鼻中隔矯正術とは?手術後のいびきや鼻づまりへの効果を解説!
目次
「長年鼻炎で悩んでいる…」
「ずっと鼻がつまっていて辛い…」
このような症状で悩んでいる人はいませんか?もしかするとその症状は、「鼻中隔湾曲症」という鼻腔内に見られる病気によるものかもしれません。そして、鼻中隔湾曲症を解消するには「鼻中隔矯正術」という外科手術を受ける必要があります。
この記事では、鼻中隔矯正術とはどのような手術なのか解説したのち、鼻づまりを解消するとどんなメリットがあるのかについて解説していきます。あわせて、鼻詰まりを解消することで見られるいびきの改善についても解説していくので、ぜひ参考にしてください。
鼻中隔矯正術とは?
まずは、鼻中隔矯正術とはどのような治療をするのか解説していきましょう。
鼻中隔湾曲症を改善するための手術
鼻中隔矯正手術は、鼻中隔湾曲症解消のために行われる手術です。
鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)とは、鼻の穴を左右で隔てている鼻中隔が、何らかの原因で湾曲している(強く曲がっている)せいで、鼻づまりやいびき、嗅覚障害などの症状が現れる慢性疾患です。
通常、健康な人でも鼻中隔の多少の湾曲は起こり得ますが、鼻中隔湾曲症の人は湾曲が強く起こっているために鼻がつまっていたり、薬を飲んでも鼻炎症状が治らなかったりといった症状が現れます。
鼻中隔が湾曲する原因はいまだはっきりしていない部分もありますが、鼻中隔を構成する軟骨と骨の成長スピードの不一致で発生するという説が有力です。
鼻中隔は、頭が大きくなるに従って骨と軟骨がバランス良く成長し、鼻中隔を形成していくのが通常ですが、まれに軟骨の成長スピードが他の骨よりも早いせいでズレが生じ、それ解消するために鼻中隔が大きく湾曲することがあります。
他には、鼻に打撲や骨折などの強い外傷を負ったことが原因となって、鼻中隔が湾曲することもあります。
こうした鼻中隔の湾曲は幼少期に発生し、成長と共にどんどん曲がっていくため、小児の段階で気づくことは少ないです。多くは大人になってから重度の鼻づまりや鼻血の頻発などによって発覚し、治療に至るケースがほとんどです。
参考:
鼻中隔弯曲症の手術について
鼻中隔矯正術
耳鼻咽喉科 / 手術診療について / 鼻中隔矯正術
どういうときに鼻中隔矯正術手術が必要なの?
具体的に、次のような症状を持つ人は、手術を勧められることが多いです。
・鼻づまりがひどい
・鼻血が頻繁に出る
・日常的に口呼吸をしている
・いびきをかいている
・睡眠時無呼吸症候群と診断されたことがある
・嗅覚や味覚障害がある
・頭痛や片頭痛がある
・慢性副鼻腔炎を合併している
・薬物治療を行ったが効果が見られなかった など
参考:
鼻中隔弯曲症の手術について
鼻中隔矯正術
耳鼻咽喉科 / 手術診療について / 鼻中隔矯正術
鼻中隔矯正術の治療の流れ
実際に鼻中隔矯正術を行う場合は、次のような手順で進めます。
鼻中隔湾曲症の検査
まずは検査です。
医療機関では、主に症状の程度に加え、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの合併症がないかどうか確認を行います。
実際に行われる検査は次の通りです。
検査 内容
視診 「鼻鏡」という器具で鼻孔を広げ、鼻中隔を直接観察する
内視鏡検査 細い内視鏡を挿入し、粘膜の状態も含めて鼻腔内の状態を詳細に観察する
3CT(コンピュータ断層撮影)検査 X線で鼻の断層を撮影し、鼻中隔がどのように曲がっているか、さらには合併症の有無などを正確に把握する
鼻腔通気度検査 測定するための機器を鼻に当て、鼻で呼吸した際の空気の通り具合から、通気の度合いを確認する
その他の検査 アレルギーなどを発症していないかを調べることもある
鼻中隔矯正術の手術内容
鼻中隔矯正術の手術内容は、曲がっている部分の鼻中隔軟骨を切除して、鼻中隔を真っ直ぐに整えます。
<鼻中隔矯正術の手術内容>
1.局所麻酔(日帰り手術)、全身麻酔(入院手術)にかかわらず、手術中の鎮痛や止血効果を目的として、局所麻酔とガーゼ麻酔を行う。局所麻酔では、苦味を感じたり一時的に動悸が激しくなったりするが、すぐに治っていくことが多い。
2.鼻中隔粘膜を観察し、曲がって飛び出ている方の鼻中隔粘膜をメスで切開する。
3.粘膜を傷付けないように、軟骨膜下と骨膜膜下を丁寧に剥離する。
4.メスで鼻中隔軟骨を切開し、粘膜と軟骨を剥離する。
5.鼻中隔軟骨や骨の曲がっている部分を切除する。必要に応じて、鼻中隔の下の部分にある骨を少し削る場合もある。
6.止血後、鼻中隔粘膜を縫合する。これで鼻中隔はまっすぐになる。
上記に加えて、アレルギー性鼻炎のような鼻の炎症を併発している場合には、粘膜下下甲介骨切除術と鼻甲介粘膜切除術も続けて行うこともあります。
この後、鼻中隔湾曲症の手術だけの場合は両側から患部を圧迫し、出血を防ぐために両方の鼻の穴にスポンジをしっかり詰めて終了です。スポンジの中には、息をするためのシリコンチューブが入っており、術後の完全な鼻づまりを回避します。
参考:
鼻中隔弯曲症の手術について
鼻中隔矯正術
耳鼻咽喉科 / 手術診療について / 鼻中隔矯正術
鼻中隔矯正術の失敗・リスク
鼻中隔矯正術の手術内容は上記の通りですが、施術を行うにあたってリスクも伴います。
代表的な合併症としては、「鞍鼻(あんび)」という鼻のへこみが発生する場合があります。他には、出血や鼻中隔の穿孔も起こり得ます。
ただ、鼻中隔矯正術自体はハードルが比較的低い手術とされているため、経験のある医師であればこうした合併症などは発生することはまれだとされています。
ですが、実際に手術を行う際には信頼できる医療機関で行うのが良いでしょう。
鼻中隔矯正術のFAQ
鼻中隔矯正術のよくある質問について解説します。
費用はどれくらいかかる?
鼻中隔矯正術は、健康保険が適用されます。
手術にかかる費用相場は次の通りです。
・日帰り手術(局所麻酔):67,500円程度
→これに、再診料や処方料なども合わせると、トータル70,000〜80,000円程度になることが多い。
・入院+手術(全身麻酔):135,000円程度
→これに諸々の費用を合わせると、15万〜20万になることもある。
手術にかかる時間はどれくらい?
手術にかかる時間は、日帰り手術でだいたい60分程度かかる場合が多いようです。全身麻酔の手術はもっと時間がかかることもあります。
また、局所麻酔下の日帰り手術の場合、術後から約2日後には社会復帰が可能で、激しい運動を伴わない業務(デスクワークなど)であれば、仕事に戻ることができます。
全身麻酔による手術の場合も、術後の入院と退院後の安静を含めると、合計3日程度休めば仕事復帰もできる場合が多いですが、術後の体調によって対応が変わるので、医師の指示を仰ぐようにしましょう。
参考:
鼻中隔弯曲症の手術について
鼻中隔矯正術
耳鼻咽喉科 / 手術診療について / 鼻中隔矯正術
どうして鼻中隔湾曲症を治療する必要があるの?
ここまで、鼻中隔矯正術について解説をしてきましたが、なぜ手術までして治療をする必要があるのでしょうか?
それは、睡眠時無呼吸症候群という危険な病気につながる恐れがあるからです。
放置すると睡眠時無呼吸症候群などにつながる恐れがあるから
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、何らかの原因で睡眠中に気道が狭くなり、しばしば呼吸が止まってしまう(無呼吸状態になる)病気です。
近年、睡眠時無呼吸症候群の罹患者は増加傾向にあり、2019年の報告では日本の患者数は940万人以上と推計されています。中には検査や治療を受けていない人もいるため、実際の患者数はもっと多いとする報告もあります。
そして、睡眠時無呼吸症候群を発症すると、次のような症状が現れます。
<寝ている間>
・睡眠中はほぼ毎回いびきをかく
・家族に指摘されるほど大きないびきをかく
・呼吸が止まる
・息苦しさを感じる
・寝ている間によくむせる
・尿意で何度も目が覚める
・寝汗をかく
・寝相が悪い
<起床時・活動している間>
・起きると喉がすごく乾いている
・熟睡感がない
・寝た気がしない
・倦怠感がある
・強い眠気を感じる
・集中力が続かない
睡眠時無呼吸症候群の合併症はこんなに危険
上記のような症状がある睡眠時無呼吸症候群ですが、たいていの症状は患者本人にはあまり自覚がなく、第三者から毎晩の大きないびきを指摘されて発覚するケースがほとんどです。ゆえに、発見が遅れると、さまざまな合併症を引き起こすことにつながります。
例えば、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も酸素不足に陥るため、体はそれを補おうと血流を活発にし、その結果高血圧を発症します。
そして、この高血圧は放置すると動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの合併症を次々と引き起こし、最悪の場合命を落とすことにつながります。
また、肥満や糖尿病などの生活習慣病の悪化やうつ病にもつながる恐れがあるとして、治療の必要性が強く呼びかけられています。
睡眠時無呼吸症候群の危険性については、下記の記事でも詳しく解説しています。
このように、鼻中隔湾曲症は睡眠時無呼吸症候群の発症につながるケースがあるため、症状に心当たりがある場合は速やかに鼻中隔矯正術を受けることが肝心です。
鼻中隔湾曲症を治療することでCPAP治療などの効果が高まる
そして、鼻中隔湾曲症を改善することは、睡眠時無呼吸症候群の治療を行ううえでもメリットが大きいです。
多くの場合、睡眠時無呼吸症候群の治療はCPAPを用いて行われます。
「CPAP(シーパップ):経鼻的持続陽圧呼吸療法」とは、鼻に装着したマスクから空気が送り込まれ、睡眠中の気道を開存させる治療法です。睡眠時無呼吸症候群の治療の第一選択肢とされ、多くの医療機関で実施されています。
ポイントとなるのが、CPAPは鼻から空気が送り込まれるという点です。
仮に、鼻中隔湾曲症のせいで鼻がひどく詰まっていた場合、CPAPを行っても空気がうまく送り込めず、治療効果を十分にはっきするのが難しくなります。実際、睡眠時無呼吸症候群の治療をしようとCPAPを行った結果、鼻中隔湾曲症だったため効果が十分に得られなかったというケースは少なくありません。
つまり、鼻中隔湾曲症を事前に手術によって改善しておくことは、睡眠時無呼吸症候群の治療効果を高め、より短期間で解消する可能性を高めることにつながるのです。
CPAP治療については、次の記事でも詳しく解説しています。
いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療ならいびきメディカルクリニックへ
ここまで、鼻中隔矯正術について詳しく解説してきましたが、いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療を検討中の方に、いびきメディカルクリニックで行っている最新治療について紹介します。
それは、「パルスサーミア」という治療法です。
パルスサーミアとは、特殊なレーザーを喉の口蓋垂(こうがいすい)や軟口蓋(なんこうがい)に当てることで粘膜の広がりを引き締め、睡眠中の気道の閉塞を解消する治療法です。
「喉の粘膜にレーザーを当てる」と聞くと不安に感じる方もいるかもしれませんが、パルスサーミアは施術による出血はなく、痛みもほぼありません。
また、日帰り手術も可能なので、忙しいサラリーマンや主婦の方でも安心して治療を受けることができます。
詳しい内容を知りたい方は、無料カウンセリングにお越しいただくと、専門スタッフから詳細な説明を受けることが可能です。本記事の最後に設置している予約フォームからご予約ができるので、ぜひご活用ください。
参考:
いびきの治療法
まとめ
今回は、鼻中隔矯正術について解説を行いました。
鼻中隔矯正術は、鼻中隔湾曲症を解消するために行う外科手術で、日帰り手術ができるのが特徴です。また、多少のリスクはありますが、手術自体のハードルは比較的低いため、治療を受けるのは有効な手段だと言えます。
もし、長期的な鼻づまりや鼻血が頻発することに悩んでいる場合は、一人で悩まず、医療機関を受診するようにしてください。
【よくある質問】
Q.鼻中隔矯正術とはなんですか?
A.鼻中隔矯正術とは、鼻中隔湾曲症と呼ばれる慢性疾患を解消するための外科手術です。曲がった鼻中隔を真っ直ぐにすることで、重度の鼻づまりなどの症状を改善します。
Q.鼻中隔矯正術は、失敗するリスクはありますか?
A.ごくまれに、「鞍鼻(あんび)」という鼻のへこみが発生する場合がありますが、経験豊富な医師であれば、こうした合併症を可能な限り回避することができます。