【悪化する?】喫煙がおよぼすいびきについて
目次
「タバコを吸っているといびきがひどくなると聞くけど本当なの?」「なぜ喫煙がいびきと関係するの?」と疑問に思っていませんか?
タバコの煙には有害物質が豊富に含まれており、喫煙することによって喉を刺激し、いびきをかきやすくなります。さらに、喫煙者だけでなくタバコの煙を吸っている周りの人にも影響するため、注意が必要です。
ここでは、喫煙がおよぼすいびきについて、メカニズムやいびきの原因、喫煙によってもたらされる健康被害などについて紹介しています。
この記事を読んで、ぜひ禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。
喫煙によって喉が炎症を起こすことでいびきは悪化する
喫煙により、のどの粘膜をはじめ、口蓋扁桃や咽頭扁桃などの空気の通り道となる粘膜に炎症が起こります。
炎症を起こすと粘膜が腫れるため、空気の通り道が狭くなることでいびきが悪化すると言われています。
喫煙が習慣になっていると、空気の通り道の粘膜が常に炎症を起こしている慢性炎症の状態となり、いびきも習慣化されるでしょう。
そもそもなぜいびきをかくのか。メカニズムについて次に説明します。
そもそもいびきをかくメカニズムとは?
いびきとは、鼻からのどの奥にかけて、吸った空気を肺に届ける通り道が何らかの原因で狭くなってしまうことで起こる、空気の振動音を言います。
窓を喉と仮定して空気の通り方を考えてみましょう。窓を大きく開けておけば、大量の空気が滞りなく出入りできます。一方、窓を数センチほど開けておいた場合、狭い通り道を大量の空気が通ることで「ビュー」や「ヒュー」などの音がするでしょう。これがいびきとなっているのです。
空気の通り道を狭くすることでいびきが発生するため、何が原因で狭くなっているのか原因を探してみましょう。
喫煙以外にもいびきをかく原因がある
いびきの主な原因は、喫煙だけではありません。その他の原因について解説します。
・肥満
・鼻詰まり
・喉の構造上の問題
・飲酒
・睡眠薬の服用
人によって、いびきの原因が異なります。自分に当てはまっている原因はないか確認してみましょう。
また、いびきをかきやすい人の特徴をまとめた以下の記事も参照ください。
いびきをかく原因①肥満
肥満の人は、空気の通り道である気道を、首の周辺についた脂肪が外側から圧迫することで狭くなり、いびきをかきやすくなります。
日本肥満学会では、肥満を以下のように定義しています。
区分 | BMI |
---|---|
やせ | 18.5未満 |
標準 | 18.5以上25未満 |
肥満度Ⅰ | 25以上30未満 |
肥満度Ⅱ | 30以上35未満 |
肥満度Ⅲ | 35以上40未満 |
肥満度Ⅳ | 40以上 |
なお、BMIの計算方法については以下の通りです。
BMI=体重【Kg】÷身長【m】2乗
例えば、身長155cm・体重53Kgの人のBMIは次のようになります。
53【Kg】÷(1.55【m】×1.55【m】)=22.060・・・
BMIは22と計算できます。
自身の体型が肥満に当てはまっていないか、確認してみましょう。
また、特に男性は上半身に脂肪がつきやすいと言われており、首周囲への脂肪の付着が女性よりも多いと言われています。
いびきをかく原因②鼻詰まり
風邪などを引き起こすウイルスや花粉が入り込むことで粘膜が炎症を起こし、鼻詰まりになります。
鼻水と同時に起こることが多いため、鼻水が詰まっていると考えがちですが、実は鼻の粘膜が炎症を起こして腫れているため、空気の通り道が狭くなり、鼻が詰まっていると感じるのです。
鼻詰まりを起こすと、普段鼻で呼吸している人は呼吸しづらくなるため口呼吸になります。寝る時に口呼吸になると、口を開いたまま呼吸をすることになり、舌が気道まで下がってしまいやすいです。そのため、舌によって気道を狭め、いびきにつながります。
鼻詰まりは、風邪や花粉症などの一時的なものなのか、鼻の内部の構造に異常があるのかによって対処法が異なります。常に鼻詰まりを感じている人は、医師に相談してみましょう。
参考:
つらい風邪の鼻症状、なぜ起こるの?原因や対処方法を解説
睡眠時無呼吸症候群‐さわやま内科・総合診療クリニック
いびきをかく原因③のどや顎の構造上の問題
元々気道が狭い場合は、いびきをかきやすいと言えます。例えば、以下のような構造である場合はいびきをかきやすいため、注意しましょう。
・扁桃腺や喉周囲の組織が大きいと言われている
・顎の骨が小さい
・アデノイドがある(小児に多い)
いずれも、自分ではどうすることもできない身体の構造上の問題です。そこに肥満や飲酒、鼻詰まりなどの環境因子が加わることでいびきが悪化し、睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性も考えられます。
頻繁にいびきをかいたり、いびきが大きくなったり、呼吸が止まったりする場合は、医師に相談しましょう。
いびきをかく原因④飲酒
飲酒によりいびきをかきやすくなる原因は、2つあります。1つ目は、筋肉が緩むことです。顎や舌の筋肉が緩むことで、舌が気道に下がり空気の通り道が狭くなって、いびきをかきやすくなります。
2つ目は、血行が促進されることで鼻粘膜の血管が広がって粘膜が腫れあがることです。鼻詰まりを起こすと口呼吸になりやすいので、いびきにつながります。
普段あまりいびきをかかない人でも、飲酒するといびきをかくことがあるのは、上記のような理由があるためと考えられます。
参考:
お酒を飲んだ後に「いびき」いびきをかきやすくなる理由と対策方法
いびきをかく原因⑤睡眠薬の服用
精神安定剤や睡眠薬を服用していると、寝ている間の筋肉の緩みが大きくなり、いびきをかきやすくなります。
薬の種類によっては、いびきに支障がないものもあるため、睡眠薬の飲み始めと同時期にいびきをかくようになった場合は、医師に相談して薬を変更することも検討しましょう。
喫煙者だけではない!受動喫煙もいびきの原因になる
受動喫煙とは、喫煙者と同室にいる非喫煙者が、タバコの煙を吸ってしまうことを言います。タバコの先端から出る副流煙の方が、身体にとって有害な物質を多く含みます。そのため、受動喫煙している非喫煙者にもいびきをかく危険性があります。
特に子どもは、両親が喫煙者の場合と非喫煙者の場合を比較すると、およそ2倍いびきをかく可能性があることが分かっています。喫煙は、喫煙者自身だけでなく、非喫煙者の健康にも被害をおよぼしていることを理解しておきましょう。
近年は「分煙」と言われる受動喫煙防止を目的とした、喫煙者と非喫煙者のエリアを分類する対策がとられるようになってきました。
家庭でも、庭や換気扇の下、指定された喫煙スペースなどを設けて喫煙している人もいるでしょう。
しかし、喫煙した人の服や髪の毛にはタバコの煙に含まれた有害物質が付着しています。分煙していても、非喫煙者に影響が少なからずあることを、覚えておきましょう。
参考:
受動喫煙‐e-ヘルスネット厚生労働省
現在タバコを吸っていない人へ、家族が吸っている人へ
喫煙がもたらすいびき以外の健康被害4選
喫煙は、喉の粘膜に慢性的な炎症を起こすことでいびきをもたらしますが、その影響により以下のような重大な病気を引き起こす危険性があります。
・睡眠時無呼吸症候群
・気管支喘息
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・呼吸器系のがん
どのような病気なのか、詳しく解説します。
参考:
喫煙者は要注意!タバコで睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる理由
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に浅い呼吸や無呼吸を繰り返し、体内に十分な酸素が行き渡らないことで様々な病気を引き起こします。
同居している家族からいびきや無呼吸を指摘されて、初めて気付く人も多いでしょう。
睡眠時無呼吸症候群は、本人は寝ているつもりでも脳が寝ていないという点が重大であり、脳が働き続けることで身体は常に活動している状態です。身体の動きを活発にする、自律神経の一種である交感神経が優位になるため、血圧や脈拍の上昇し、身体にはストレスがかかってしまいます。
そのため、心臓や脳などの血管に影響をおよぼし、心筋梗塞や脳卒中を発症する危険性が高くなります。
就寝中のいびきや無呼吸が気になる人は、医師に相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群については、こちらで詳しく解説していますので参照ください。
気管支喘息
気管支喘息の人は鼻や喉、気管の粘膜が常に炎症を起こしており、ホコリや花粉、ハウスダストなどの微細な異物にも反応して炎症が広がり咳や呼吸困難を起こす病気です。
喫煙することで煙を吸い、粘膜に炎症を起こし気管支喘息を発症するケースも少なくありません。特に、子どもは保護者が喫煙していた場合、タバコの煙を原因として喘息を起こしている可能性が高いです。
気管支喘息にならないためには、禁煙がベストです。
参考:
C-01 気管支ぜんそく‐C.アレルギー性疾患‐日本呼吸器学会
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、「慢性気管支炎」と「肺気腫」の総称を言います。最大の原因は、喫煙です。
長年の喫煙により、鼻や喉、気管の粘膜に炎症をきたし、さらに肺の奥まで炎症が広がることで、階段の上り下りで息切れがしたり、咳や痰が出たりなどの症状が出ます。
タバコの有害物質により、酸素と二酸化炭素を交換する機能が低下します。治療をしても治ることはなく、悪化しないよう生活習慣を見直していかなければなりません。
治療の基本は禁煙です。一度COPDになった場合は、息苦しさを常に感じ、咳・痰が出続けることになるため、病気を発症する前に喫煙をやめるべきと言えるでしょう。
参考:
B-01 慢性閉塞性肺疾患(COPD)‐日本呼吸器学会
呼吸器系のがん
タバコには発がん性物質が含まれていることが明らかになっており、以下の部位のがんについては喫煙との因果関係がはっきりしています。
・口腔がん
・咽頭がん
・肺がん
・食道がん
・鼻腔・副鼻腔がん
また、受動喫煙による肺がんの発症は、因果関係が科学的にはっきりしています。喫煙者だけでなく、周りの家族やパートナーもがんになる危険性が高まると言えるでしょう。
しかし、禁煙すればがんになるリスクは軽減されます。喫煙はいびきをはじめ、日常生活への影響も大きいうえ、重大な病気を引き起こす原因になるため、禁煙をおすすめします。
いびきだけでなく他の病気を発症しないためにも禁煙しよう
喫煙は、身体に悪いことが分かっていてもつい吸ってしまう、依存性の高い習慣です。禁煙しようとして失敗してしまった人も多いのではないでしょうか?
ひとりで禁煙を続けていくのが困難だと思う人は、禁煙外来を利用しましょう。禁煙をサポートする飲み薬や皮膚に貼るパッチなどが処方され、無理なく禁煙できる方法があります。
禁煙を検討している人は、一度相談してみましょう。
喫煙でいびきをかくようになってしまったら?
喫煙がおよぼすいびきや、喫煙による健康被害について解説しました。タバコの煙によって鼻やのどの粘膜に炎症を起こし、空気の通り道が狭くなることで、いびきをかきやすくなります。
いびきの原因にもなる喫煙は、重大な病気などの健康被害にもつながります。
もし日々の喫煙の結果、いびきをかくようになってしまったという方はいびき治療をおすすめします。
いびきメディカルクリニックでは、痛みが少ないレーザー治療の「パルスサーミア」をご用意しております。ダウンタイムもほとんどない為、ご家族がいらっしゃる方にもご好評です。
「家族にいびきがうるさい」と言われてしまったらお気軽にお問合せください。
【よくある質問】
Q.喫煙でいびきがひどくなりますか?
A.はい、なります。タバコによる煙によって、鼻やのどの粘膜に炎症を起こすことで、空気の通り道を狭め、いびきにつながります。喫煙期間が長ければ長いほど喉の炎症状態が続くため、いびきだけではなく、他の健康被害にもつながりますので、注意しましょう。
Q.自分はタバコを吸わないのに、家族が吸っていると自分もいびきをかきやすくなりますか?
A.受動喫煙と言われる状態であり、タバコを吸わない人でもいびきをかく可能性があります。喫煙スペースと生活スペースを分けていても、喫煙者の髪の毛や洋服にはタバコの有害物質が付着しているため、煙を直接吸っていなくても少なからず有害物質を吸い込んでいます。そのため、タバコを吸わない人でも家族に喫煙者がいる場合は、いびきをかきやすくなるため、注意しましょう。