生活音が気になって眠れないと悩む人も少なくありません。
一方で音楽を流しておけば、音楽自体に意識を集中できます。ストレスの原因となる「考え」をストップできるほか、騒音を気にせずに眠りやすい状態にできる のが魅力です。
【睡眠の質を上げる音楽の効果3】脳波を安定させる
音楽には睡眠に関係する「脳波」を動かす効果があると言われています。
特に眠気を感じてリラックスしやすくなるのが、環境音などを聴くことで発生するα(アルファ)波です。8Hz~13Hz周波数の波のことであり、目を閉じた際などにα波を感じやすくなると言われています。
また後述する特定の音楽を聴くことでα波を維持しやすくなるため、眠れないとお悩みの人は、ぜひ寝る前に音楽を聴く習慣を身につけてみてください。
脳波の種類
脳波の種類は、眠気を感じやすくなるα波以外にもさまざまな波が存在します。参考として、現在解明されている脳波の種類をまとめました。
脳波の種類 | あらわれる効果 |
---|---|
α(アルファ)波 | リラックス効果、入眠効果 |
β(ベータ)波 | 緊張状態になる効果、集中力の向上効果 |
θ(シータ)波 | 学習力の向上効果、浅い睡眠を発生させる効果 |
δ(デルタ)波 | ノンレム睡眠を起こしやすい効果 |
つまり、β波を除く脳波が眠りと関係するのが特徴です。α波やθ波を感じることでウトウトと眠気を感じやすくなり、入眠後のδ波でノンレム睡眠が維持されて、心と身体が休まるようになります。
なかでも音楽はα波に影響を生み出すと言われているため、入眠に欠かせないα波の音楽を覚えておきましょう。
睡眠の質を高めるおすすめの音楽
睡眠の質を上げる音楽の種類を4つまとめました。複数の音楽が睡眠の質を上げてくれるため、気になる音楽を聴きながらベッドで横になってみてください。
【睡眠の質を高める音楽1】BGMだけで構成された音楽
音楽選びで大切なのが、歌声が入っていないBGM(バックグラウンドミュージック)だけで構成された音楽を聴くことです。歌詞の入っている音楽の場合、歌詞の意味を理解しようと頭が働いて、逆に眠りにくくなる場合があります。
一方で、ジャズやクラシック音楽、インストゥルメンタルといったBGMのみの音楽なら、自然と音だけを聴いて眠れるのが特徴です。初めて睡眠用の音楽を選ぶ方は、BGM系のミュージックを探してみてください。
【睡眠の質を高める音楽2】自然音・環境音(ホワイトノイズ)
以下に示すような自然音・環境音には、人の心拍数を安定化させる「1/fゆらぎ」というリズムが含まれているため、睡眠の質を上げやすくなると言われています。
- 川のせせらぎ
- 風邪でそよぐ葉っぱ
- 雨の音
- 波の音
1/fゆらぎを聴き続けることで、心臓の動きが1/fゆらぎの音に合わせて動くようになり、自然とリラックス状態を維持しやすくなるのが特徴です。自然の音が収録された音楽なども販売されているので、ぜひ手に入れて睡眠生活に取り入れてみてください。
参考:
生体リズ厶と1/fゆらぎ|矢永 尚士(九州大学生体防御学研究所 生気候学部門)
【睡眠の質を高める音楽3】高周波音を出す音楽
4,000Hz以上の高周波を出す音楽も、脳のα波を発生させやすいと言われています。
例えば、バイオリンやオーボエ、ピアノなどを使った音楽は、3,500Hz以上の高周波を含んでいる傾向が強いため、睡眠の質を上げる音楽としておすすめです。
またモーツァルトの
「ピアノと管弦楽のためのロンド」
「フルートと管弦楽のためのアンダンテ」
という音楽は、実際に睡眠の効果を期待できると言われています。古い音楽に興味がある方は、この機会にモーツァルトといった音楽家の楽曲を聴いてみてはいかがでしょうか。
【睡眠の質を高める音楽4】自分が気に入っている音楽
α波を出しやすい曲と言えども、聴いていて嫌な気持ちになる音楽では、十分な効果を得られません。大切なのは自分が気に入っている音楽を聴くことですので、まずはどの音楽が好きなのかを考えたうえで睡眠生活に取り入れましょう。
例えば、古い音楽などには好みがあるため、どの音楽を選んでも睡眠の質が高くなるとは限りません。
「この音楽を聴いていると心地よい」
と思えるものを見つけるために、まずは複数の音楽を視聴してみることから始めてください。
睡眠の質を下げてしまう音楽
音楽であればすべて睡眠の質が上がるというわけではありません。逆に睡眠の質を下げてしまう音楽もあるため、どのような音楽を避けるべきかチェックしておきましょう。
【睡眠の質を下げてしまう音楽1】歌詞 が入っている音楽
歌詞が入っている音楽を入眠する際に聴くと、頭の中で歌声や言葉の意味を理解しようとするせいで、逆に眠りにくくなる場合があります。
例えば、人に声をかけられている状態だと寝付きにくくなるように、歌詞の入っている音楽も同様に話しかけられているような気持ちになるのが特徴です。眠っている間も歌声に意識が向いて、睡眠の質が下がってしまう場合もあるため、なるべく歌詞のない音楽を聴くようにしましょう。
【睡眠の質を下げてしまう音楽2】アップテンポな音楽
入眠時・睡眠中に、次のようなアップテンポな音楽を聴くと、睡眠の質が下がりやすくなると言われています。
- メタル系
- ポップ系
- ハードロック系
- EDM系
睡眠中の激しい音は騒音と同じ影響をおよぼします。また眠りを妨げやすくなるのはもちろん、睡眠の質が下がるのが特徴です。場合によっては突然鳴る大きな音に驚いて目が覚めるというケースもあるので、ゆったりとしたリラックスできる音楽を聴くようにしましょう。
睡眠の質を上げる音楽の正しい聴き方
睡眠の質を上げる音楽を聴くときは「聴き方」に気を付けることが重要です。効率よく睡眠の質を高める正しい聴き方について、押さえておきたいポイントを紹介します。
【音楽の正しい聴き方1】ベッドに入る前から音楽を流しておく
睡眠の質を高める音楽は、ベッドに入る前から流しておくのがおすすめです。
例えば、寝る前からベッドにいる人は、ベッドのそばで音楽を流すのがよいでしょう。また、リビングなどでくつろいでからベッドへ行く人は、寝ようと思う少し前から音楽を流すとよいでしょう。スマートフォンなどで音楽を流して持ち歩くのが便利です。
人によって住まいの形態や生活リズムが異なるため、自分のライフスタイルに合わせて音楽を取り入れてみてください。
【音楽の正しい聴き方2】長時間聴けるメドレー形式の音楽を選ぶ
睡眠の質を高める音楽は、眠りにつくまで聴き続けることが大切ですので、メドレー形式のような長時間聴ける音楽を選ぶのがよいでしょう。
例えば、1曲終わって新しい音楽を選ぶという手作業が加わると、その行動自体で目が覚めてしまうかもしれません。一方でメドレー形式なら、音楽が終わっても自動で次の音楽へと進みます。
気に入っている音楽などをプレイリストにまとめて、自分オリジナルのメドレーを作成してみてはいかがでしょうか。
【音楽の正しい聴き方3】イヤホンを着用せずに聴く
睡眠の質を高める音楽を聴く際には、イヤホンを着用しないことをおすすめします。
イヤホンを装着したまま眠ると、寝返りで耳が痛くなるほか、長時間耳元で音楽を聴く影響で聴力が低下するかもしれません。睡眠の質を高めるためには快適な環境で音楽を聴くことが大切ですので、イヤホンを使わずに眠るようにしてください。
【音楽の正しい聴き方4】睡眠の邪魔にならない音量に設定する
睡眠の質を高める音楽を聴く際には、音量調整に注意してください。
睡眠に効果のある音楽だとしても、音量が大きければ騒音と同じ影響をおよぼすかもしれません。なお電気通信大学の研究である「快眠を導く音とは」の資料では、音量を40dB以下に抑えることが望ましいと解説されています。
40dBは「ささやき声」「静かな図書館」程度の音のイメージです。普段聴いている音楽よりも若干音量を下げたうえで聴くのがよいでしょう。
参考:
快眠を導く音とは ─心拍・呼吸に連動した音の睡眠への影響─|髙玉 圭樹、村田 暁紀、上野 史、田島 友祐、原田 智広
音楽以外の睡眠の質を上げる方法
睡眠の質を上げる方法は音楽だけではなく、ほかにもさまざまな方法で対策が可能です。参考として、以下に睡眠の質を上げる方法を整理しました。
- 日常生活における自律神経の乱れを改善する
- 睡眠の質を上げる食べ物を積極的に食す
- 睡眠の質を上げる飲み物を積極的に飲む
- 睡眠の質を上げるストレッチを始める
各種、自律神経の乱れを防止して、生活リズムを正す効果があると言われています。詳しくは以下の記事で解説しているので、音楽と一緒に対策したいものがある人は、ぜひチェックしてみてください。
音楽で睡眠の質が上がらないなら、専門のクリニックに相談しよう
睡眠の質を上げるために音楽を聴き始めたけれど、期待する効果を得られなかったとお悩みなら、睡眠専門のクリニックに相談することをおすすめします。いびきメディカルクリニックでは睡眠中の症状をみて正しい対策をアドバイスします。睡眠の質が悪い原因がわからないという方は一度当院までご相談ください。
よくある質問
歌詞のある音楽やアップテンポな音楽は、音楽に集中しすぎるせいで逆に睡眠の質が下がってしまうと言われています。また音量などが大きいと眠りにくくなる場合があるので、40dB以下で音楽を聴くようにしましょう。