口蓋垂(のどちんこ)・軟口蓋とは?いびき治療に関わる部位について

目次
夜間のいびきでお悩みの方は少なくありません。実は、いびきの主な原因の一つが口腔内の構造、特に口蓋垂(こうがいすい)や軟口蓋(なんこうがい)にあることをご存知ですか。睡眠時に、これらの組織が緩んで振動することでいびき音が発生します。本記事では、口蓋垂と軟口蓋の基本的な構造や機能について解説するとともに、いびきの発生メカニズムや治療法について説明します。適切な治療法を選択することで、いびきの改善が期待できる場合もあるので、私たちの口腔内にある重要な組織、口蓋垂と軟口蓋について詳しく理解しましょう。
口蓋垂や軟口蓋について

口腔内の後方には、嚥下や発声に重要な役割を果たす口蓋垂と軟口蓋があります。これらの組織は、食事の際の誤嚥防止や発声に関係する重要な構造物です。特に睡眠時の状態が、いびきの発生に深く関係しています。
口蓋垂(こうがいすい)とは
口蓋垂(こうがいすい)は、のどの奥、扁桃の間に垂れ下がっている小さな組織で、いわゆる「のどちんこ」と呼ばれるものです。その長さには個人差がありますが、嚥下や発声を補助する役目を持っています。
口蓋垂の位置と形状
口蓋垂は、口を大きく開けて奥を見たときに確認できる、軟口蓋の中央から垂れ下がった円錐形または細長い形状の組織です。その表面は粘膜で覆われており、内部には口蓋垂筋という筋肉があります。人によって長さや太さに差があり、時には過度に肥大化している場合もあります。通常、先端は丸みを帯びた円錐形や棒状になっています。
口蓋垂の機能と役割
口蓋垂は重要な機能を担っている組織です。
口蓋垂の役割には、以下のようなものがあります。
- 嚥下時に軟口蓋と協調して鼻腔への食物の逆流を防ぐ
- 発声時には声に共鳴する
- 唾液の分泌や方向制御に関わる
特に声質に影響を与え、また口腔内を適度な湿潤状態にしておく役割もあります。免疫機能の一部としても働き、外部からの異物の侵入を防ぐ防御機構の一端を担っています。
参考:
口蓋垂切除の有無が睡眠時無呼吸症候群の術後成績に及ぼす影響に関する研究|小島 卓朗(藤田保健衛生大学大学院)
よくある症状や違和感
最も一般的なのが、炎症による腫れや痛みです。急性の扁桃炎や咽頭炎になると一緒に口蓋垂も腫脹する口蓋垂炎が発症することがあります。また、アレルギー反応による浮腫や、過度な刺激による炎症も見られます。長期的な刺激や炎症により口蓋扁桃肥大状態になると、違和感や嚥下困難、いびきの原因となるかもしれません。重症の場合は呼吸困難を引き起こす可能性もあります。
軟口蓋(なんこうがい)とは
軟口蓋(なんこうがい)は口腔の天井部分にある柔らかい、筋肉と粘膜からできている組織で、前方の硬口蓋に続いています。嚥下や発声において重要な役割を果たしており、口腔と鼻腔を仕切る動く壁でもあります。
軟口蓋の位置と形状
軟口蓋は、硬口蓋の後方に位置する筋肉質と粘膜からできている、長さ約4~5cmの組織です。安静時は下方にありますが、嚥下時には後上方に挙上して口腔と鼻腔を遮断します。その後端には口蓋垂、左右の口蓋弓が側方に広がっています。
軟口蓋の機能と役割
軟口蓋には嚥下と発声に極めて重要な役割があります。嚥下時には上に挙上して鼻腔への食物の逆流を防ぐのですが、このために私たちは飲み込むことが可能です。発声時には、口腔と鼻腔という空間を適切に調整し、声が鼻に抜けることを防止して明瞭な声にしたり、様々な音色の発音を可能にしたりします。特に「か」「が」などの子音の発音には、軟口蓋の微細な動きが不可欠です。呼吸時の気道確保という役割もあります。
参考:
日本神経摂食嚥下・栄養学会「口腔装置は、なぜうまくいかないのか?(2014/10)」
よくある症状や違和感
よくある症状としてあげられるのは、炎症による腫れや痛み、機能障害などです。感染や過度の刺激により炎症を起こすと、嚥下痛や発声障害が生じることがあります。また、先天的な形成不全や外傷による損傷で顕れる可能性があるのは、開鼻声や嚥下障害などの症状です。特に睡眠時には筋緊張が低下することで、軟口蓋が振動していびきの原因となる可能性もあり、睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されています。
口蓋垂・軟口蓋といびきの関係

睡眠中は筋肉が弛緩し、口蓋垂や軟口蓋が通常よりも緩んだ状態になっています。この状態で呼吸し、空気の流れで振動して発生するのが、いびき音です。特に仰向けで寝ている場合、重力の影響で軟部組織がより後方に落ち込みやすくなり、気道が狭くなることでよりいびきが助長されます。また、体重増加によって組織が大きくなると、いびきがより起こりやすくなる傾向があります。
加齢による筋力の低下も軟部組織の弛緩を促進する要因です。また、アルコールの摂取や睡眠薬の使用、慢性的な疲労なども筋肉のゆるみを強め、いびきを悪化させる可能性があります。これらの要因が重なると、より重症のいびきや睡眠時無呼吸症候群につながる危険性が高まります。
いびきは単なる生活上の問題だけでなく、睡眠時無呼吸症候群などの深刻な健康問題につながる可能性もある状態です。早期に適切に対応することがあなたの健康を守ります。
軟口蓋や口蓋垂の形状に問題があるといびきの原因になることがある
口蓋垂や軟口蓋の形状に問題があると、空気抵抗が大きくなり、いびきの原因となります。
口蓋垂や軟口蓋の問題のある形状とは、以下のとおりです。
- 口蓋垂が必要以上に長く、太い
- 軟口蓋弓が通常より狭い、低く幅広く、水かき状に垂れ下がっていたりする
これらの状態だと、呼吸時の気流を妨げやすく、また、気道スペースが制限され、気流の乱れが生じやすくなります。これらの形状異常は、睡眠時無呼吸症候群のリスク因子としても知られています。
これらの形状異常は、先天的な要因ばかりでなく、加齢や肥満、慢性的な炎症などによっても引き起こされる可能性があります。特に体格指数 BMIが高い方は、周囲の脂肪組織の蓄積により症状が悪化しやすいため、体重管理も重要な対策の一つです。
いびき治療では口蓋垂と軟口蓋どちらを治療すべきか?

口蓋垂や軟口蓋の形態に異常がある場合のいびき治療では、より気道狭窄に影響を与えている部位を優先的に治療します。近年は低侵襲な治療法も増えており、患者さんの状態や希望に応じて適切な治療法を選択することが可能です。
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)
UPPPは口蓋垂や扁桃腺、軟口蓋の一部を切除し、気道を広げる手術です。ただしこの手術は、創部が治癒するまで痛んだり、鼻声になったり、液体を飲むと鼻から逆流しやすくなったりするなど、回復には時間がかかります。
参考:
岡山大学病院薬剤部薬品情報室発行「薬の窓口 No.290」
口蓋垂口蓋形成術(LAUP)
LAUP はUPPPをレーザーで行う手術です。UPPPは全身麻酔や入院が必要ですが、レーザー手術なら、局所麻酔で、日帰り手術が可能です。痛みが少ないというメリットがあり、いびきや比較的軽い症状の睡眠時無呼吸症候群に向いていると言われています。
参考:
岡山大学病院薬剤部薬品情報室発行「薬の窓口 No.290」
レーザー治療
レーザー治療には、ナイトレーズとパルスサーミアがあります。ナイトレーズは、特殊な波長のレーザーを軟口蓋に照射し、組織を硬化させることで振動を抑制します。治療時間は約30分、表面粘膜の蒸発による痛みは少なく、日帰り治療が可能です。
一方、パルスサーミアは高周波を用いて軟口蓋まわりの組織を収縮させる治療法です。パルスサーミアは個人差がありますが、治療中も痛みはほぼありません。
これらのレーザー治療は、軽度から中等度のいびきに適しており、日常生活への影響も最小限です。ただし、重度の睡眠時無呼吸症候群の患者さんには効果が不十分な場合もあるため、事前に十分な医師の診断が重要になります。また、治療効果を維持するために、定期的な経過観察や生活習慣の改善も必要です。
いびきメディカルクリニックのいびき治療は軟口蓋まわりの粘膜を引き締める治療です

いびきメディカルクリニックのいびき治療では、軟口蓋まわりの粘膜を引き締めるいびきレーザー治療「パルスサーミア」を採用しています。パルスサーミアは、いびきメディカルクリニック開発の最新のいびきレーザー治療方法で、フリーストレスでいびき治療が可能です。会社を辞めることも、休みを取る必要もありません。仕事をしながらできる治療なので、いびきに悩む方全てへおすすめできます。
パルスサーミアの特徴・メリット
オリジナルいびきレーザー治療「パルスサーミア」の特徴・メリットは以下のとおりです。
- 身体の負担が少ない
- ダウンタイムほぼなし
- 治療時間約15分
- 根本治療ができる
- 入院はいらない
- 治療中も痛みを感じづらい
- 切らないから痛くない
パルスサーミアによる施術中は、麻酔スプレーを利用します。そのため、治療中も痛みを感じづらいのも特徴です。
従来の治療法では、切除による傷やレーザー照射による火傷による強い痛みがありました。パルスサーミアは、皮膚内部へ直接アプローチするので、損傷は少なく、痛みに弱くても気軽に受けられる治療法です。施術が小さいので、入院や経過観察によるケアも必要ありません。ダウンタイムが3日程度、施術当日は激しい運動、飲酒や喫煙、刺激の強い食べ物の摂取は控えるようお願いしますが、その後は行動の制限がなく、日常生活への影響はほとんどありません。
頑固ないびきに悩むようなら、パルスサーミア治療のいびきメディカルクリニックにご相談ください

口蓋垂と軟口蓋の基本的な構造や機能について、いびきの発生メカニズムや治療法について説明してきました。口腔内にある重要な組織、口蓋垂と軟口蓋の形状に異常がある場合には、適切な治療法を選択することで、いびきの改善が期待できる場合もあります。自分では口腔内の形状異常には気づきにくいので、いびきに悩んだら専門医を受診しましょう。
特に、いびきが長期化している、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している場合には症状が悪化して合併症を引き起こす危険があるので、早めに受診しましょう。いびきメディカルクリニックは、いびき治療に特化した専門クリニックです。いびきに悩んでいる方や、睡眠の質を改善したい方は、ぜひ当院へ相談してみてはいかがでしょうか。無料カウンセリングを実施しています。当院は完全予約制なので、無料カウンセリングを希望される場合は、webやお電話、LINEにてご予約ください。治療についての患者様のお悩みやご希望をお聞きします。
よくある質問
睡眠中は筋肉が弛緩し、口蓋垂や軟口蓋が通常よりも緩んだ状態になっていると、空気の流れ発生するのが、いびきです。特に仰向けで寝ていると、重力で軟部組織がより後方に落ち込みやすくなり、気道が狭くなることでよりいびきが起こりやすくなります。また、太って口腔内組織が大きくなると、いびきはより起こり安くなります。