【もしかして臭う?】いびきと口臭の関係性について

いびきの原因・対策
2023.02.22
【もしかして臭う?】いびきと口臭の関係性について

「最近、家族から口が臭いといわれた…」
「ちゃんとケアしてるはずなのに、なんだか口がニオう…」

このように、口臭で悩んでいる人は多いのではないでしょうか?口臭は、周囲の人になかなか相談しづらい上に、指摘されるとすごくショックを受けて辛いですよね。その口臭、もしかしたら寝ている間のいびきが原因かもしれません。

この記事では、口臭が発生するメカニズムと、いびきと口臭の関係性について詳しく解説しています。また、口臭を抑えるためのセルフケア法もわかりやすく紹介しているので、いびきと口臭にお悩みの人は、ぜひ参考にしてください。

どうして口臭が発生するの?

口元に手を当てている女性の様子


初めに、口臭が発生するメカニズムについて解説していきましょう。口臭が発生する原因には、主に次の6つがあります。

・口腔内の細菌
・唾液の減少
・口腔トラブル
・血液中の成分
・口以外の病気
・心理的口臭症

口腔内の細菌によってニオイが発生

まずは、口腔内の細菌による口臭です。剥がれおちた粘膜のカスや唾液、食べ物のカスなどに含まれるタンパク質が、口の中にいる細菌により分解・発酵し、ガスが出ることで発生します。不快な口臭のほとんどがこのタイプで、口臭のもととなるガスには次のような種類があります。

・メチルメルカプタン :たまねぎが腐ったようなニオイ
・硫化水素 :卵が腐ったようなニオイ
・ジメチルサルファイド :キャベツが腐ったようなニオイ

特に、メチルメルカプタンはニオイの強さと相関があるとされ、口臭を評価する指標となっています。

唾液が減少するとニオイやすい

次は、唾液が減少することで発生する口臭です。

本来、唾液には口の中を洗浄・自浄する作用があり、「噛む」、「話す」など口を動かして唾液腺を刺激することによって分泌が増えます。しかし、唾液が減って口の中が乾燥すると自浄作用が低下し、タンパク質を分解する細菌が増えるので、口臭も濃縮されてニオイがきつくなります。

唾液の分泌が低下するタイミングには、次のようなものがあります。

・朝起きたとき
睡眠中は、唾液腺が刺激されず唾液の分泌や分泌量が減ってしまうため、口臭が発生しやすくなります。また、口呼吸や水分不足などで口の中が乾燥しやすくなることも要因のひとつです。

・しばらく食事をしていないとき
長時間食事をしていないときも、唾液の分泌量が減って口臭が強くなります。

・緊張したときやストレスがあるとき
唾液の分泌は自律神経によって調節されていますが、緊張したりストレスがあったりするときには交感神経が優位かつ副交感神経の働きが低下するので、唾液の分泌が減り、口臭が強くなります。

・ホルモン変調時
妊娠時、月経時、思春期、更年期など、特に女性ホルモンが変調するときも口臭が強くなることがわかっています。なぜ、ホルモンの変化によって口臭が強くなるのかはまだ解明されていませんが、精神的に不安定になって唾液の分泌が減ること、ホルモンの変化で唾液が濃くなることなどが原因と考えられています。

口腔トラブルも口臭の原因に

口腔トラブル、特に次の舌苔(ぜったい)や歯周病は、口臭の大きな原因となります。

舌苔

さまざまな口臭を引き起こす口腔トラブルの中で、最も多いといわれているのが舌苔です。舌苔とは、舌に付着した白っぽい汚れで、細菌やタンパク質を多量に含んでいるため強い口臭を発生させます。

健康な人でも、多少舌苔の付着は見られます。ですが、口の中が乾いているときや体調が優れないとき、胃腸の病気や脱水を伴う病気があるときなどは、自然と厚くなって口臭が強くなります。

歯周病

舌苔の次に多い原因が歯周病です。歯周病とは、歯と歯茎の間に繁殖する細菌に感染し、歯の周りに炎症が起こる病気で、多量のタンパク質や細菌が口の中に歯垢(プラーク)としてたまっています。このプラークが細菌に分解されると、舌苔と同じように強いニオイを発し、口臭が発生します。

血液中の成分がニオうときもある

血液中に流れる成分が、肺を通して吐く息に混ざり、ニオイが出る場合があります。

・ニオイの強い食事や飲酒のあと
ニオイの強い食事(ニンニクやニラなどを)をしたりお酒を飲んだりすると、消化吸収されたのちにニオイのもととなる成分が血液中に移行し、肺を通して口や鼻から強いニオイとして出てきます。

・極度の空腹時
無理なダイエットや食事制限によって極度の空腹状態になると、肝臓が体にエネルギーを供給しようとケトン体という物質を作り出します。このケトン体は、増えすぎると甘酸っぱいニオイのするガス(ケトン臭や飢餓臭、ダイエット臭などと呼ばれる)を発生させ、いずれは肺を通して口から出ていき、強い口臭となります。

参考
どうして症状が起こるの?|くすりと健康の情報局
口臭がひどい|口腔外科相談室|日本口腔外科学会
ダイエットで口臭? ダイエットすると口臭がきつくなる?!

口以外の病気が原因となることも

唾液の減少や口腔トラブル以外の疾患が原因で、口臭が発生することもあります。

・扁桃腺炎、慢性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)など
感染による炎症があると、口の中に膿が流れ込んでしばしば口臭を発生させます。

・逆流性食道炎
酸っぱい胃液が食道に逆流することによって口が臭うこともあります。

・全身の疾患によって、代謝産物が血液中に増えて口臭を引き起こすことがあります。
例)肝機能低下(アミン臭)、腎機能低下(アンモニア臭)、糖尿病(アセトン臭)、悪性腫瘍(腐敗臭)など

【番外編】心理的口臭症

最後に、口臭を発生させるメカニズムの番外編をご紹介します。上記のように、口臭を引き起こす原因は口に関するものや口以外のものなどさまざまです。ですが、まれに実際にはニオっていないのに、本人が口臭を過剰に気にして社会生活に著しい障害をきたす場合があります。これを、心理的口臭症といいます。

心理的口臭症においては、詳しく調べても口の中や健康に何のトラブルも見つかりません。背景には、強いストレスや不安などに起因する精神疾患や心の病気が隠れていることが多いです。

口臭といびきの関係

いびきをかきながら寝ている男性と時計を持ちながら困った表情をしている女性の様子


このように、さまざまな原因や種類がある口臭ですが、いびきとは一体どのような関係があるのでしょうか?

それを紐解く鍵となるのが、唾液の分泌量が低下して口の中が乾燥するドライマウスです。

無呼吸とドライマウス

とある研究により、睡眠時無呼吸症候群の患者と一般の人で、ドライマウス罹患率の比較実験が行われました。

睡眠時無呼吸症候群については、下記の記事で詳しく解説しています。

結果は、一般の人でドライマウスに罹患している人の割合が3.2%だったのに対し、単純性いびき症(いびきをかいているが、身体に影響を及ぼしていない状態)では16.4%、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者においては、31.4%がドライマウスに罹患していました。しかも、睡眠時無呼吸症候群でも軽度無呼吸では22.4%、重度では40.7%がドライマウスに罹患していたとも報告されています。

これにより、睡眠時無呼吸症候群の人は、普通の人と比べてドライマウスの罹患率が高く、そして無呼吸が重症になるほど、ドライマウスに罹患する割合が増えることがわかりました。

このような結果になった背景には、いびきや無呼吸を患っている人が、睡眠中に口呼吸をしていることが関係しています。

先ほども説明した通り、唾液には口の中を洗浄し、清潔に保つ働きがあります。しかし、日常的ないびきや無呼吸によって口呼吸をしていると、口が乾燥してドライマウスになり、口臭が発生しやすくなってしまうのです。

現在のところ、「強い口臭のある人は必ずいびきをかいている」と断定されているわけではありません。ですが、いびきによる口呼吸、そしてドライマウスが口臭の誘因となっているのは確かなようです。

口臭を予防するセルフケア

舌ブラシを使用する女性の様子


上記より、口臭を発生させない、そして悪化させないためには、口腔内の清潔さの維持と唾液の分泌増加が欠かせないことがわかります。そのためには、日頃からケアしていくことが重要です。

ここからは、口臭を予防するためにぜひ行ってほしいセルフケア法について紹介していきます。

口腔内は常に清潔に

まずは、口の中の環境を清潔に整えておくことが大切です。

細菌が増殖して強い口臭の原因となる食べカスや粘膜のカス、歯垢(プラーク)は、毎日の歯みがきでしっかり洗浄を行いましょう。

また、舌苔が多いときは、ドラッグストアなどで販売されている舌みがき専用ブラシなどで取り除くようにしてください。ただし、力を入れすぎると舌を傷つけてしまうことがあるため、優しく行うように気をつけてください。

ただし、自力でのケアにはやはり限界があります。定期的に歯科でクリーニングをしてもらったり、口の中にトラブルが起こったりしていないかチェックしてもらうようにしましょう。

唾液を増やす

唾液が分泌されるように日々意識することも大切です。

唾液は、噛んだり話したりすることで、唾液腺から分泌されます。そのため、長時間にわたり口を動かさないでいると唾液の分泌が減少してしまいます。また、唾液の分泌は自律神経の影響も受けるため、ストレスをためないことも重要です。

これらを踏まえて、次のような対策で唾液を減らさないように心がけましょう。

・食事は規則正しく、よく噛んで食べる
・次の食事まで時間があるときは、ガムなどを噛むと唾液が出やすくなる
・軽い運動を取り入れ人と会話をすることで、ストレスを解消し、唾液腺も刺激される
・睡眠を十分とり、疲れをためないようにする

参考
口臭の対策|くすりと健康の情報局
口臭の予防|くすりと健康の情報局

唾液を増やす唾液腺マッサージ

唾液を増やすには、下記のようなマッサージを行って、唾液腺を刺激することも効果的です。

・耳下腺マッサージ:頬に指をそろえて当て、後ろから前へ円を描くようにする。
・顎下腺マッサージ:顎の内側を耳の下から顎の先に向かって指先で押していく。
・舌下腺マッサージ:両方の親指をそろえて顎の下に当て、ゆっくりと押し上げる。

参考
口臭の予防|くすりと健康の情報局

口呼吸を防ぐ

夜寝ている間にどうしても口呼吸になってしまうという人は、口呼吸防止グッズを使用することもおすすめです。

例えば、口にテープを貼ることで、睡眠中無意識に口が開いてしまうのを防ぐ「口閉じテープ」や、鼻呼吸を促す「鼻腔拡張テープ」などは、ドラッグストアで手軽に購入することができます。

胃腸の調子を整える

口臭の主な原因となる舌苔は、胃腸の不調などがあると増加します。これは、舌の感覚を鈍らせて食欲を減らし、食べる量を減らして胃腸を守るためだといわれています。暴飲暴食は控え、下記のような胃腸に良い食生活を心がけましょう。

・毎日3食規則正しく食べる
・消化の良いものをよく噛んで食べる
・刺激物(辛いものなど)は控える
・ストレスをためない
・腸内環境を整えるヨーグルトなどの乳酸菌を積極的に摂取する
・わかめやメカブなどの海藻類の摂取も効果的

参考
口臭の対策|くすりと健康の情報局
口臭の予防|くすりと健康の情報局

長期間口臭やいびきが改善しないときは医療機関の受診を

カウンセリングをする女医


ここまで、口臭を予防するためのセルフケア法について詳しく紹介してきましたが、ケアをしても長期間口臭が改善しない場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

口臭やいびきを放置する危険性

説明したように、口臭の裏には虫歯や歯周病などの口腔トラブルが隠れている場合が多いです。そして、口腔トラブルは放置すると、次のような合併症や全身疾患を招き、最悪死亡することもあります。

・糖尿病
歯周病による炎症で生じる物質が、インスリン(血糖値をコントロールする物質)の機能を低下させて糖尿病を悪化させることがあります。また、糖尿病自体が歯周病への罹患リスクを上昇させるため、歯周病罹患と糖尿病悪化の悪循環に陥る危険性も高まります。

・冠動脈心疾患(かんどうみゃくしっかん)
歯周病による炎症が、動脈硬化を進行させる場合があります。また、歯周病菌が心臓に運ばれ細菌性心内膜炎の原因となる恐れもあります。

・誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物を飲み込むときに、誤って食道ではなく気管から肺に入ってしまうことを指します。このとき、歯周病菌が一緒に肺に入り込んで感染することで、肺炎を起こすこともあります。

・早期低体重児出産
血液中に入った歯周病菌が、胎盤を刺激して胎児の成長に影響を与えることが要因のひとつではないかと考えられています。

また、いびきも治療せずに放っておくと、睡眠時無呼吸症候群を発症し、死亡リスクの高い合併症を引き起こす可能性があります。

下記の記事で、睡眠時無呼吸症候群の合併症について詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。

まとめ

口を大きく開いて大冝を出している女性の様子


今回は、口臭が発生するメカニズムと、いびきとの関係について解説しました。

口臭にはさまざまな原因がありますが、いびきによる口呼吸、そしてドライマウスが誘因のひとつとなっている可能性は高いです。

そして、口臭もいびきも、放置すると次々と恐ろしい合併症を引き起こし、その影響は全身にまで及ぶこともあります。心当たりのある人は、すぐに専門の医療機関を受診するようにしましょう。

私たちいびきメディカルクリニックでは、いびき治療の専門医院として、これまで数多くの患者様の治療を担当してきました。当院での受診をお考えの方は、本コラムの最後に設置している予約フォームから、初回カウンセリングの申し込みをお願いします。
初回カウンセリングは無料ですので、治療法や費用、スケジュールなど、お客様が疑問に思われることについてしっかりと打ち合わせをすることが可能です。ぜひ一度、ご相談ください。

【よくある質問】

Q.いびきと口臭には、どのような関係がありますか?

A. 日常的ないびきにより、口臭が発生しやすくなるという関係があります。

いびきをかく多くの人は、寝ている間に口呼吸になっています。すると、唾液が減少して口が乾き、口腔内の細菌が増殖しやすくなって口臭が強くなる可能性が高まります。

Q.口臭を予防するには、どうしたら良いですか?

A.日頃から歯磨きなどで口腔内を清潔にし、よく噛んで食べる、ストレスをためない、休息をしっかりとるなどの健康的な生活を心がけましょう。

このページの監修医師
田沼 欣樹いびきメディカルクリニック いびき専門医
いびきや睡眠時無呼吸症候群は様々な病気に合併しやすいと言われています。健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療をおすすめします。いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩む患者様へ、当院のレーザー治療で快適な睡眠手に入れていただき、健康をサポートすることをモットーに日々取り組んでいます。
田沼 欣樹
いびきや睡眠時無呼吸症候群は様々な病気に合併しやすいと言われています。健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療をおすすめします。いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩む患者様へ、当院のレーザー治療で快適な睡眠手に入れていただき、健康をサポートすることをモットーに日々取り組んでいます。
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