【喉が痛くてつらい!】扁桃肥大といびきについて

いびきの原因・対策
2023.02.10
【喉が痛くてつらい!】扁桃肥大といびきについて

扁桃肥大は、ただの喉の痛みではありません。
肥大した扁桃が気道を圧迫することで呼吸障害を招き、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因となります。
また、扁桃は年齢によって大きさが異なるため、大人と子供では扁桃肥大を発生する確率が異なるのも特徴です。
喉の痛みにはいくつかの種類があり、風邪や空気の乾燥や喉の酷使が原因の痛みは「扁桃炎」です。扁桃炎は扁桃肥大と勘違いされやすいですが、同じ症状ではありません。
扁桃肥大の場合、食事の際の飲み込み辛さや息苦しさを感じます。
この記事では、扁桃の役割や特徴を詳しく解説し、扁桃肥大が原因で発生するいびきとの関係性について、詳しく解説していきます。

扁桃腺の肥大(扁桃肥大)とは?

のど元に軽く手を添える女性


扁桃は、部位によって分かれているのはご存じですか?鼻の奥の「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」。舌の付け根に位置する「舌根咽頭(ぜっこんいんとう)」。口蓋垂(のどちんこ)の両脇にある「口蓋扁桃(こうがいへんとう)」。このように、部位によって細かく分かれています。

一般的には「扁桃腺」という言葉が一番耳にすることが多く、病院で診察を受けた際も「扁桃腺が腫れている」と診断された経験があるかと思います。扁桃腺とは、口蓋扁桃と同じです。

一方、扁桃肥大を発症した場合は、主に口蓋垂の周囲が腫れてしまうことによって、喉を圧迫してしまいます。
喉の圧迫による呼吸障害だけでなく、食事の通りが悪くなる、嘔吐などの障害も発生するのが特徴です。

小さなお子様の場合、最近食べる量が減っている、よく食事を吐き出してしまうなどの様子が見られる場合は、扁桃肥大を疑いましょう。

扁桃の役割

扁桃は喉の周りに存在するリンパ組織であり、鼻や口から侵入する細菌やウイルスを防ぐ役割があります。

ウイルスと直接対峙するため、扁桃の病気にはウイルスや細菌による感染が最も多いです。
一例として、風邪や空気の乾燥で喉に痛みを感じる扁桃炎は誰もが経験したことのある症状でしょう。

乾燥や喉の酷使による痛みは「扁桃炎」

体内を守る役割のある扁桃ですが、扁桃自身が傷つくことも当然あります。

空気の乾燥や喉の酷使によって喉がダメージを受けることで、細菌やウイルスの感染を引き寄せてしまうからです。

風邪を引いた際に喉の痛みを感じるのも扁桃炎です。

扁桃炎は多くの方が経験したことのある症状のため、扁桃肥大の場合でもただの風邪だと勘違いしていることが多いのですが、扁桃炎と扁桃肥大は別の症状であることを知っておきましょう。

ただし、扁桃炎が慢性的に続くことによって扁桃肥大を発症させることも珍しくありません。

扁桃肥大の特徴


扁桃が肥大することによって、気道が圧迫され、呼吸障害を発症してしまうのが扁桃肥大の主な特徴です。

症状としては、呼吸障害、それに伴う睡眠障害がよく見られますが、実は扁桃が肥大する原因にも不思議な特徴が見られます。

では、扁桃肥大を発症する可能性の高い年代と身体的な特徴と、発症による呼吸障害について詳しく説明していきます。

年齢に応じて扁桃の大きさが変化する

扁桃肥大は、扁桃が肥大してしまうことによって呼吸障害を招く病気ですが、実は扁桃には、幼少期から思春期にかけて肥大するという特徴があります。

口蓋扁桃は、4歳、5歳ごろから肥大が始まり、8歳前後に最も大きな状態に達します。肥大した扁桃は12歳ごろの思春期を境に萎縮され始めるので、体の成長とともに扁桃は小さくなります。

幼少期の扁桃肥大は当然のため、大人と子供では扁桃肥大に対する深刻度が異なります。大人の扁桃肥大は治療が必要なケースが多いですが、子供の場合は体の成長とともに萎縮していくため、様子を見る程度の対応になることが多いです。

身体的な特徴が影響しやすい

扁桃肥大は年齢に応じた変化だけでなく、身体的な特徴による影響も存在します。
代表的なのが、のどの細さ、顎の小ささです。

人より扁桃が大きい方は、常に気道が確保しづらい状況にあり、それによって呼吸障害、睡眠障害を発生させやすいです。

のどや顎が小さい場合、扁桃そのものが肥大しやすい傾向にあるというわけでなく、人よりものどや顎が小さいことが原因で、扁桃の圧迫による気道の塞がりが見られることがあります。

そのような場合、外科手術で扁桃の一部を摘出することも少なくありません。

これらの扁桃肥大が呼吸障害を招く

扁桃肥大の特徴として最も代表的なのが、呼吸障害です。

気道を圧迫することによって呼吸のしづらさが生まれ、睡眠時にはいびきや無呼吸などの症状を起こします。

扁桃肥大が招いた呼吸障害が原因で、睡眠時のいびきや無呼吸発作を発症することは珍しいことではなく、睡眠時無呼吸症候群を発症する方の特徴として、扁桃肥大が挙げられることがあります。

扁桃肥大といびきの関係性


いびきを発症する方の特徴には、肥満が多く見られます。肥満体型の方は、のどや頬の周りに脂肪が多く、睡眠時に緩んだ脂肪がのどを押しつぶす形になり、いびきを鳴らします。

扁桃肥大も肥満が原因のいびきと類似しており、脂肪ではなく肥大した扁桃が気道を狭くすることによっていびきが発生しています。

つまり、気道の塞がりがいびきを発生させるため、扁桃肥大を発症している多くの方は、いびきをかいている可能性が高いです。

気道の塞がりは、睡眠時無呼吸症候群を発症させる最も大きな要因であるため、扁桃肥大は睡眠時無呼吸症候群とも密接な関係があります。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、慢性的ないびき、無呼吸発作などを引き起こす病気です。

無呼吸発作とは、睡眠中に無呼吸に陥る軽度の呼吸障害であり、いびきをかいて眠っている方が、急に呼吸を停止し、いびきをピタッと止め、数秒後にまたいびきを再開するような状態です。

この無呼吸発作は人間の生理現象であるため、睡眠中に一度や二度程度の場合は問題視する必要はありませんが、無呼吸発作が頻繁に見られる場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

扁桃肥大の原因

扁桃肥大の原因は、上記で解説した年齢や身体的な特徴以外にも、飲酒や喫煙などの私生活の悪習慣が原因となることが多いです。

口や鼻から侵入する細菌やウイルスから体内を守る役割を持つ扁桃は、他よりも感染するリスクが高まります。体内を守りきれず、扁桃が感染してしまうことによって肥大します。

飲酒や喫煙によってのどに負担をかけることで、扁桃を弱めてしまうため、悪習慣を続けていると、扁桃肥大が起こりやすくなります。常にのどの状態を保っておくことが、扁桃だけでなく風邪や病気の予防、ひいては健康につながります。

小児の睡眠障害は扁桃肥大が関係している?

のど元に手を当て辛そうな表情の男の子


小児の睡眠障害には、扁桃肥大が大きく関係しています。

年齢に応じて扁桃は肥大し萎縮すると説明しました。実際に、幼少期に睡眠時無呼吸症候群を発症する子供は非常に多いです。

そして、睡眠時無呼吸症候群を発症した子供達の原因の8割から9割は扁桃肥大であると言われています。

4歳頃から8歳前後までは、扁桃が肥大し続けるため、睡眠時無呼吸症候群はある程度仕方がないものとして、様子を見ながら成長を見守っていくといった処置をとるのが一般的です。

扁桃肥大が考えられる子供の特徴

子供の扁桃肥大を早期発見するためには、子供の様子をよく観察する必要があります。

特にわかりやすいのは、食事量の低下や、嘔吐が増えるといった症状です。

気道が塞がることによって、飲み込みづらさを感じ、これまでの食事とは違った不快感を覚えることで、食事そのものを嫌うことや、自分では気が付かずにこれまで通りの食事を続け、吐き出してしまうといったことが多いです。

そのほかにも、大人と同じように慢性的ないびきや、睡眠時に急に呼吸が止まるなどの無呼吸発作も症状として現れます。

大人と比較して、子供の扁桃肥大は仕方ないとされる面もあるため、発見したからといって改善されるわけではありませんが、中には「肥大し過ぎてしまう」子供もいるため、子供の異変には注意を払うようにしておきましょう。


参考:
(ふじむら耳鼻咽喉科)、お子様の治療について
(つるはら耳鼻咽喉科)、扁桃肥大・扁桃炎・扁桃周囲炎

まとめ

医者の治療を受ける幼い少女


扁桃肥大は風邪やのどの酷使による扁桃炎のようなただの喉の痛みではありません。
肥大した扁桃は、気道を圧迫し、呼吸障害を招きます。

呼吸障害は、睡眠中のいびきや無呼吸発作を多発させる原因となり、最終的には睡眠時無呼吸症候群を招くため、早期発見・早期治療が必須です。

睡眠時無呼吸症候群を発症してからの治療は長く、改善まで時間がかかるため、扁桃肥大の段階で治療をすることはとても重要なリスク回避となります。

細菌やウイルスから体を守ってくれる扁桃の状態を、空気の乾燥や喉の酷使から防ぐことは難しくないため、日常的に意識することが大切です。

また、子供の場合は扁桃が肥大するという特徴があるため、大人と比べてある程度仕方のないところはあるものの、扁桃の肥大がひどい場合、食事や睡眠に大きな影響が現れます。年齢や体の成長とともに萎縮しますが、子供の場合でも注意深く様子を見るようにしましょう。

体内を守る役割を持つ扁桃も、細菌やウイルスに感染する可能性があるということを忘れずに、基本的なうがいから、扁桃を清潔に保つように気をつけてください。

【よくある質問】

Q.扁桃肥大を治療すればいびきは治る?

A.扁桃肥大が気道の圧迫の原因となっている場合、扁桃肥大の治療はいびきの改善につながりますが、いびきの原因が肥満や私生活にある場合、それに伴った治療が必要になります。

Q.子供に扁桃肥大が多いのはなぜ?

A.4歳頃から8歳前後にかけて扁桃は肥大するという特徴があり、思春期頃から体の成長とともに扁桃が萎縮します。そのため、子供の頃は扁桃肥大という症状は珍しくなく、治療よりも様子を見ながれ放置することが多いです。

このページの監修医師
田沼 欣樹いびきメディカルクリニック いびき専門医
いびきや睡眠時無呼吸症候群は様々な病気に合併しやすいと言われています。健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療をおすすめします。いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩む患者様へ、当院のレーザー治療で快適な睡眠手に入れていただき、健康をサポートすることをモットーに日々取り組んでいます。
田沼 欣樹
いびきや睡眠時無呼吸症候群は様々な病気に合併しやすいと言われています。健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療をおすすめします。いびきや睡眠時無呼吸症候群で悩む患者様へ、当院のレーザー治療で快適な睡眠手に入れていただき、健康をサポートすることをモットーに日々取り組んでいます。
RELATED

この記事の関連記事