疲れがいびきをまねく?疲れているときにいびきをかきやすい理由とは
目次
肥満やアルコールの摂取、鼻炎などでいびきをかくことがありますが、「疲れている」というのもいびきをかく理由のひとつです。
「いびき=疲れているサイン」と判断する方も多いのではないでしょうか。
なぜ疲れているといびきをかくのか、疲れといびきの関連性と、いびきの解消方法を紹介します。
一時的ないびきと慢性的ないびき
いびきをかく原因は、一時的なものと慢性的なものに分けられます。
疲れが原因のいびきは一時的なものです。
一時的ないびきには疲れ以外にも原因があります。
アルコールの摂取
アルコールを飲むことによって筋肉が緩んで気道を塞ぐうえに、アルコールを分解するときに多くの酸素が必要になり、いびきをかくことが多いです。
身体がアルコールを分解する際に酸素が足りなくなると、たくさんの酸素を取り込まなければならず、呼吸が激しくなります。
気道に空気が流れる際の抵抗が大きくなり、粘膜も震えやすくなるためいびきを生じるのです。
アルコール摂取が原因となる一時的ないびきは、健康な人でも起こる可能性があります。
肥満
肥満体型の方は、体内に過剰に脂肪が溜まっている状態です。気道周辺にも脂肪が蓄えられるため、脂肪に圧迫されて気道が狭くなり、空気がスムーズに通らなくなることで慢性的ないびきにつながります。
疲れるといびきが出る理由とは?
いびきをかく原因は様々ですが、「疲れが溜まっていること」も原因のひとつです。
いびきは、睡眠による筋弛緩で喉周辺の筋肉が緩み、重力で舌が落ちて気道が狭くなることから引き起こされる現象です。
気道が狭くなると空気の抵抗が大きくなり、呼吸によって粘膜の振動が起こるので、いびきの音が出るようになります。
身体が疲れていると、より筋肉が緩むため、いびきが出やすくなるのです。
さらに、疲れると回復に向けて就寝中により多くの酸素を取り込もうとするため、鼻呼吸だけではなく口呼吸も始めてしまうことも原因だといえます。
口呼吸になると、舌や口蓋垂が気道に落ちやすくなるので、いびきにつながるのです。
疲れによるいびきは一時的なものですが、口呼吸はいびきの慢性的な原因となります。いびきが慢性化すると、睡眠時無呼吸症候群になるリスクがあります。
さらに慢性的ないびきの原因である口呼吸や肥満は、別の病気を引き起こす原因にもなるため、早めに治療したいところです。
疲れて口呼吸になると危険?いびき以外のデメリット
疲れると口呼吸をすることからいびきが出やすくなりますが、口呼吸がもたらすデメリットはいびきだけではありません。
口は本来、呼吸をするための部位ではなく、消化器系に分類される部位です。正常な状態では、呼吸をする部位は鼻なのです。
鼻には空気の汚れを取るなど呼吸に必要な仕組みがありますが、口にはありません。
口で吸い込んだ空気は直接気管へと流れ、肺に入ります。それは、空気中にあるウイルスやゴミ、そして乾燥したままの空気がそのまま喉を通って体内に入ってしまうということです。口呼吸には、様々なデメリットが生じます。
ここでは鼻呼吸と比較した口呼吸のデメリットについて紹介しましょう。
デメリット①風邪をひく
鼻呼吸は、空気が鼻に入った際に粘膜や鼻毛でウイルスやゴミがキャッチされる仕組みです。
また、空気に温度や湿度が加わって肺に運ばれるので、肺に入っても負担がかかりにくいことが特徴です。
しかし、口呼吸をしていると、鼻呼吸とは異なり喉や肺に入る空気が綺麗になりません。
空気中のウイルスやゴミが喉に付着することから扁桃が常に炎症している状態となり、風邪をひいたり免疫力が下がったりといったことが起こやすくなります。
デメリット②口臭
唾液の中には酵素の一種であるリゾチームと呼ばれる物質が含まれており、口内の細菌の繁殖を抑制しています。
しかし、口呼吸をすると口の中が渇いてしまいます。
すると、唾液が乾燥してリゾチームが活性化されなくなり、細菌の繁殖が抑制できなくなるのです。
さらに、唾液の分泌量も減ることから、口の中がネバネバして歯周病や虫歯になりやすくなり、口臭の原因になります。
デメリット③睡眠時無呼吸症候群
口呼吸をしていると喉に舌が落ち込んで気道が狭くなり、いびきを生じやすくなります。さらに、喉が塞がれることによって睡眠時無呼吸症候群になりやすい点にも注意が必要です。
いびきや睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が低下すると、昼間の集中力や注意力がなくなるなど悪影響を及ぼします。
デメリット④太りやすい
鼻呼吸と比較して、口呼吸は酸素を取り込める量が少なくなります。
脳に届く酸素が足りないと、集中力や注意力が低下するだけではなく代謝も悪くなるのです。
代謝が落ちることで、太りやすくなります。ダイエットをしても効果を得にくくなることもデメリットといえるでしょう。
デメリット⑤顔の皮膚がたるむ
口呼吸は口がいつも開いた状態になるので、顔の筋力が低下して顔の筋肉のたるみにつながります。
また、口周辺の筋力低下により前歯が押し出されるため、歯並びが悪くなるリスクもあります。
特に、小さなお子さんは将来の表情にも大きく影響するため、早めに口呼吸を改善しましょう。
口呼吸を止めよう!疲れが原因のいびきを改善する方法
疲れにより誘発される口呼吸は、口のトラブルだけではなく、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になったり、風邪をひきやすくなったりといった様々な問題につながります。
セルフケアで口呼吸を改善することから始めてみましょう。
ストレスを発散する
疲れていると身体が酸素を取り込もうとするため、口呼吸になりやすいです。疲れを感じている場合には、ストレスを発散し、心身共にリフレッシュすることから始めましょう。
こまめにストレッチをして身体を動かす、甘いものを摂取する、十分な睡眠時間を確保するなどが、ストレスの軽減に適した行動です。
身体を動かす際にはサイクリングやウォーキングといった、同じペースで身体を動かせるような運動が良いでしょう。
同じペースで身体を動かすと、気持ちを落ち着かせる神経伝達物質「セロトニン」が分泌されやすいためです。
普段運動しない方は、短距離のウォーキングから始めましょう。
また、外で活動することも大切です。太陽の光に当たることは、脳の働きを活発にし、精神の安定や安心感をもたらすセロトニンの分泌を促します。
ストレス発散の方法には他にも、親しい友人や知人と笑える会話を楽しむことや、趣味に集中して日常から気分を切り離すといった方法もあります。
口呼吸にならないように意識する
気づくと口を開けている、いびきが大きいという場合には、無意識で口呼吸が癖になっている可能性があります。
自覚したときに、口を閉じて鼻呼吸をするよう意識しましょう。
口呼吸の癖がある方が鼻呼吸に切り替えると、苦しいと感じることもあります。
しかし、無理のない範囲で鼻呼吸を意識すると、身体がリズムを覚えて徐々に鼻呼吸が癖になり、口呼吸を改善できるでしょう。
口の筋肉トレーニング
口の筋肉を鍛えるには、口腔筋機能療法というトレーニングがあります。口腔筋機能療法とは、舌の使い方の癖やどの筋肉が衰えているかをチェックし、一人ひとりに適した筋肉トレーニング方法を医師が指導するというものです。
指導を元に自宅でトレーニングを続けることによって、口呼吸の改善を目指します。
ガムを噛むようにする
ガムを噛むときは必ず口を閉じることを利用して、少しずつ鼻呼吸をする癖をつけることができます。
口呼吸を防ぐテープを付ける
唇に口呼吸を予防するためにテープを貼って、物理的に口を閉じる方法もあります。
鼻呼吸を意識すればできる方におすすめです。
少しずつ鼻呼吸に慣れて、呼吸しやすくなっていきます。
食べ物をしっかり噛む
食事をとる際に正しく噛むよう実践することで、口呼吸の癖を直しましょう。片噛みせずに左右の歯を均等・交互に使って食べ物を噛むこと、音を立てないように噛むことが重要です。
鼻づまりがないか相談する
口呼吸になる原因に花粉症やアレルギー性鼻炎、風邪などを元にした鼻づまりがある場合は、鼻呼吸ができないケースもあります。
鼻炎などが背景にある場合には、医師に相談のうえ、まずは鼻づまりの改善に向けた治療を行いましょう。
いびきの原因は疲れによる口呼吸の可能性がある
疲れているときにいびきをかくという方は、慢性的に口呼吸をしている可能性があります。
口呼吸には口臭や見た目のみならず、風邪をひきやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群へ移行する可能性が出てきたりと多くのデメリットがあるのです。
疲れを原因としたいびきへの対処として口呼吸を止められるトレーニングを紹介しました。
口呼吸が自分では止められなかったり、口呼吸を止めてもいびきが改善しなかったりする場合には、クリニックに相談しましょう。