【関係性は?】逆流性食道炎といびきの関係性について
目次
最近、胃にむかつきを感じていたり、睡眠時にいびき・睡眠時無呼吸症候群を発症していたりして、悩んでいる人もいるでしょう。もしかするとそれは、逆流性食道炎になる兆しなのかもしれません。
この記事では、逆流性食道炎といびきの関係性についてご紹介します。発症するメカニズムや逆流性食道炎のリスク、また改善方法も解説しているので、睡眠トラブル改善の参考にしてみてください。
逆流性食道炎とは?特徴やメカニズムを紹介
睡眠中、いびきをかいていないでしょうか。中には、家族から注意を受けたことがある人もいるはずです。また、同時に「胃がむかつく」「最近胃液がこみ上げてくる」といった症状のあるケースも考えられます。
もしかするとそれは、いびきが原因で「逆流性食道炎」になっているのかもしれません。まずは逆流性食道炎になるとどうなってしまうのか、症状の特徴やリスクについてご紹介します。
内容物が食道へ逆流すること
逆流性食道炎とは、胃の中に溜まっている「胃液」「食べ物」「飲み物」といった内容物が、食道を逆流して炎症を起こす病気のことです。病気を発症すると、次のようなタイミングに吐き気を感じ、実際に吐いてしまいます。
・就寝前後
・食事をとった後
・姿勢を変えたとき
また逆流性食道炎は、現代になりだして発症者が増えている病気です。人とのコミュニケーション、SNS、忙しい仕事など、いろんな要因が逆流性食道炎に繋がります。誰にでも発症する可能性があることを理解しておきましょう。
胃酸によって食道を傷つけてしまうことも
逆流性食道炎で注意しなければならないのが、「胃液によって食道を傷つけてしまわないか」ということです。
胃液は酸性の物質であり、食べ物などを溶かす働きがあります。つまり、普段胃液が通らない食道などに逆流してしまうと、胃液の影響で傷ついてしまうのです。
もちろん、食道には粘膜があるため、一度逆流しただけならたいして影響ありません。しかし、長期的に逆流性食道炎を発症している人の場合、粘膜が再生する前に胃液で繰り返し食道を傷つけてしまうため、炎症を起こしてしまいます。
逆流性食道炎を発症すると、食事や呼吸をするときに痛みを感じる場合もあります。生活に支障が出る問題ですので、この機会に早期解決を目指してください。
なぜ胃がむかつくの?逆流性食道炎といびきの関係性
いびきをかくと、逆流性食道炎になりやすいといわれています。中には、あまり関係のない要素だとイメージする人も多いでしょう。
続いて、逆流性食道炎といびきの関係性を2つご紹介します。意外なところで結びつく関係性なので、ぜひチェックしてみてください。
関係性①:睡眠時無呼吸症候群を発症している
いびきをかく人の中には、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を発症している人がいます。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の呼吸を止めてしまうのが特徴です。
同時に、食道の筋肉である「下部食道括約筋」を衰えさせ、胃液を逆流させやすい状態に変えてしまいます。その結果、吐き気やむかつきを感じ、食道が炎症してしまうのです。
このメカニズムは、日本医大会誌に掲載された「High Resolution Manometry による食道運動の評価」でも解説されており、健常者よりも胃液逆流のリスクが高まると判明しています。また、一度筋力が緩むと回復までに時間がかかるのも特徴です。睡眠時無呼吸症候群を発症している限り、逆流性食道炎のリスクがあるので注意してください。
関係性②:肥満体型である
暴飲暴食をしていたり、生活習慣の乱れが目立ったりする場合、肥満体型になっている人も多いでしょう。この肥満体型も、逆流性食道炎に大きく関係します。
食事すると、消化作用の働きによって胃液が分泌されます。特に暴飲暴食する人の場合には、通常よりも多く胃液が分泌されるのが特徴です。
また、人によっては暴飲暴食・間食の頻度が高く、胃液分泌のリズムが崩れています。その状態で眠ってしまうと、胃液が食道へ流れ込み、食道を傷つけてしまうのです。肥満体型の人ほど胃液の量が多くなりやすいので「体重が増えてきた」とお悩みの方は注意しましょう。
いびきや睡眠時無呼吸症候群だけじゃない!逆流性食道炎になる4つの原因
逆流性食道炎は、睡眠時無呼吸症候群などにも関係があると説明しました。ただ、他にもさまざまな原因があることを覚えておきましょう。
ここでは逆流性食道炎になる4つの原因をご紹介します。中には複数の原因が重なって、あっという間に逆流性食道炎になってしまう人もいるので、自身の生活スタイルと比較してみてください。
原因①:食生活の乱れ
食事は、一日三食をバランスよくとるのが一般的です。しかし、次のような食生活になっている人もいるでしょう。
・忙しくて簡単な食事だけになっている人
・好きな物だけを食べる偏食家になっている人
・おかしなど間食が多い人
食生活の乱れは、胃液の分泌量を大きく変化させます。場合によっては、胃液の分泌リズムが崩れてしまい、逆流性食道炎に発展する場合もあるので気を付けてください。
原因②:頻繁なアルコールの摂取
普段からビール・ワイン・日本酒といったアルコールを摂取している人も多いでしょう。しかし、アルコールには、胃の内容物を逆流させない役割をもつ食道の筋肉「下部食道括約筋」を一時的に緩めてしまう効果があります。
お酒を飲んで酔ったまま眠った経験がある人の中には、起床したときに胃のむかつきを感じたことがあると思います。それは、下部食道括約筋の緩みが原因かもしれません。お酒を飲んで寝るということを繰り返していると、逆流性食道炎に発展する場合もあります。
原因③:長時間における前かがみ姿勢
逆流性食道炎は「前かがみの姿勢」によって発症する場合があります。前かがみになると、胃液が上側に移動します。また、身体が「く」の字になることによって、胃が締め付けられます。すると、胃液が上側へ移動してしまいます。
その結果、胃液が食道側に上ってしまい、逆流性食道炎を発症するケースがあります。特に食後などは胃液の量が増えるので、身体が「く」の字になりやすいデスクワークや読書、勉強などは控えておくのがおすすめです。
原因④:締め付けの強いベルトや服を着用
普段から締め付けの強い「ベルト」や「服」を着用している人も多いでしょう。特にスーツを着ている人は、日常的に締め付けを感じているはずです。
しかし、身体が締め付けられると、胃液が上側に移動してしまいます。水の入ったペットボトルを手でつぶすと水が噴き出るように、胃液も上側に押し出されるので、逆流性食道炎を発症しやすくなるのです。
逆流性食道炎を発症すると起こる合併症とは?
逆流性食道炎を発症している人が注意すべきなのが、その炎症を起因とした「合併症」を発症するということです。例えば、次のような合併症を発症する恐れがあります。
・睡眠障害
・消化性食道潰
・食道狭窄(閉塞)
・バレット食道
・食道線がん
胃のむかつきで眠れなくなる睡眠障害のほか、食道がんの発症に影響する「バレット食道」や「食道狭窄」などを発症するリスクもあります。長期的に逆流性食道炎を患うほど合併症のリスクも高まっていくので、まずはクリニックに相談してみてください。
逆流性食道炎およびいびきを改善する3つの方法
すでに逆流性食道炎を発症している人や、もしかすると逆流性食道炎かもしれないと不安を感じている人も多いでしょう。ここで大切なのが、原因を理解したうえで改善を試みるということです。
今すぐできる逆流性食道炎・いびきの改善方法を3つ紹介します。
改善方法①:食生活の見直し
胃液の分泌量やリズムを改善するため、食生活を見直してみましょう。例えば、次のような見直しがおすすめです。
・間食を止める
・食事を腹八分目に抑える
・バランスよく食べる
最近では、コンビニでバランスの取れた食事が販売されています。また、栄養バランスを考えられたお弁当の宅配サービスなども充実しています。料理する時間が取れないという方は、手軽な方法を見つけたうえで食生活を改善してみてください。
改善方法②:薬を使った治療
逆流性食道炎かもしれないと感じているなら、市販の薬やクリニックから処方された薬を利用して、改善を目指しましょう。例えば、以下に示す薬を服用することによって、胃液の分泌量を減らし、炎症を抑えられます。
・オメプラール
・オメプラゾン
・タケプロン
・ネキシウム
・タケキャブ
・PPI
薬を服用する際には、薬剤師に相談し、自身の症状に合う医薬品を選ぶことが大切です。
改善方法③:クリニックへの相談
自身で改善できないとお悩みなら、クリニックに相談することをおすすめします。経験豊富なプロの医師に相談することによって、逆流性食道炎の原因を発見してもらえるでしょう。
また、改善策を提案してもらえるため、改善の道筋が見えてくるのが魅力です。解決方法や薬選びを自分で判断するのが怖いと感じているのなら、クリニックを予約してみてはいかがでしょうか。
合わせて、いびきや睡眠時無呼吸症候群を改善できる「CPAP療法」なども利用できます。逆流性食道炎を根本的に解決したいと考える方は、ぜひ診療を受けてみてください。
こんな症状があったらクリニックに相談しよう
中には、逆流性食道炎という病気があることを、初めて知ったという方もいるでしょう。また、逆流性食道炎は、自分で気づけないケースもあるので、クリニックに相談することが大切です。
そこで最後に、逆流性食道炎だと考えられる5つの症状をご紹介します。
症状①:胸やけ
寝起きに胸やけを感じている人や、食後に胃が気持ち悪くなっている人は、逆流性食道炎を発症しているかもしれません。
症状②:お腹が張る
食後、異様にお腹が張っているという人は、胃液の量が多く、酸性のガスが溜まっている可能性もあります。そのまま放置すると、逆流性食道炎を発症してしまうリスクがあります。
症状③:声がかすれる
「最近声の調子がおかしい」「喉が乾燥してうまく話せない」ということを感じている人は、逆流性食道炎を疑いましょう。胃液の影響で食道が炎症し、話しにくくなっているのかもしれません。
症状④:げっぷの頻度が多い
げっぷの頻度が多い人や、胃の中によく空気が溜まると感じている人は、胃液の量が増えているおそれがあります。長期的に続くと、逆流性食道炎に発展する場合もあるので、クリニックに相談し、早めに胃の状態を確認してもらいましょう。
症状⑤:胃がむかついて眠れない
胃のむかつきによって眠れずにすぐに起きてしまうという人は、逆流性食道炎を発症しているかもしれません。睡眠障害といった合併症を発症する場合もあります。何も食べていないにも関わらず、胃がむかついているのなら、すぐにクリニックに相談してみてください。
まとめ
逆流性食道炎は、生活習慣やストレス、いびき・睡眠時無呼吸症候群などが原因で発症する可能性のある病気です。発症する人が増え続けており、睡眠障害や食道がんに発展するケースもあります。
そのため、まずは逆流性食道炎の原因を理解し、適切な改善策を探してみてください。もし改善方法や対策にお悩みなら、クリニックに相談することをおすすめします。健康的な生活を維持するためにも、今すぐ動き出してみましょう。
参考:
逆流性食道炎とは
内科専門医 阪野勝久 2021/07/04 胸焼けと胃酸が逆流する症状でお困りの方へ
2021.08.27 逆流性食道炎について
【よくある質問】
Q.逆流性食道炎といびきにはどんな関係性があるの?
A.寝相が仰向け寝だと、重力によって舌が喉の奥に落ち込み、気道を塞ぐことでいびきにつながる場合があります。
主に次のようなことが関係して、逆流性食道炎を発症してしまいます。
・いびき・睡眠時無呼吸症候群による食道の筋肉の緩み
・肥満体型による食道の筋肉の緩み
また、生活習慣や姿勢なども影響するのでご注意ください。
Q.逆流性食道炎になったら、どのような改善方法があるの?
A.逆流性食道炎の改善方法については「逆流性食道炎およびいびきを改善する3つの方法」で詳しく解説しています。
例えば、次の方法で改善を目指してください。
・生活習慣の見直し
・薬剤師に相談して薬を服用する
・クリニックに相談する